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コーポレートサービスプロバイダー法及び会社・有限責任組合(雑則改正)法の成立(シンガポール)

NO&T Asia Legal Update アジア最新法律情報

※本ニュースレターは情報提供目的で作成されており、法的助言ではありませんのでご留意ください。また、本ニュースレターは発行日(作成日)時点の情報に基づいており、その時点後の情報は反映されておりません。特に、速報の場合には、その性格上、現状の解釈・慣行と異なる場合がありますので、ご留意ください。

1. 概要

 2024年7月2日、コーポレートサービスプロバイダー法(「CSP法」)、及び、会社・有限責任組合(雑則改正)法(「CLLPMA法」)が可決された。目的は、シンガポールにおけるマネーロンダリング、テロ資金供与及び拡散金融(「マネーロンダリング等」)対策の強化等である。具体的には、CSP法は所定のコーポレートサービスプロバイダー(「CSP」)等に対する規制を強化するものであり、CLLPMA法は、会社や有限責任組合の実質的所有者等に関する透明性を高めるものとなっている。

2. 主な内容

 これらの法改正の主な内容は、以下のとおりである。

  • 会計企業規制庁(Accounting and Corporate Regulatory Authority、「ACRA」)への登録義務:シンガポールで所定のコーポレートサービスを提供する事業を行う者は、顧客に代わってACRAに対し取引(transaction)の申請を行わない場合であっても、CSPとしてACRAに登録しなければならないこととされた。これは、現行法上、顧客に代わりACRAへの申請行為を行うCSPにのみ適用されていたACRA登録申請代理人としての登録義務の適用範囲をACRA登録申請代理人以外のCSPにも拡大するものである。
  • マネーロンダリング等防止に関する義務:登録CSPは、マネーロンダリング等防止のための規定を遵守する必要がある。詳細については、今後制定される下位法令等で示される予定である。かかる義務に違反した場合、CSPやそのシニアマネジメントには最大100,000シンガポールドル(約11,600,000円※1)の罰金が科される。
  • 名義取締役に関する規制強化:個人が事業として会社の名義取締役(nominee director)として活動することは、当該個人の名義取締役への就任が登録CSPによって手配されている場合等を除き、原則として禁止される。すなわち、業として名義取締役を務める場合、所定の場合を除き、必ず登録されたCSPを通じて手配されることが必要となる。かかる規制に違反した場合、当該個人に最大10,000シンガポールドル(約1,160,000円)の罰金が科される。また、登録CSPは、個人の名義取締役への就任を手配する際、当該個人の取締役としての適格性(fit and proper)を判断するために合理的な手段を講じなければならない。かかる規制に違反した場合、登録CSPに最大100,000シンガポールドル(約11,600,000円)の罰金が科される。

  • 名義取締役等に関する情報開示義務:会社は、名義取締役や名義株主等の情報をACRAに開示しなければならない。かかる名義取締役や名義株主に関する情報は(business profileに掲載される等により)一般に公開される。もっとも、全ての情報が公開されるわけではなく、公的機関のみが、法令執行や行政上の目的で完全な情報(指名者(nominator)の情報等)にアクセスすることが可能である。
  • 登録情報の正確性の確保:企業や有限責任組合は、登録可能支配者(registrable controller)や名義取締役・名義株主に関するACRAにおける登録情報を正確かつ最新の状態に維持する必要があり、当該義務に違反した場合には最大25,000シンガポールドル(約2,900,000円)の罰金が科される。

3. 施行時期

 CSP法及びCLLPMA法はまだ施行されておらず、政府官報で施行日が通知される予定である。ACRAのwebsiteによれば、上記各改正を実施するために十分な準備期間を確保するとのことである。

脚注一覧

※1
1シンガポールドル=116円(2024年10月31日現在為替)で計算。以下、為替計算について同様。

本ニュースレターは、各位のご参考のために一般的な情報を簡潔に提供することを目的としたものであり、当事務所の法的アドバイスを構成するものではありません。また見解に亘る部分は執筆者の個人的見解であり当事務所の見解ではありません。一般的情報としての性質上、法令の条文や出典の引用を意図的に省略している場合があります。個別具体的事案に係る問題については、必ず弁護士にご相談ください。


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