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アジアにおける投資案件の最近の傾向 アジアにおける投資案件の最近の傾向
01M&A

アジアにおける投資案件の最近の傾向

当事務所のアジアプラクティスチームは、アジアの様々な地域の投資案件について、案件の大小を問わず、複雑な案件や地域を横断する案件も含めて様々な案件に取り組んでおります。本稿では、アジアの投資案件に豊富な経験を有する各オフィスの弁護士がアジアにおける投資案件の最新の傾向や当事務所の案件取り組みの体制等についてディスカッションした内容を記載しています。

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弁護士写真

若江悠

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山本匡

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佐々木将平

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澤山啓伍

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ラシミ・グローバー

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イクサン・モンタン

アジアにおける投資案件の最近の傾向

Chapter 01

01

アジア投資の特徴

ラシミ・グローバー弁護士
ラシミ

本日はアジアにおけるコーポレート/M&A案件に関する当事務所のサポート体制・近時の取り組みについてお話したいと思います。

若江悠弁護士
若江

経済成長が著しいアジアですが、景気の好不調の波が大きいことも特徴であり、外資の誘致も含めて当局の意向により経済状況にあわせて規制の変更がなされることがあります。日本と比べると法制度の変更のスピードが速いことが多く、最新の情報を正確に早くすることが重要となります。

佐々木将平弁護士
佐々木

法整備のスピード感は早いものの、それでもなお、東南アジアを中心に未だ日本と同様の法制度が整っていない国も多いです。
例えば、タイでは、未だ会社分割制度は導入されておらず、合併に関しても、元々は新設合併しか選択肢がなかったのですが、吸収合併制度がようやく2023年になって導入されました。このように日本の法制度と比べると、未整備な状況の中で、ベストな選択肢が何なのかを考えていく必要があります。

アジアにおける投資案件の最近の傾向 アジアにおける投資案件の最近の傾向

Chapter 02

02

近時のトレンド-複数の法域を跨ぐ投資案件の増加

ラシミ・グローバー弁護士
ラシミ

投資案件の近時のトレンドについても伺えますでしょうか。

澤山啓伍弁護士
澤山

日系企業が事業の集中と選択を進めるにあたり、一部の事業を切り出して売却するカーブアウト取引の数が増えている印象があります。カーブアウト取引は、海外子会社においても、事業の一部切り出し等の手続が必要となり、また国によっては許認可の取り直しが必要になるなど、法人の株式をそのまま譲渡するよりも案件が複雑化する傾向にあります。

山本匡弁護士
山本

これまでは日本の企業を代理して、日本国外の事業へ投資を行うことをサポートする事例が多かったですが、最近は、日系企業以外の会社を代理する案件も増えてきております。例えば、インドの事業会社は、10年ほど前に比べると、海外への投資に積極的です。買収の対象は、日本を含めたアジアの複数の法域での事業となることもあります。

澤山啓伍弁護士
澤山

いずれの場合も、一つの法域での取引で完結せず、複数の法域で取引がなされる場合があります。

ラシミ・グローバー弁護士
ラシミ

そうすると、複数の拠点が共同して案件に対応を行う機会も多そうですね。

山本匡弁護士
山本

そのとおりです。複数の法域を跨ぐ案件においては、複数の法域をカバーする弁護士が介在しますので、共通認識を持って案件に対応できる体制を構築することが重要となりますが、当事務所では多くの案件を複数の弁護士が共同して対応しているため、スムーズに案件に対応できる体制が構築されております。

アジアにおける投資案件の最近の傾向 アジアにおける投資案件の最近の傾向

Chapter 03

03

各拠点の取り組み・拠点を越えたサポート体制

ラシミ・グローバー弁護士
ラシミ

各拠点の案件への取り組みについても簡単に教えて頂けますでしょうか。

佐々木将平弁護士
佐々木

バンコク・オフィスでは現在20名弱の弁護士が所属しており、ストラクチャリングやデューディリジェンス段階から、契約書作成及び相手方との間の条件交渉・競争法上求められる届出手続まで、ワンストップにて案件に対応できる体制が整備されております。

イクサン・モンタン弁護士
イクサン

複数の法域が関連する取引においては、例えば、シンガポール・オフィスに所属するフィリピンやマレーシアを原資格国とする同僚の弁護士と共同しながら、案件に対応することがあります。

若江悠弁護士
若江

上記のとおり、近時は拠点を横断した案件の数も増えております。特に、中国は、電気自動車等の市場にて東南アジア向けの投資を拡大しています。経済安全保障の観点も踏まえて日本企業が中国の拠点を整理したうえで、インドや東南アジアにて新たな投資を行う案件もある一方で、一部の分野において最先端の研究開発やデータの取得が行われている中国からのライセンスやデータ・技術移転をすることもあります。今後はこのような動きを含めてアジアの各拠点と共同して対応を行っていく機会も益々増えていくものと考えております。

澤山啓伍弁護士
澤山

上述のとおり、複数の拠点を跨いで協業を行う機会が頻繁にあり、案件を通じて複数拠点に所属する弁護士が共同して作業をしています。例えば、東京オフィスが依頼者との窓口や案件のハブとなり、各拠点とシームレスにやりとりをする場合が典型例となります。案件を通じて、拠点を越えたチームワークが形成されております。

若江悠弁護士
若江

案件以外の人材の交流も積極的に行っております。東京オフィスに所属する若手の弁護士が短期でアジアの各オフィスにて職務経験を行う機会を設けていたり、アジアの各オフィスの弁護士が当事務所のカルチャーについてより深く理解ができるように東京オフィスで研修を行う機会を設けたりしています。
その他、アジアのオフィスの弁護士が一堂に会する機会を定期的に設けて、チームビルディングを行ったり、意見交換をしたりする機会を積極的に設けております。

ラシミ・グローバー弁護士
ラシミ

近年は複数の法域を跨がる案件が増えてきておりますが、当事務所ではそのような案件にも対応できるような充実した体制が確立されていることがよく伝わったのではないかと思います。今後も新たな案件で拠点を越えて協業できることを楽しみにしています。

皆さん、本日は有り難うございました。

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Profiles

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若江悠

長島・大野・常松法律事務所パートナー、上海オフィス首席代表。2002年東京大学法学部卒業、2009年 Harvard Law School卒業(LL.M.、Concentration in International Finance)。2009年から2010年まで、Masuda International(New York)(現当事務所ニューヨーク・オフィス)に勤務し、2010年から2012年までは、当事務所提携先の中倫律師事務所(北京オフィス)に勤務。
現在は長島・大野・常松法律事務所上海オフィスの首席代表としてM&A、ファイナンス及び一般企業法務等の中国業務全般を担当する。

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山本匡

長島・大野・常松法律事務所パートナー。2009年~2010年にAmarchand & Mangaldas & Suresh A. Shroff & Co.(現Cyril Amarchand Mangaldas)(Munbai Office及びBangalore Office)、2011年に日系証券会社インド子会社(Mumbai)、2012~2014年にスズキ株式会社(Maruti Suzuki India Limited(New Delhi))、2014~2017年にNagashima Ohno & Tsunematsu Singapore LLPに勤務。新興国、特にインドを中心とする日系企業の法務全般に携わる。M&A(アウトバウンド及びインバウンド)のみならず、現地での勤務経験を活かし、日系企業の海外でのオペレーションに関連して生じる法的問題全般を取り扱う。

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佐々木将平

長島・大野・常松法律事務所バンコク・オフィス(Nagashima Ohno & Tsunematsu (Thailand) Co., Ltd.)代表。2004年東京大学法学部卒業。2011年 University of Southern California Gould School of Law 卒業(LL.M.)。 2011年~2014年までSiam Premier International Law Office Limited(バンコク)勤務。
日本企業のタイ進出及びM&Aのサポートのほか、在タイ日系企業の企業法務全般にわたる支援を行っている。タイの周辺国における投資案件に関する助言も手掛けている。

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澤山啓伍

2011年以来ベトナム・ハノイを拠点として執務しており、ベトナム及び周辺国への日系企業の事業進出や現地企業の買収、インフラ投資案件、既進出企業の現地でのオペレーションに伴う法務(事業拡大のための法令調査、紛争、労務、取引契約レビュー等)を中心にアドバイスを行っている。

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ラシミ・グローバー

シンガポール・オフィス所属。インド法及び英国法の弁護士資格を有する。インド案件において豊富な経験を有し、M&A、ジョイント・ベンチャー、プライベート・エクイティ、事業/資産譲渡、当局対応、社債発行業務等、企業取引および金融取引に関する助言に従事している。

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イクサン・モンタン

IM&Partnersの代表を務める。インドネシア大学卒業(Cum Laude)。Erasmus University Rotterdam (Netherlands)卒業。インドネシアの大手法律事務所での執務後、2017年に当事務所に入所。日本企業に対するインドネシア法務に関する助言業務に豊富な経験を有し、インドネシア案件のうち、一般企業法務、M&A、海外直接投資、TMT、不動産開発案件において多くの経験を有する。

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