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長島・大野・常松法律事務所は、国内外での豊富な経験・実績を有する日本有数の総合法律事務所です。 企業が直面する様々な法律問題に対処するため、複数の弁護士が協力して質の高いサービスを提供することを基本理念としています。

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企業法務とDX ~ LegalTechの活用による企業と法律事務所のこれから ~


対談者

MNTSQ CEO

板谷 隆平

2013 年東京大学法学部卒業。在学中に予備試験に合格し、2014 年に弁護士登録(第一東京弁護士会)。同年に長島・大野・常松法律事務所に入所後、企業買収(M&A)、AI/IT等のテクノロジー関係のアドバイスに従事。同事務所で勤務する傍ら、2018 年 11 月にMNTSQ 株式会社を創業して代表取締役に就任。

アソシエイト

髙橋 宗鷹

2016年早稲田大学法学部卒業。2017年弁護士登録/長島・大野・常松法律事務所入所。訴訟・紛争解決業務を中心に、テクノロジー関連の助言を多く行う他、LegalTechに関する書籍の執筆にも携わる。

【はじめに】

社会環境の変化が加速し、企業も業務の進め方を変えていかざるを得なくなっている。そこでは、デジタル技術の活用によりDX(デジタルトランスフォーメーション)を企業自ら起こしていくことが求められている。
この動きの中で、企業活動の様々な分野でテクノロジーを活用した変革が検討されるなか、これまで保守的と考えられていた法務分野にも、その波は押し寄せてきている。
長島・大野・常松法律事務所に現役弁護士として所属しながら、自然言語処理技術をベースとしたLegalTechサービスを提供するMNTSQ(モンテスキュー)を起業した板谷隆平氏に、LegalTechが企業の法務部門や法律事務所にどのような影響を与えるのか、同事務所の髙橋宗鷹弁護士がインタビューしました。(対談日:2021年12月)

CHAPTER
01

企業法務分野におけるDX
(デジタルトランスフォーメーション)

髙橋:
今回、「企業法務とDX」というテーマでお話を伺えればと思います。板谷さんは、MNTSQのクライアントの方々とのコミュニケーションを通じて、企業法務のDXの状況についてどのようにお感じですか。
板谷:
やはり、2020年頃からかなり急速に進んでいると思います。もともと法務は昔からのシステム、例えばWordの契約データ、Excelでの案件管理、メールでのやりとり、Windowsのファイルサーバへの保管などで業務が行われており、デジタル化が進んでいるとは必ずしも言いがたい領域でした。そのようななかで、「技術の進歩」と「社会の変化」との双方向から急激な変化に見舞われている、というのが今の状況かなと思います。
髙橋:
「技術の進歩」というのはやはり機械学習技術、いわゆるAIのことでしょうか。
板谷 :
はい。厳密には「自然言語処理技術」ですが、これが法務というフィールドと極めて相性が良いというのがあります。法務は、契約や法律をイメージしていただくと分かるとおり、成果物が文字のかたまりで、表現もパターン化しており、まだまだ発展途上の自然言語処理技術でも確実に価値が出せるという意味では理想的なフィールドです。
これまでは人間が上から下まで文字を読まなければいけなかった契約書から、技術の進歩によって、法務リスクや取引情報データ、類似する過去案件を自動的に抽出することが現実的に可能になった、というのは大きな変化だと思います。
髙橋 :
「社会の変化」、というのはどういう内容を指していますか。
板谷 :
やはりCOVID-19が大きな影響を与えています。COVID-19は、デジタル化に向けた世界の動きを加速させた側面がありますが、その流れの最前線にあったのが契約業務プロセスのうち「締結」フェーズのデジタル化、つまり電子契約サービスの普及です。
そして、電子契約サービスが普及すると、電子帳簿保存法の問題もあって締結後の契約管理体制の見直しが必須となります。そうであれば、法務審査の体制も含めて「法務業務を一気通貫で最適化して、法務業務の高速化と全社的なLegal Risk Managementの高度化を進めていこう」という、まさにDXと呼ぶに相応しい流れが法務領域に起きています。
また、大企業でもクラウド化が進み、いわゆるSaaS(Software as a Service)を受け入れることが可能になっているというのも見逃せないポイントです。デジタル化を推し進めるLegalTechベンダーはSaaS形式でプロダクトを提供することが多いですが、大企業でもSaaSを採用することが可能になってきています。
さらに、日本の大企業は、既にかなりカスタマイズされた基幹システムを生産管理にも財務にも人事にも導入していることが多いですが、法務だけは未だ専用のシステムがないことがかなり多いと思います。こういう分野は、SaaS形式でプロダクトを提供するLegalTech企業にとって、衝突する既存システムが比較的少ないという意味で極めて理想的です。
いわば、これまであまりデジタル化が進んでいなかった反動のようなものが、法務領域に今まさに起き始めているのだと思います。
髙橋 :
逆に、法務領域でDXを進めていく難しさについてはどうお感じですか。
板谷 :
私がまず感じているのは、法務業務というのが本質的に複数の部署にまたがる業務であり、事業部門なども巻き込まないと理想の業務オペレーションを定義できないという点です。LegalTechがより進んでいる米国を見ても、伸びているのは事業部門に対する価値を訴求できているサービスです。
法務業務をDXしたいというときに、もちろん法務部の部内で業務効率化を実現することも重要ですが、実は法務部のなかで解決できる問題というのはかなり限られています。
例えば、定型的な契約業務を自動化したい場合、LegalTechをまず活用すべきであるのは事業部である場合があります。例えば、NO&Tのノウハウを結集させた自動ドラフティングシステムを事業部に活用していただき高速かつミスなくドラフトしていただくなどで、そもそも法務部への審査依頼を不要とすることができれば、最も効果が高いと考えられます。
また、締結版データを一元管理して、全社的な法務リスクを「見える化」したい場合、事業部から締結版データを集約するオペレーションを構築できることが最も重要です。
このように、法務業務のDXのためには本質的に多くの部署を巻き込んで「業務を変える」必要があります。一方で、日本においてそのような経験がある法務部員さまは必ずしも多くないように感じます。そのような状況では、LegalTechベンダーの側が、自動販売機のようにシステムを売るのではなく、業務オペレーション変革のためにプロジェクトを進めていくコンサルタントとして、法務部さまをサポートできることが重要だと考えています。
MNTSQで言えば、「法務領域の理想的な業務オペレーションとはなんだろうか」という点について弁護士とともに定義し、さまざまな部署の橋渡しをしながら現時点のオペレーションとの相違点を一つ一つ潰していくサポートをしていく、その過程にこそ価値があると考えています。
CHAPTER
02

MNTSQを立ち上げた経緯と
長島・大野・常松法律事務所による支援

髙橋:
そもそも板谷さんが、NO&Tで弁護士として働いているなかで、なぜMNTSQを起業しようと思い立ったのでしょうか?
板谷:
こういうことを言うと怒られるかもしれないんですが、私はNO&Tに入所するまでは、契約業務をやってる弁護士さんって一体なにをやっているんだろうって、正直そう思っていました(笑)。
ただ、実際にNO&Tで弁護士として働いていてまず気づいたことは、「社会は契約を作成して、交渉して、合意することに物凄くコストをかけているのだな」ということです。事業や社会活動とは取引の束だと思いますが、取引のためには契約書が必要になる、そのたびにこれだけの時間と労力を割いているのかと驚いたことをよく覚えています。
次に気づいたのは「フェアな契約を作ることってすごく難しい」ということです。契約書というフォーマットはやはり難解で、取引に付随してあり得るリスクを想像し、フェアに分担するための文言を書き下ろしていく作業にはかなり専門的な能力を求められます。
私は、NO&Tに入所して、「NO&Tのフェアな合意をつくる力」に感銘を受けました。社会は合意によって成り立っていますが、その合意をフェアにする力というのは、よい社会を作るために非常に本質的なものだと気づいたのです。
髙橋:
「フェアな合意」とは、どのような合意でしょうか。例えば、弁護士がアドバイスをするとき、依頼者に有利なある種「アンフェア」な契約を追求するようなシーンもあるのではないかとも思います。
板谷:
私がいう「フェア」というのは、事業上重要な法務リスクが存在する場合、それをきっちり50対50で分担しましょうという意味ではなく、当事者のビジネス上の関係性や交渉力の差異がある程度合意内容に反映されることはむしろ通常のことだと思っています。
他方で、取引に関するリスクについて想像力を巡らせて、契約段階で明確なルールを定めることで紛争を避けることは、両当事者にとってwin-winであると思います。また、特に日本ではどちらかの当事者に著しく有利な条項を定めたとしてもいざ裁判となると無効となってしまい、むしろ曖昧さを産んでしまうケースも多いと思います。さらに、日常の取引についていえば、些末な条項についてリスクの押し付け合いをするよりも、一定のスタンダードな条項に早期に合意することのほうが事業上の価値が高いのではないかと考えています。
私は、このような「フェアな合意」が社会に流通するようになれば、より合意が高速化するし、かつ当事者がwin-winな関係を築きやすくなると考えていますし、企業法務を離れていえば、法律家の本分である弱者の保護にも繋がると考えています。
髙橋:
なるほど、興味深いですね。板谷さんが「フェアな合意」を弁護士としてではなくMNTSQを通じて社会に流通させようと考えるに至ったのはなぜでしょうか。
板谷:
私は、この「フェアな合意をつくる力」が、弁護士という個人個人の職人芸を通じてしか発揮されていないのは、実はすごく勿体ないことなのではないかとも感じたからです。
個人的な経験で言えば、深夜まで目を皿のようにして契約をレビューしているときに、「ああ、でもいま自分がこの契約をレビューしている間にも、世の中には数え切れないくらいのフェアではない契約が産み出されているんだろうな…」という無力感のようなものを感じていた時期もあります。
私は、NO&Tが持っている「フェアな合意をつくる力」、法務領域のベスト・プラクティスというべきものの社会的価値を信じています。それがより広く活用されるための器が、私にとっては自然言語処理技術であり、そしてSaaSであるように感じられました。自然言語処理技術もSaaSも、一度進化すれば社会全体に対する利益があります。
基幹システムが存在しないこの法務という領域に、AI SaaSというかたちでベストプラクティスを承継させて提供し、それによって世の中の合意をフェアにできるのであれば、それは素晴らしいことなのではないかと感じています。
髙橋:
実際にMNTSQを立ち上げるまでに、NO&Tから何かサポートはあったのでしょうか。
板谷:
実は、最初はNO&Tには隠れて、共同創業者であるエンジニアと一緒に、自然言語処理技術でどこまで実現できるのかを試している期間がありました。
そのうち自然言語処理技術が法務領域にインパクトを出すことができる確信が私としても持ててきたので、まずは弁護士としての私の師匠とも言える藤原総一郎さんに相談してみました。
「藤原さん、僕はもう留学はいいので、起業させてくれ」という、いま思うとかなり突拍子もない相談だったと思うのですが、藤原さんは笑わずに聞いてくれるどころか「やるべきことだと思う。代表弁護士の杉本さんに話を通しておくから相談してみてください。」と真剣な目つきで答えてくれました。
そうして私は、杉本さんの部屋で1時間のプレゼンの時間をいただきました。NO&Tのような大手ローファームで、代表弁護士に若手アソシエイトが「これからはテクノロジーが法務領域を変えていく」という信じられないような話をぶつけたわけなのですが、杉本さんもまた「これは意味がある話だ。NO&Tとしてできることがあれば協力したい。」と即答してくれました。
髙橋:
風通しの良さを表しているエピソードですね。
板谷:
すぐにそういう言葉が出てくるメンタリティにも感銘を受けましたが、その後実際に8億円の出資をいただくことになり、まさに事務所をあげてサポートしていただくことになりました。
「若手のチャレンジを応援する」と口で言うのは簡単ですが、この意思決定は本当にビジョナリーな、10年後の法務領域を支えていくのだという想いを託していただいたものだと感じています。客観的に見ても、テクノロジー企業とこれほど緊密なコラボレーションができているローファームは、世界を見渡してもほとんど存在しないのではないでしょうか。
CHAPTER
03

3.LegalTechサービスについて
~ MNTSQが実現できること ~

髙橋:
MNTSQは、現在どのような事業を展開しているのですか?
板谷:
MNTSQは、NO&Tの弁護士が持つ「フェアな合意をつくる力」を自然言語処理技術を搭載したSaaSというかたちで提供する会社です。
法務業務の高速化と、全社的なLegal Risk Managementを同時に実現することを目的とするプロダクトを提供しています。具体的には、契約が事業部により作成され、法務部により審査され、締結され、管理され、そしてナレッジ化していくという全てのプロセスを一気通貫でカバーするプロダクトを提供しています。
法務部内部の業務効率化のため活用いただく場合もあれば、法務業務の全社的なデジタルトランスフォーメーションのために事業部門を巻き込んだ経営の根幹となるような基幹システムとして提供する場合もあります。
髙橋:
なるほど。「契約が作成され、審査され、締結され、管理され、ナレッジ化していく」ということですが、それぞれ具体的にはどのようなプロダクトなのでしょうか。
板谷:
「契約を作成する」というところは、契約の種類ごとにベストプラクティスを結集させ、MNTSQ自動ドラフティングというプロダクトを提供しています。コンピューターからの質問に対話形式で回答していくと誰でもミスなく高速に契約書ドラフトが完成するというプロダクトです。
「契約を審査する」というところは、事業部と法務部との審査オペレーションを見える化するプロダクトを開発中です。法務部がどの事業部からどのような内容の、どれくらいの分量の審査依頼を受け、それぞれの案件を誰が処理しているのか、どのような処理状況なのかを可視化し、自動でレポーティングしてくれるプロダクトになります。
「契約を管理する」というところは、締結版データを集約して分析し、期間管理や電子帳簿保存法への対応を半自動化するとともに、自社の契約業務の状況や事業の過程で負ってしまった法務リスクの全体像を自動的にレポーティングしてくれるプロダクトを提供しています。
「ナレッジ化する」ところは、ドラフト時点でWordのコメント欄や自社のワークフローシステムに履歴として残っている過去の契約交渉や、メールベースでやりとりしていた法務相談の過程をMNTSQ上に集約して分析し、法務領域の永年の課題であるナレッジマネジメントを実現するものです。機械学習だけではなく、メールやストレージとの連携で法務関連データを自動で集約できる点もポイントですね。
髙橋:
一気通貫にプロダクトを提供している、という点がポイントなのですね。
板谷:
はい、デジタルトランスフォーメーションという言葉は、「業務プロセス全体の最適化」をも意味しているものと私は理解しています。法務業務は、さまざまな部署にまたがるものであるがゆえに、全体最適をかなり強く意識しないと成果に繋がらないと感じています。
そのため、MNTSQとしては、「法務領域の理想的な業務オペレーションとはなんだろうか」という問いに答えられる存在でなければならないと考えています。法務業務の全体を一気通貫でカバーできるプロダクトを提供できるよう務めていきますが、それと同時にシステムはあくまで業務を変えるためのツールに過ぎないので。
事業部がイントラの雛形をベースにWordで契約書を作成して、法務部に審査依頼をメールで出してやりとりを重ねて、法務部がその過程のデータをそれぞれ自社サーバに保管して、事業部が紙か電子契約でそれぞれ思い思いの手段で締結して、締結版契約書はどこか倉庫にある・・・・、このように個々の業務が分断されている状況に疑問を持っている方って、たくさんいると思うんです。そうした疑問や違和感に対して、個々の業務を部分的に最適化するのではなく、契約業務全体のプロセスは結局なにが理想なのか、というのが本質的な問いだと思っています。
髙橋:
NO&Tに対しては、具体的にどのようなかたちでサービス提供をしているのでしょうか。
板谷:
大きく2つのプロダクトを提供していまして、デュー・デリジェンスの自動化のためのプロダクトと、事務所全体のナレッジマネジメントを実現するためのプロダクトです。
デュー・デリジェンスについては私の原体験でもあるのですが、山のようなキングファイルに綴じられた契約書から、M&Aにおいてリスクのある条項を一つずつ探してリストアップするということをします。これは自然言語処理技術が最も得意とする種類の作業なので、全体をスクリーニングして自動的にリスク条項の初期的な整理を行うものです。
もう一つのナレッジマネジメントは、NO&Tにある膨大なデータを分類・統計化して、過去のベストプラクティスを共有できるような仕組みです。例えば、M&Aにおいて損害賠償の上限条項(キャップ)は毎回ほぼ必ず交渉になりますが、結局のところ日本のスタンダードはどこにあるのか、これまでにどう推移してきて今はどうなっているのか、という点については、弁護士のなかでも意見が分かれるところです。そのような契約交渉上の論点に対して、どのような案件の事情が重要であるのかも含めて、データを元に定量的に一定の基準を示すことができています。
CHAPTER
04

4.MNTSQが目指す社会

髙橋:
LegalTechを活用していくことで、法務業務の姿は長期的にどのように変化していくと考えていますか。
板谷:
契約業務を念頭に置くと、やはり定型的であったり標準的な契約書の作成や審査業務は自動化が進み、高速かつリスクなく合意されていくようになると思います。これは、社会全体で価値のある取引を加速させ、事業部門も生産的な業務にフォーカスできるようになることを意味しています。
そうすると法務部門は、非定型的であったり高難易度でリスクの高い分野、つまり専門家が真に扱うに値する業務にフォーカスできるようになると思います。ただ、そこでも各法務部門のメンバーが属人的な職人芸で業務をするのではなく、過去の知見やデータをナレッジとして活用できることで、より精緻でクオリティーの高い判断が行えるようなサポートをテクノロジーによって受けられるようになっているのではないかと思います。
髙橋:
LegalTechが当たり前に活用される時代が到来したときに、弁護士はどういった役割を担い、どのような価値を提供していくことになると思われますか。
板谷:
機械学習というのは、過去のデータを学習して統計的な結論を出すテクノロジーです。他方で、社会は変化していき、そのなかに生きる人々の価値観も変化していきます。そういうなかで、弁護士というか法務の専門家には2つの重要な役割があると思います。
一つは、社会の変化に従って、必要となるアルゴリズムそのものを定義し、創出する役割です。例えば、MNTSQでは法務のバックグラウンドのあるメンバーが機械学習によるアルゴリズム開発をリードしていますが、法令が変わればアルゴリズムも変えていく必要があります。
もう一つは、どれだけ機械学習が発展したとしても、具体的な案件において依頼者や事業部門が本当に求めているものは何かを理解して、何がベストなのかを提案したり判断することは、人間の役割として残り続けると思います。取引そのものの個別性により向き合い、一度きりのその状況で正しい判断をするということですね。
髙橋:
私も、弁護士の仕事として最もコアな部分は、クライアントの方々や裁判所、関係当局の「納得感」を得ることだと思っていて、その納得感を生み出すのはテクノロジーではなく、それを活用した弁護士や法務領域に従事する人間の役割なのではないかと考えています。
板谷:
仰るとおりだと思います。
髙橋:
最後にMNTSQを通じてどのような社会を目指していきたいかということについて、聞かせていただけますか。
板谷:
繰り返しになりますが、私は、企業と企業、企業と個人、個人と個人がフェアな合意をできる社会を創りたいと思っています。
私は、法律家の役割は、さまざまな価値観や行動原理を持った主体がフェアに合意できる社会を作ることだと捉えていて、その役割を、テクノロジーを基盤としたプラットフォームのかたちで表現していくのがMNTSQの社会的な役割だと思っています。
「すべての合意をフェアにする」というと、とても自分の寿命のなかでやれる仕事ではない気がしてきますが、持てる力を尽くして、その目標に挑んでいきたいと思います。

本対談は、各位のご参考のために一般的な情報を簡潔に提供することを目的としたものであり、当事務所の法的アドバイスを構成するものではありません。また見解に亘る部分は執筆者の個人的見解であり当事務所の見解ではありません。一般的情報としての性質上、法令の条文や出典の引用を意図的に省略している場合があります。個別具体的事案に係る問題については、必ず弁護士にご相談ください。