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ニュースレター

不動産事業におけるESGと人権デュー・ディリジェンス

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NO&T Finance Law Update 金融かわら版

※本ニュースレターは情報提供目的で作成されており、法的助言ではありませんのでご留意ください。また、本ニュースレターは発行日(作成日)時点の情報に基づいており、その時点後の情報は反映されておりません。特に、速報の場合には、その性格上、現状の解釈・慣行と異なる場合がありますので、ご留意ください。

はじめに

 昨今、欧州を中心として人権デュー・ディリジェンス義務の法制化が進む※1とともに、機関投資家によるESG投資の流れも強まっているところです。弊事務所のウェブサイト上においてもESG/SDGsに関する特集を組ませていただいておりますが※2、不動産事業においては、中長期的な持続可能性が課題となっているところです。本ニュースレターでは、不動産事業(不動産の開発・運用、不動産投資)においてのESGのうち、特にS(社会)を中心とした取組や人権リスクが問題となる場面にフォーカスしてご紹介いたします。

 弊事務所ウェブサイトでは、本テーマに関し筆者2名による対談も掲載しておりますので、ご関心を持ってくださった方は併せてご覧いただけますと幸いです※3。なお、本ニュースレターは、わかりやすさの観点から誤解をおそれずにあえて簡潔に記載していますのでご留意ください。

1.不動産事業におけるESGの関連当事者及び取組状況

 不動産事業におけるESG投資については、国土交通省が2019年7月に「ESG不動産投資のあり方検討会中間とりまとめ」を公表しています※4

 不動産分野へのESG投資においては、①不動産事業者・不動産ファンドが行う不動産開発・運用につきSDGs(持続可能な開発目標)に適合しているかという不動産に関する事業・運用の場面に加え、②機関投資家や金融機関が行う不動産企業・ファンドへの投資及び融資の場面が存在します。とりわけ①のうち、不動産ファンドの事業活動に関しては、ARES(不動産証券化協会)が、会員企業向けにESGフレームワーク・ハンドブックを作成するなど積極的にESGへの取組・情報開示指針を示しているところです。

 ①の不動産事業者・不動産ファンドに対しては、外部評価機関がESG評価を行う形となっており、かかる評価を元に、機関投資家や金融機関がESG投融資を実行することとなります。これに加え、外部評価機関によってはESGインデックスを提供することで、機関投資家等のESG投資を促進させることも担っています。

2.不動産事業者・不動産ファンドにおけるESGの現状

 上記①の不動産事業者・不動産ファンドは、ESG投資の対象となる開発・運用を行うところ、個別不動産レベルの課題設定としては、G(ガバナンス)はあまりなじまないため、主にE(環境)及びS(社会)に注目して取組がなされてきました。

 E(環境)については、省エネルギー性能の向上や再生可能エネルギーの活用などが主な取組例となっています。かかる取組では、国土交通省において設置された研究会が2010年に「環境価値を重視した不動産市場形成のあり方について」のとりまとめを公表しており※5、また、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言を踏まえ、気候変動のリスクと機会が与える財務的影響の開示に向けた要請が高まりを受けて、2021年3月には「不動産分野TCFD対応ガイダンス」を公表しています※6

 また、不動産はエネルギー政策にも密接に関連するため、経済産業省資源エネルギー庁において2009年に「ZEBの実現と展開に関する研究会」が立ち上げられて以降ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の普及施策を進めているほか※7、環境省が業務用ビル等における省CO2促進事業におけるZEBの導入事例を公表するなどZEB PORTALが立ち上げられているところです※8

 一方で、S(社会)にも近時多くの不動産事業者・不動産ファンドが着目しています。ここでは、健康性・快適性の向上、災害への対応、地域社会・経済への寄与、少子高齢化への対応などが現在フォーカスされているところです。かかる取組については、現在、国土交通省が、2017年6月にとりまとめた「不動産投資市場の成長に向けたアクションプラン」を踏まえ、「ESG投資の普及促進に向けた勉強会」において、健康性、快適性等に関する不動産に係る認証制度のあり方について検討を重ね、とりまとめを2018年3月に公表しているほか※9、2019年7月には、上記「ESG不動産投資のあり方検討会中間とりまとめ」を公表し、さらに、2021年3月には、上記「不動産分野TCFD対応ガイダンス」においてS(社会)への取組についても議論されているところです。これらに加え、少子高齢化の進展や自然災害の脅威への対応などの従来からの社会的課題に加え、テレワークの進展等による多様な働き方・暮らし方などの新たな課題への対応が求められている中、ESGへの配慮を求める動きが拡大していることを受け、2021年9月には、「不動産分野の社会的課題に対応するESG投資促進検討会」が設置されています※10

3.不動産事業における人権デュー・ディリジェンス

 上記2.のとおり、不動産運用の段階におけるS(社会)の課題については、テナントとなる企業の従業員の働き方をサポートすることや、不動産の管理運営を行う現場従業員の働き方をサポートする等労働者の権利等に配慮される形で人権が意識されています。

 一方で、人権リスクとの関係でより問題になりうるのは不動産開発場面におけるものと考えられます。不動産開発の場面での人権リスクとしては、建設業者その他業務委託先との間で請負契約・業務委託契約を締結されるなど複数の契約が介在することによりサプライチェーンが複雑になりやすいこと、労働集約的産業であり、かつサプライチェーンにおいて短期労働者や派遣労働者、外国人技能実習生を含む外国人労働者等人権リスクの観点から脆弱な立場に置かれやすい労働者が介在することが多いことから、開発の過程における労働者のリスク(過剰・不当な労働時間となっていないか、技能実習生への適切な取扱いを行っているか、労働者による転落事故防止や工事材料の落下事故防止等適切な労働環境を提供しているかという労働安全衛生が確保されているか)が問題となりうるところです。また、開発プロジェクトが海外であるなどの場合、現地における強制労働や児童労働等のリスクも存在します。

 これらのリスクについては、建設業者が直接法的責任を負うこともあり、従来は建設業者における義務として取組や開示がなされてきたように思われます。もっとも、不動産事業者においても、現実には現場事故などが生じていることや、技能実習生についての適切な扱いが問題になっていることからして、これらの人権デュー・ディリジェンスにも今後フレームワークを作成する等取り組んでいく必要があると考えられます。

 また、これらの視点に加え、不動産開発の場面では、先住民・地域住民との関係でも人権・環境リスクが問題となることがあります。例えば、2021年3月、国連の人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、インドネシア政府と観光開発企業が共同で行う大規模な観光プロジェクトにつき地域住民の強制的な立ち退き等の人権侵害がなされているとの警告を公表しています※11。土地の取得・開発にあたっては、先住民・地域住民の権利侵害や情報提供の不足等が問題となりやすいほか、地域住民にとっては、当該土地が文化的・宗教的な意義を持つ場合もあり、単純な金銭補償で解決されないこともありうるため、ステークホルダーとのエンゲージメント(対話)が重要になってくると考えられます。

4.終わりに

 不動産事業におけるE(環境)の要素とS(社会)の要素は重なり合って問題になる場合も多いと考えられます。不動産事業のより具体的なESGリスクは、事業を行う地域、各事業の規模、関係するステークホルダー、プロジェクトの内容等の各事情に照らして検討することが必要となると思われますが、本ニュースレターの視点が少しでも参考になれば幸いです。

本ニュースレターは、各位のご参考のために一般的な情報を簡潔に提供することを目的としたものであり、当事務所の法的アドバイスを構成するものではありません。また見解に亘る部分は執筆者の個人的見解であり当事務所の見解ではありません。一般的情報としての性質上、法令の条文や出典の引用を意図的に省略している場合があります。個別具体的事案に係る問題については、必ず弁護士にご相談ください。


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