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新しいテクノロジーとゲーム・eスポーツ ~web3・メタバース時代の到来~


【音声配信中】
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【はじめに】

近年のテクノロジーの発展は、ゲーム・eスポーツの分野にも変化をもたらしています。ゲーム産業は、伝統的にテクノロジーの発展とともに変化を遂げてきた分野ではありますが、近年のweb3やメタバースといった新時代のテクノロジーを積極的に活用しようとする取組みが既に始まっており、今後更なる新しい取組みが進められることが期待されています。今回は、web3・メタバース時代のゲーム・eスポーツについて、テクノロジー領域の法務に多く携わる弁護士が議論します。

座談会メンバー

パートナー

殿村 桂司

TMT分野を中心に、M&A、知財関連取引、テクノロジー関連法務、スタートアップ法務、デジタルメディア・エンタテインメント、ゲーム、テレコム、宇宙、個人情報・データ、AI、ガバナンス、ルールメイキングなど企業法務全般に関するアドバイスを提供している。

アソシエイト

小松 諒

コーポレート、不動産、紛争解決(仲裁・訴訟)を中心に企業法務全般を取り扱い、テクノロジー関連法務、スタートアップ法務及びメディア/エンタテインメント・スポーツ関連法務にも幅広い経験を有する。

アソシエイト

小宮 千枝

コーポレート、知的財産法、個人情報保護法分野をはじめとして、企業法務全般に関するアドバイスを提供している。

アソシエイト

外村 亮

知的財産権法分野、コーポレート、ゲーム、テクノロジー関連法務など企業法務全般に関するアドバイスを提供している。

CHAPTER
01

ゲーム・eスポーツの近時の動向

殿村

今回は、テクノロジー法務を取り扱う小松弁護士、小宮弁護士、外村弁護士と私で、web3・メタバース時代におけるゲーム・eスポーツへのテクノロジーの活用状況等についてお話ししたいと思います。私自身、ゲーム分野の案件に多く関与させていただいておりますので、とても楽しみにしております。
ゲーム分野は、ファミコンなどのテレビゲームから始まり、液晶ディスプレイを組み込んだ携帯型ゲーム、PCゲーム、そしてスマートフォン普及時のスマホアプリゲーム市場の拡大に見られるように、これまでテクノロジーの発展と共に変化を遂げてきました。また、ゲームプレイのライブ配信も盛況で、自らプレイするだけではない楽しみ方も多様化しています。積極的に新たなテクノロジーが取り入れられたり、ビジネス形態が多様化したりしており、ゲームとテクノロジーは非常に密接な関係にあるといえます。web3・メタバースの話に入る前に、まずは、ゲーム分野における近年の動向について簡単にご説明いただけますか。

外村

ゲーム分野においては、ゲーム用プラットフォーム提供事業、ゲーム開発・発行事業、ゲーム販売・配信事業など様々な事業者が関係しますが、販売・配信という点に着目すると収益方法が多様化しているといえます。例えば、コンソール(ゲーム機)やPCで遊ぶゲームは、従来はゲームソフト買い切り型のものが主流でしたが、マルチゲームサブスクリプションモデルや、シューティングゲームなどのオンラインの対戦型ゲームを中心に、フリーミアムモデル(基本プレイは無料としつつ、ゲーム内で使用するキャラクターのスキンなどの課金要素を加えるもの)のゲームも増えています。また、インターネットの通信速度の向上に伴って、今後はクラウドゲーミングサービスが普及していくのではないかということも注目すべき点だと思います。

小松

フリーミアムモデルは、スマホゲームに多い収益モデルという印象でしたが、コンソールゲーム等でも増えてきているのですね。クラウドゲーミングサービスとは、どのようなものでしょうか。

外村

クラウドゲーミングサービスは、従来のゲームと異なり、ユーザーのコンソール上ではなく遠隔サーバー上でゲームを実行し、ゲームの映像などのみがインターネットを通じてユーザーのコンソールにストリーミング再生されるもので、ゲームデータはクラウド上に保存されます。そのため、ユーザーの端末の記憶容量を使わないほか、複数の種類のプラットフォーム(ゲームコンソール、PC、モバイル端末など)からアクセスして同一のゲームデータを共有することが可能となるという利点があり、マルチゲームサブスクリプションサービスと相性が良いと思います。

殿村

ゲームの遊び方もまた変わっていきそうですね。その他に、テクノロジーの活用例はどのようなものがあるでしょうか。

小宮

テクノロジーの活用との関係を見るために、2000年以降のゲーム機関連の特許出願の傾向を見てみますと、出願件数が多いものは、AR(Augmented Reality/拡張現実)・VR(Virtual Reality/仮想現実)・MR(Mixed Reality/複合現実)に次いで位置情報、セキュリティ、音声認識などの技術が多いという統計結果が出ています※1。これらは実際に現在のゲームでも用いられています。また、出願数は多くないものの、AI(人工知能)や脳波を活用するブレインテックなどをゲームと融合させる特許の出願も増加傾向にあるという統計結果も出ており※1、今後はこのような技術を利用したゲームも出てくることが考えられます。
また、近時話題になっている生成AIについても、ゲーム制作の支援などを中心に導入が進んでいく可能性があると考えられます。

殿村

特許に注目するというのは、今後のトレンドを占う観点からも面白いですね。位置ゲー(位置情報ゲーム)は、私の子供も好きです。ゲームと関連して、近年はeスポーツが国内でも盛んになってきている印象ですが、そちらについてはどうでしょうか。

小松

eスポーツについては、かつては有料ゲームを制作・販売している事業者が主催する大会において、当該業者が賞金を支払うと景品表示法の規制が適用される可能性があるという指摘があり、高額の賞金を出すことが難しい時期もありました。しかし、2019年に一般社団法人日本eスポーツ連合(「JeSU」)が消費者庁に対して行ったノーアクションレターに対する消費者庁の回答により、事業者による賞金の提供が「仕事の報酬等と認められる金品の提供」に該当するといえるケースであれば、景品表示法の規制の適用対象とならないことが明らかになりました。このような流れから現在では国内でも1億円以上の高額賞金の大会も行われています。eスポーツとの関係では、風営法や賭博罪との関係で論点が残っていますが、業界団体がガイドラインを発行する等積極的に議論をリードしており、今後国内でも益々発展していくと考えられます。


CHAPTER
02

web3とゲーム・eスポーツ

殿村

次に、web3とゲームの関係について議論していきましょう。web3とは、ブロックチェーン技術を用いた非中央集権的な次世代の分散型インターネット社会のことを指しますが、web3時代におけるゲーム・eスポーツとはどのようなものでしょうか。

小松

はい。今日では、ブロックチェーン技術を活用したNFT(Non-Fungible Token)を用いて、ゲーム内のアイテムなどを取引することが可能なゲームが登場しています。こうしたゲームは、ブロックチェーンゲームやNFTゲームと呼ばれています。

殿村

従来のオンラインゲームと、ブロックチェーンゲームの違いはどこにあるのでしょうか。

外村

ゲーム内のアイテムやデータの管理に大きな違いがあると思います。従来のオンラインゲームでは、ゲーム内アイテムはゲームから離れて存在することはできず、ユーザーがゲーム外で自由にアイテムを移転・売却・貸与することはできませんでした。また、たとえ時間をかけて蓄積したデータについても、ゲームのサービスが終了してしまえば利用が不可能になってしまうことがありました。
一方で、ブロックチェーンゲームは、ユーザーがゲームアセットのNFT保有者として、当該NFTをゲーム外に移転・売却・貸与することができるという特徴があります。また、これまでのゲームと異なり、多くのユーザーがデータを共同で管理するという形になるため、正しいデータがどれなのか確認することが容易になり、データ改ざんなどの不正やチートプレイがしづらくなるという特徴もあります。ブロックチェーンが存在する限り、記録されたデジタルアセットは永続的に利用が可能であるところも魅力です。

殿村

ブロックチェーンゲームの先駆けとしては、2017年11月にリリースされた「CryptoKitties(クリプトキティーズ)」が有名ですが、それ以降も多種多様なブロックチェーンゲームが世界中でプレイされるようになりましたね。

小宮

「CryptoKitties」は、ユーザーが、様々な種類の猫を売買、交配させて収集するというブロックチェーンゲームですが、1匹10万ドル以上で売買されたこともありました。また、「Axie Infinity」は、最盛期には1日のアクティブユーザー数が280万人に達し、海外ではこのゲームのプレイで生計を立てている人もいるということで話題になりました。
日本では、2018年11月に日本初のブロックチェーンゲームとして「My Crypto Heroes(マイクリプトヒーローズ)」がリリースされており、ユーザー数とトランザクション数で世界No.1を記録したこともあります。また、ゲームに特化したブロックチェーンプロジェクトである「Oasys(オアシス)」に対して日本の大手ゲーム企業が出資を行う等、ブロックチェーンゲームへの関心は増しています。

小松

今の例でも触れられていましたが、「Play to Earn」、つまり「遊ぶ」ことを通じて生計を立てるユーザーが現れたというのも、ブロックチェーンゲームの一つの特徴ですね。

小宮

そうですね。ブロックチェーンゲームの最大の特徴は、ゲーム内で獲得できるアイテムが、そのゲーム自体を離れて経済的な価値を持つという点です。こうした特徴によって、経済的な対価を得るためにゲームをすること、つまり「Play to Earn」が可能になりました。Play to Earnと同じような用語として、GameとFinanceを繋げた「GameFi(ゲームファイ/ゲーミファイ)」という言葉も2019年頃から使われ始めました。

殿村

ゲームは「遊ぶ」ことが目的で、そのためにむしろお金を払う(課金する)ものであるという感覚を持っている方も多いと思いますが、そもそも、どうやって「稼ぐ(Earn)」のでしょうか。

外村

Play to Earnには、大きく分けて3つの類型があります。まず、①ゲームのプレイの報酬自体が暗号資産か、暗号資産と換価可能なトークンである場合、次に、②ゲーム内のアイテム等がNFTとして発行され、ゲームをプレイすることによって獲得したアイテム等を、ゲーム内またはゲーム外で暗号資産と交換する場合、そして③いわゆるスカラーシップ制度が採用されている場合です。

小松

暗号資産もNFTもブロックチェーン上で売買することで収益を得られるということですね。スカラーシップ制度とはどのようなものでしょうか。

外村

スカラーシップ制度とは、簡単に言えばブロックチェーンゲームのプレイを代行することにより、対価としての報酬を得る方法です。ブロックチェーンゲームでは、ゲームの開始に際してある程度の初期投資が必要となるため、ゲームをプレイしたくても簡単には始められない人にとっては、他のユーザーによって初期投資が完了した状態でプレイを開始することが可能となります。また、ゲームを遊び目的ではなく経済的な対価を得ることを目的としてプレイしようとする人にとっては、ゲームのプレイを他人に代行させることで時間と労力を削減でき、経済的な対価を得ることが可能となることから、双方に有益な制度といえます。先ほどお話のあったAxie Infinityは、2021年に大ヒットしたゲームですが、このヒットの背景にはスカラーシップ制度の利用があったともいわれています。

殿村

では次に、ブロックチェーンゲームに関する法規制としては、どのようなものがあるでしょうか。

小宮

ブロックチェーンゲームに関する法規制としては、まず景品表示法上の景品規制が挙げられます。論点としては、新規ユーザー獲得のためのキャンペーンにおいてNFT化されたアイテムを無料で配布する場合に、そのアイテムが景品表示法2条3項の「景品類」に当たるかという点があります。景品類に該当する場合、限度額が定められていますので、その範囲内で提供する必要があります。

小松

従前のゲームのアイテムは現金化すること(RMT(Real Money Trade))が禁止されていることが多いですが、NFT化されたアイテムは暗号資産と交換することができるので、そのような特徴も踏まえて検討する必要がありますね。その他によく議論されるものとして賭博該当性もありますね。

小宮

はい。例えば、ブロックチェーンゲーム内で有料のガチャを設けることやランダム型のアイテムの販売を行うことは、刑法185条の賭博罪に該当するのか議論がなされています。この点について、賭博罪が成立するためには①偶然の勝敗により、②財物や財産上の利益の、③得喪を争う行為であって、④一時の娯楽に供するものを賭けたにとどまらない行為である必要があります。これらの要件を充たして、有料ガチャが賭博に該当する場合には、ゲーム運営会社によるサービス提供が賭博場開帳等図利罪(刑法186条2項)に当たる可能性が生じます。ブロックチェーンゲームにおいては、特に「得喪を争う」行為といえるかが問題となりますが、業界団体から要件該当性について考え方を整理したガイドラインが公表されており、関連するビジネスを行う上では参考になります。

殿村

NFT化されたアイテムが資金決済法上の暗号資産に該当しないかも問題となりますが、この点に関しては、今年の3月に金融庁から公表された暗号資産事務ガイドラインとパブリックコメント回答で一定の明確化がなされましたね。その他、web3時代のキーワードとして「DAO」(Decentralized Autonomous Organization)がありますが、ゲーム・eスポーツとの関係はいかがでしょうか。

小松

NFTを使ったDAO型のゲームギルドなどは、DAOの活用例として挙げられるかと思います。プレーヤーが集まりクエストやeスポーツトーナメントに参加して共にレベルアップを目指すものや、NFTの貸し出しを行いスカラーシップ制度の仲介を行うもの等、様々なものがあります。ゲーム・eスポーツの分野においても、DAO型の組織形態が既に浸透し始めているといえると思います。
CHAPTER
03

メタバースとゲーム・eスポーツ

殿村

次に、メタバースとゲーム・eスポーツの関係について見ていきたいと思います。メタバースと聞くと最初にゲーム空間のようなものを思い浮かべる人も多いのではないかと思います。

小松

メタバースには定まった定義はありませんが、今年の5月に公表された「メタバース上のコンテンツ等をめぐる新たな法的課題等に関する論点の整理」においては、ネットワークを通じてアクセスでき、ユーザー間のコミュニケーションが可能な仮想空間のうち、特に自己投射性・没入感、リアルタイム性、オープン性等の特徴を備えるものを、メタバース又はメタバース的な特徴を有する仮想空間サービスと捉え検討がなされています。ゲームはストーリーや目的・役割がある一方、メタバースはそのような要素が必須ではないため、ゲームはメタバースに含まれないものとして説明されることもありますが、論点整理で挙げられたメタバースの要素を持つオンラインゲームは、近年のメタバースブームの本格化より前から既にあり、こういったメタバース的要素をもったゲームが、現在のメタバースブームを牽引しているところはあると考えられます。

殿村

2003年から運営が開始された「Second Life」が先駆的な例として挙げられることが多いですよね。メタバースの要素を持つゲームとして、最近ではどのようなものがありますか。

外村

「Fortnite」がまず代表格として挙げられると思います。同ゲームにはクリエイティブモードというものがあり、ユーザーが自分だけの世界やゲームを創り、他のユーザーがその世界に遊びに行くこともできます。またゲームの世界内で有名アーティストが歌唱している映像がまるでライブのように流れ、ユーザーが自身のアバターを用いて他のユーザーと共に観客としてライブに参加しているような体験ができるイベント等も開催されています。「Fortnite」の動向はゲーム×メタバースはもちろん、メタバース分野そのものとの関係でも追う価値があると考えられます。また、他には「The Sandbox」も挙げられます。これは、独自の仮想通貨「SAND」を使うNFTゲームプラットフォームでもあり、ユーザーはThe Sandbox内の土地(LAND)を現実の土地のように買うことができ、そこにゲームを用意したり、イベントを開催したりすることができます。また、既存の大手ゲームメーカーがLANDを保有し、ゲームを展開しようとする動きも見られます。

殿村

メタバースだけでなくweb3の要素も絡んできますね。法的課題についてはどうでしょうか。

外村

ゲーム・eスポーツ分野において、ゲームのワールドがあってそこにキャラクターが存在するという要素は、メタバースにおけるワールドとアバターの存在とよく似ています。ゲームの映像製作において生じる法的課題は、基本的にメタバースのワールド構築で生じるものと重複するものが多いといえます。具体的には、現実世界の建物や商品を再現するにあたっての問題や、製作されたものがどのような保護を受けるかという問題は、両者で共通することとなります。

小松

現在メタバースについては、政府や実務家が法的課題の整理を進め資料が作成されています。現状メタバース的要素を導入する予定がないゲーム事業者にとっても、共通する法的課題について参考になるので、メタバースに関する法的動向は意識する価値があるかもしれませんね。

殿村

少し議論を変えて、完全なバーチャルではなく、現実世界にデジタル情報を重ね合わせるAR、MR技術のゲームにおける活用状況はどうでしょうか。

小宮

AR技術はゲームにおいては、スマホの位置情報機能を利用したゲームに併せて使用されていることが多いです。代表例としては、Niantic社の「ポケモンGO」が挙げられます。また、Apple社がゴーグル型の新型デバイス(Vision Pro)を来年発売すると発表する等、今後ゲーム分野におけるAR・MR技術の導入等にも引き続き注目しておく必要があると思います。

殿村

ありがとうございます。ARゲーム特有の法的問題としてはどのようなものがあるのでしょうか。

小宮

ゲームに限らずAR全体の問題ではありますが、現実世界にデジタルコンテンツを重畳して表示するという特徴から法的問題が生じます。例えば、AR技術を用いて、現実社会の商品等に対しバーチャルな商標を結びつけたり、逆に、現実社会の商標に対しバーチャルな商品等を結びつけたりした場合に、商標権の侵害が認められるかについては、現時点で解釈が定まっているとはいえない点が挙げられます。他には、仮に商標登録がされていなくても不正競争防止法違反やパブリシティ権侵害が生じないかといった点、AR技術を利用して、現実世界にある他人の著作物にバーチャルな画像を重畳させて表示する場合に複製権、翻案権、同一性保持権侵害とならないかといった点も問題になると考えられます。

殿村

今挙げていただいた法的問題は主に知的財産権に関するものですが、ARについては知的財産権以外にも法的課題はあると思っています。

小松

ご指摘のとおり、ARについては知的財産権分野以外にも法的問題があります。例えば、ARゲームにおいてユーザーが第三者の権利(例えば、敷地管理権)を侵害するようなケースでは、不法行為の問題が考えられます。また、ARグラスなどのデバイスに関しては、電波法、製造物責任が問題となる場合や、屋外の現実環境に重畳して表示されるAR広告を行う場合には屋外広告物条例も問題となりうるなど、様々な観点から検討が必要です。
CHAPTER
04

おわりに

殿村

今日はゲーム・eスポーツ分野におけるテクノロジーの活用、とりわけweb3・メタバース時代のゲーム・eスポーツについて議論してきました。ゲーム・eスポーツ分野は、伝統的にその分野の性質上、テクノロジーの発展と共に進展してきた分野でありテクノロジーの活用に親和性の高い分野といえるかと思います。web3・メタバース時代においても、その要素を先端的に活用する姿勢が見られることが良く分かりました。問題になる法的課題は、従来のゲーム分野で問題となってきたものに加え、web3・メタバースにおいて議論されるものも共通して問題になるように思います。引き続き、web3・メタバースを含むテクノロジーの動向を踏まえて、ゲーム・eスポーツ分野での様々な取組みに貢献していきたいと思います。


本座談会は、各位のご参考のために一般的な情報を簡潔に提供することを目的としたものであり、当事務所の法的アドバイスを構成するものではありません。また見解に亘る部分は執筆者の個人的見解であり当事務所の見解ではありません。一般的情報としての性質上、法令の条文や出典の引用を意図的に省略している場合があります。個別具体的事案に係る問題については、必ず弁護士にご相談ください。

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