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ニュースレター

株主総会資料の電子提供措置―2022年総会に向けて必要な準備と対応―

NO&T Corporate Legal Update コーポレートニュースレター

※本ニュースレターは情報提供目的で作成されており、法的助言ではありませんのでご留意ください。また、本ニュースレターは発行日(作成日)時点の情報に基づいており、その時点後の情報は反映されておりません。特に、速報の場合には、その性格上、現状の解釈・慣行と異なる場合がありますので、ご留意ください。

はじめに

 「会社法の一部を改正する法律」(令和元年法律第70号、以下「改正法」といいます。)の大半の規定は、2021年3月1日に施行されましたが、未施行となっていた株主総会資料の電子提供措置及び会社の支店の所在地における登記の廃止に関する規定については、2022年9月1日に施行されることになりました※1

 本ニュースレターでは、改正法が定めている株主総会資料の電子提供措置の概要を改めて確認するとともに、2022年秋に迫った株主総会資料の電子提供措置に関する規定の施行及び2023年3月1日以降の電子提供措置制度の利用を見据えて、2022年の定時株主総会において準備と対応が求められる事項、特に、多くの上場企業において対応・検討することが求められる定款変更の内容について、焦点を絞って解説いたします。

 なお、令和元年会社法改正については、NO&T Corporate Legal Update No.3(2020年9月)及びNO&T Corporate Legal Update No.5(2021年4月)においても解説を行っておりますので、特に昨年の総会で改正法の対応が不要であった会社の担当者の皆様におかれては、これらも併せて参照いただければと思います。

株主総会資料の電子提供措置の概要

 株主総会資料の電子提供措置は、株主総会資料(議決権の行使について参考となるべき事項を記載した書類、株主が議決権を行使するための書面※2、事業報告、計算書類、連結計算書類等)を自社のホームページ等のウェブサイトに掲載し、株主に対してはそのウェブサイトのアドレス(URL)等を書面で通知することによって、株主の個別の承諾を得ることなく、株主総会資料をインターネットで提供することができる制度です。令和元年会社法改正により新たに設けられた制度であり、改正法325条の2以下に定められています。

 なお、非公開会社においても電子提供措置を導入することができますが、公開会社、特に上場会社においては後述するとおり電子提供措置の利用が強制される※3ことを踏まえ、以下、上場会社を念頭に置いて解説します。

1.株主総会資料の電子提供措置の内容及び趣旨

 上場会社は、株主総会資料の電子提供措置を利用する場合、株主総会の3週間前の日※4又は招集通知を発送した日のいずれか早い日に、株主総会資料をウェブサイトに記載し、株主に対しては総会の2週間前に、当該ウェブサイトのURL等を記載した書面を発送することで、インターネットを利用して電子的に株主に資料を提供することになり、株主は、インターネットを利用して指定されたウェブサイトにアクセスして、資料の内容を閲覧することができることになります。株主総会資料の電子提供措置を通じて、会社は株主総会資料の印刷・郵送に係る時間や費用を削減できるとともに、株主に対する株主総会資料の早期の提供やインターネットを通じて従来よりも充実した内容の参考資料の提供を通じた会社と株主との間の建設的な対話の一層の促進が期待されることから、電子提供措置は、会社・株主双方にとってメリットを享受することができる重要な制度として期待されています。

 他方で、株主総会資料の電子提供措置の留意点としては、いわゆるデジタルデバイドの問題が指摘されております。改正法は、インターネットを利用することが困難である株主に配慮し、株主が、会社に対して、株主総会の基準日までに、株主総会資料に記載すべき事項を記載した書面の交付を求める請求(以下「書面交付請求」といいます。)ができることを定めています※5。株主から書面交付請求があった場合、会社は、当該株主に対し、総会の2週間前までに、総会の招集通知と併せて、電子提供措置事項※6を記載した書面を提供する義務を負います。これらの内容を図解すると以下の図のようになります。

2.今後の対応について

 冒頭で述べたとおり、株主総会資料の電子提供措置は2022年9月1日に施行されますが、電子提供措置をとることについて、以下で項を分けて詳述するとおり、定款の定めが必要とされていますので、2022年の定時株主総会に向けて、定款変更の要否及びその内容について検討することが必要になります。

 また、以下で述べるとおり、上場会社は電子提供措置を利用することが強制され、施行日から6か月経過後(2023年3月1日以降)に開催する株主総会(6月総会の会社であれば、2023年6月総会以降に開催する株主総会)から電子提供措置を利用しなければなりませんし※8、株主による書面交付請求については、施行日から改正法の適用がありますので、施行日以降すぐに株主から書面交付請求がなされる可能性があります。そのため、施行日までに、あらかじめ、社内規程(株式取扱規程等)の見直しや、システムの構築、通知書面の作成等、具体的な手続及び実務上のフローを検討のうえ、余裕を持って準備を進めていただくことが望ましいと思われます。

2022年定時株主総会に向けた準備と対応

1.定款変更が必要になること

 以下に詳細を述べるとおり、2022年の定時株主総会において、電子提供措置に関連して、以下の3点の定款変更を行うことが考えられます。これらの定款変更の内容については、2021年10月に改正された全国株懇連合会の定款モデル※9が参考になりますので、併せてご参照ください。

  • ①電子提供措置をとる旨の定款規定の新設(下記(1))
  • ②一部不記載措置の定款規定の新設(下記(2))
  • ③ウェブ開示の定款規定の削除(下記(3))
(1) 電子提供措置をとる旨の定款規定の新設(必要的)

 「会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(令和元年法律第71号、以下「整備法」といいます。)により、振替法159条の2が新設され、2023年3月1日以降、上場会社は、電子提供措置を利用することが強制されます。

 ここで、整備法10条2項に基づく振替法の改正に伴う経過措置があり、電子提供制度の施行日である2022年9月1日において上場会社である場合は、施行日を定款変更の効力発生日とする電子提供措置をとる旨の定款の定めを設けるという定款変更の株主総会決議をしたものとみなされますので、この点だけをみれば、今年の定時株主総会における定款変更は必要ないと整理することもできないわけではありません。

 もっとも、以下の(2)に述べるとおり、電子提供措置を利用する際に、株主から書面交付請求がなされた場合において、一部の事項を書面に不記載とする措置を講じるためには、基本的に、今年の定時株主総会の段階でその措置を可能にする定款変更を経ておくことが必要となります。そこで、当該定款変更と併せて、電子提供措置をとることの定款変更についても定款変更を実施するのが実務的な対応であり、多くの上場会社において基本的には同様の対応をとることが予想されます。

(2) 書面交付請求をした株主に交付する電子提供措置事項記載書面の記載事項を一部不掲載とするための定款規定の新設(任意的)

 電子提供措置制度を利用する場合であっても、株主から書面交付請求があったとき、会社は、当該株主に対し、招集通知と併せて、電子提供措置事項を記載した書面を提供することが必要になりますが、この電子提供措置事項記載書面には、原則として電子提供措置事項を全て記載しなければなりません。但し、定款の定めがある場合には、一部の事項の記載が省略できますので(一部不記載措置)、定款にそのような定めを置くかどうかを検討する必要があります。

 もっとも、この点については、上記(1)で述べた整備法によるみなし定款変更の規定は設けられていないことから、2023年3月以降の電子提供措置制度の利用に際して、一部不記載措置を講ずるためには、それまでの間に別途臨時株主総会を開催して定款を変更する対応をとらない限りは、今年の定時株主総会において定款変更を行うことが必要となります。

(3) ウェブ開示によるみなし提供制度にかかる定款規定の削除(任意的)

 いわゆるウェブ開示によるみなし提供制度を導入している会社においては、ウェブ開示に係る定款の定めが存在します。電子提供措置を導入する以上、ウェブ開示によるみなし提供制度は必要ありませんので、ウェブ開示に関する既存の規定を削除することが考えられます。

(4) 定款の附則における効力発生日及び経過措置に関する定款規定の追加(必要的)

 上記(1)及び(2)の内容は改正法に基づく規定ですので、「改正法の施行日をもって定款変更の効力を発生させること」を定款の附則で定めておくべきと思われます。

 また、上場会社においては、施行日の6か月以内(2023年3月1日より前)に開催される株主総会については電子提供措置が利用できず従来通りの方法で株主総会資料を提供することになるため※10、その期間中に開催される株主総会に関しては、ウェブ開示を利用する意義がありますので、「施行日から6か月以内の日を株主総会の日とする株主総会については、ウェブ開示に関する定款規定がなお有効であること」を附則で定め、当該期間中にウェブ開示を利用できるようにしておくべきと考えます。かかる場合には、ウェブ開示は、当該総会の招集通知を発する日から総会後3か月を経過する日までに行う必要があることを踏まえ、「かかる附則については、施行日から6か月を経過した日又は当該株主総会の日から3か月を経過した日のいずれか遅い日後に削除すること」を定めることも必要になると考えられます。

(5) その他

 バーチャル株主総会についての定款変更等、電子提供措置に関する定款変更以外にも定款変更を検討されている事項がもしある場合には、電子提供措置に関する定款変更が必要となる今回の総会においてまとめて定款変更をすることを検討することも一案です。なお、バーチャル株主総会についてはNO&T Client Alert(2020年4月22日号)をご参照ください。

2.想定問答の準備

 特に今年の総会において電子提供措置に関する定款変更を行う会社においては、株主から電子提供措置に関する質問(例えば、来年以降の株主総会における電子提供措置制度の運用方針やデジタルデバイドへの配慮の考え方等に関する質問等)がなされる可能性も想定されるところですので、上述した書面交付請求制度の内容を踏まえた適切な想定問答を準備しておくことが望ましいと思います。

3.定款変更後の登記手続

 電子提供措置をとる旨の定款の定めは登記事項ですので、株主総会において定款変更を行った会社においてはその旨を定款変更の効力発生日から2週間以内に登記することとなります。また、このような定款変更を行わず整備法により定款変更決議をしたものとみなされる場合についても、定款変更について登記申請を行うことが必要となります。定款変更決議をしたものとみなされた会社は、施行日から6か月以内にその本店の所在地において登記をすればよいものとされていますが※11、そのような会社の場合でも、施行日以降定款変更の登記をするまでの間に他の登記をする場合は、同時に定款変更の登記をすべきものとされている※12点に留意が必要です。

最後に

 以上、述べてきたとおり、特に上場会社においては、今年の株主総会の準備として、株主総会の電子提供措置に関わる定款変更の要否及びその内容について検討する必要があります。本ニュースレターが、本年度の総会に向けた準備に際して、その整理・検討の一助となれば幸いです。

脚注一覧

※1
「会社法の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令」(令和3年政令第334号)

※2
招集通知に際して、株主に対し議決権行使書面を交付する場合は、例外的に、議決権行使書面の電子提供措置は不要とされています(会社法325条の3第2項)。個々の株主に紐付いた情報を記載しなければならない議決権行使書面について電子提供措置を講ずることは負担が大きいこと等を背景として、議決権行使書面については、従前通り書面で送付する会社が多いのではないかと予想されます。

※3
但し、有価証券報告書提出義務を負う会社が、法定の電子提供措置開始日までに、電子提供措置事項(議決権行使書面を除きます。)を記載した有価証券報告書の提出をEDINETにより行う場合には、電子提供措置は不要とされています(いわゆるEDINET特例。会社法325条の3第3項)。

※4
なお、上場会社については、上場規則によって、株主総会の日の3週間前よりもさらに早期に電子提供措置を開始するよう努めることが求められています(有価証券上場規程施行規則437条3号)。

※5
改正法325条の5

※6
改正法325条の3第1項各号

※8
整備法により定款変更の株主総会決議をしたものとみなされた会社が、株主総会の日が施行日から6か月以内の日である株主総会について招集手続を行う場合には、株主による書面交付請求を除き改正法は適用されず、従前の例によることになります(整備法10条3項)。

※9
全国株懇連合会理事会「株主総会資料の電子提供制度に係る定款モデルの改正について」3頁(2021年10月22日)

※10
整備法10条3項

※11
整備法10条4項

※12
整備法10条5項

本ニュースレターは、各位のご参考のために一般的な情報を簡潔に提供することを目的としたものであり、当事務所の法的アドバイスを構成するものではありません。また見解に亘る部分は執筆者の個人的見解であり当事務所の見解ではありません。一般的情報としての性質上、法令の条文や出典の引用を意図的に省略している場合があります。個別具体的事案に係る問題については、必ず弁護士にご相談ください。


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