icon-angleicon-facebookicon-hatebuicon-instagramicon-lineicon-linked_inicon-pinteresticon-twittericon-youtubelogo-not
People 弁護士等紹介

多岐にわたる分野の専門的知識と実績を持つ弁護士が機動的にチームを組み、質の高いアドバイスや実務的サポートを行っています。

Publications 著書/論文

当事務所の弁護士等が執筆したニュースレター、論文・記事、書籍等のご紹介です。多様化・複雑化する法律や法改正の最新動向に関して、実務的な知識・経験や専門性を活かした情報発信を行っています。

Seminars 講演/セミナー

当事務所では、オンライン配信を含め、様々な形態でのセミナーの開催や講演活動を積極的に行っています。多岐にわたる分野・テーマの最新の企業法務の実務について解説しています。

Who We Are 事務所紹介

長島・大野・常松法律事務所は、国内外での豊富な経験・実績を有する日本有数の総合法律事務所です。 企業が直面する様々な法律問題に対処するため、複数の弁護士が協力して質の高いサービスを提供することを基本理念としています。

SCROLL
TOP
Publications 著書/論文
ニュースレター

デュアルユース品等の輸出管理を目的とした新告示の制定(タイ)

NO&T Asia Legal Update アジア最新法律情報

※本ニュースレターは情報提供目的で作成されており、法的助言ではありませんのでご留意ください。また、本ニュースレターは発行日(作成日)時点の情報に基づいており、その時点後の情報は反映されておりません。特に、速報の場合には、その性格上、現状の解釈・慣行と異なる場合がありますので、ご留意ください。

1. タイにおける安全保障貿易管理制度

従前、タイにおける安全保障貿易管理に関する規制は、主として、輸出入に関する一般的な法律である輸出入管理法によってなされており、デュアルユース品(民生用途及び軍事用途の双方の目的に使用可能なもの。以下同じ。)等の輸出に関連する規制についても同法に基づく告示(「旧告示」)にその詳細が定められていた。旧告示の下では、規制対象となるデュアルユース品等(例えば、鉄部品、変換器、バルブ及びパイプ等)が定められ、輸出者は、特定のデュアルユース品等を輸出する際には、事前に許可を取得するか又は自己申告(Self-Certification)を行うことが求められていた。しかし、2019年4月に大量破壊兵器の拡散に関連する品目の規制を目的とした大量破壊兵器及び関連品目貿易管理法(Trade Controls of Weapons of Mass Destruction Act)(「TCWMD法」)が制定されたことに伴い、それまで輸出入管理法の守備範囲であったデュアルユース品等の輸出に関する規制は主としてTCWMD法に基づき規制されるべきであるとして、2020年1月、輸出入管理法に基づく旧告示は廃止された。旧告示が廃止されて以降、TCWMD法に基づく告示が制定されなかったために、デュアルユース品等の輸出に関する規制が実質的に存在しない時期が続いたが、2021年10月11日に大量破壊兵器の拡散に関連する規制対象品の管理及び最終使用用途又はエンドユーザーが大量破壊兵器の拡散に関連する疑いのある物品に関する措置を定めた告示(「新告示」)が公表され、2021年12月26日に施行された。本稿では、TCWMD法及び新告示の概要を紹介する。

2. TCWMD法の概要

TCWMD法が規制する活動は、大量破壊兵器、軍事兵器及びデュアルユース品目を含む、大量破壊兵器に関連する物品の輸出、再輸出、積み替え、移送及び媒介その他の大量破壊兵器に関連する物品の拡散を企図した活動(「規制対象活動」)である。TCWMD法は、以下の3つのレベルに分類して、商務省が定める告示に基づき規制対象活動を規制することを予定している。

(1) 規制対象活動を行うのに許可を必要とする物品

(2) 規制対象活動を行うのに大量破壊兵器の拡散に関連しない物品であることを証明する認証を必要とする物品

(3) 規制対象活動を行う際に、大量破壊兵器の拡散に関連する物品の管理のために課される措置の対象となる物品

2022年4月1日時点では、上記(1)及び(2)に関する告示は公表されていないため、TCWMD法上、許可又は認証の対象となる物品は存在しない。新告示は、上記(3)に定める大量破壊兵器の拡散に関連する物品の管理のために課される措置の対象となる物品及びかかる措置の詳細を定めるものである。

3. 新告示の概要

■ 規制品目

新告示においては、以下の2種類のリストを通じて規制品目を特定している。

(1) デュアルユース品目リスト(「リスト1」)

リスト1は、2019年EU Dual-Use Item List(「EUデュアルユース品目リスト」)をベースに作成されたリストであり、大きく以下の10のカテゴリーに分類される。

  • カテゴリー0: 核物質(126品目)
  • カテゴリー1: 特殊素材・関連装置(458品目)
  • カテゴリー2: 材料加工(229品目)
  • カテゴリー3: 電子機器(232品目)
  • カテゴリー4:コンピュータ(21品目)
  • カテゴリー5:電子機器・情報セキュリティ(93品目)
  • カテゴリー6:センサー・レーザー(353品目)
  • カテゴリー7:ナビゲーション・航空電子(93品目)
  • カテゴリー8:海洋・乗り物(57品目)
  • カテゴリー9:航空宇宙・推進装置(169品目)

なお、リスト1の中には、有体物のみならず、技術それ自体を規制品目としているものもある。例えば、ウォータージェット推進システムのオーバーホール又は修理に使用される技術や低水線面積船舶(small waterplane area vessels)の開発又は生産に関する技術がこれに該当する。そのため、かかる技術を化体した図面等も規制品目に該当すると考えられる。

(2) みなしデュアルユース品目リスト(「リスト2」)

リスト2は、HSコードに基づいて規制品目が特定されている。リスト1が、EUデュアルユース品目リストに準拠して一般的に軍事利用が可能なものをリストアップしているのに対して、リスト2は、これに加えて、一般的にデュアルユース品目に該当しないものであっても、デュアルユース品目と同等の規制を課すべきと判断されたものが広く定められている。

■ 大量破壊兵器の拡散に関連する物品の管理措置

リスト1及びリスト2に記載されている品目の物品の輸出その他の規制対象活動を行う際には、TCWMD法上、輸出許可又は認証申請を行う必要はなく、これらの物品は、関係当局による事後審査の対象になり得るに留まる。具体的には、新告示によれば、日々の行政活動を通じて、警察局、陸軍局、科学技術開発局等の関係当局から商務省外国貿易局(「DFT」)に対して、大量破壊兵器の拡散のリスクがある物品が輸出される又は最終使用用途若しくは輸出先のエンドユーザーが大量破壊兵器の拡散に関連するとの疑いがある等のリスク情報が報告された場合に初めて当該物品がDFTによる審査の対象になる。

DFTは、かかるリスク情報を受領した場合、以下の3つの手順に従って、大量破壊兵器の拡散のリスク評価を行う。

(1) 規制対象活動の対象となる物品がリスト1又はリスト2に記載の品目に該当するか否か

(2) 規制対象活動に関連する人物(輸出者のみならず物品の購入者も含む。)が、国際連合安全保障理事会の統合リストに記載の者であるか又は大量破壊兵器の拡散に関連する人物若しくはグループに該当するか否か

(3) 規制対象活動を行う者が、新告示に定める輸出管理内部規程(Internal Compliance Program)(「ICP」)に沿った体制を整備しているか否か及び大量破壊兵器の拡散のリスクがないことを証明するエビデンスを提出することができるか否か

上記(3)のとおり、DFTによるリスク評価の対象となった場合、輸出許可等の判断にあたって一つの重要な要素となるのが輸出者におけるICPの体制整備の状況である。新告示ではICPの体制整備の内容として大要以下のものを挙げている。

  • 管理業務の責任・分配システム
  • 使用用途・エンドユーザーの確認システム
  • 研修システム
  • 文書管理システム
  • 検査・改善システム
  • 報告システム

上記各システムの構築のための詳細はDFTが別途定める告示(「DFT告示」)において定められている。また、DFT告示によれば、ICPの体制整備の程度に応じて輸出者に体制整備に関するランクが付与されることになっている。具体的には、上記各システムの基準を満たした数に応じて以下のランクが付与される。

  • Good Level(2つ以上の基準を満たした場合)
  • Very Good Level(4つ以上の基準を満たした場合)
  • Complete Level(全ての基準を満たした場合)

このランク付けがどの程度リスク評価の際に影響を及ぼすかという点については、今後の実務の運用を注視する必要がある。

4. 罰則

リスク評価に関する罰則は以下のとおりである。

(1) リスク評価の結果、DFTによって命ぜられた措置に従わない場合:2年以下の懲役若しくは200,000バーツ以下の罰金又は双方

(2) リスク評価の過程で虚偽の情報提供又は情報の隠蔽を行った場合:1年以下の懲役若しくは100,000バーツの罰金又は双方

法人が処罰の対象となる場合、法人の行為が、取締役等の指示若しくは行為によって生じた場合、又は、取締役等が指示を怠ったことにより生じた場合には、当該取締役等も同様に処罰の対象になる。なお、ICPの体制整備を行っていないことそれ自体は、罰則の対象にはなっていない。

5. 輸出入管理法との関係

デュアルユース品等の輸出に関する規制は主としてTCWMD法に基づき行われることとなったが、特定の国に対する武器等の輸出については、依然として輸出入管理法に基づき禁止されている場合があるため注意が必要である。例えば、イエメンに対しては武器の輸出、ISIL及びアルカイダ組織に対しては武器及び経済資源の輸出、北朝鮮に対しては兵器、武器、液化天然ガス、石油製品、機械、鉄鋼等の輸出が禁止されている。

本ニュースレターは、各位のご参考のために一般的な情報を簡潔に提供することを目的としたものであり、当事務所の法的アドバイスを構成するものではありません。また見解に亘る部分は執筆者の個人的見解であり当事務所の見解ではありません。一般的情報としての性質上、法令の条文や出典の引用を意図的に省略している場合があります。個別具体的事案に係る問題については、必ず弁護士にご相談ください。


全文ダウンロード(PDF)

弁護士等

国際通商・経済制裁法・貿易管理に関連する著書/論文

海外業務に関連する著書/論文

アジア・オセアニアに関連する著書/論文

タイに関連する著書/論文

決定 業務分野を選択
決定