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ニュースレター

「製品品質法」改正草案のパブコメ版(中国)

NO&T Asia Legal Update アジア最新法律情報

※本ニュースレターは情報提供目的で作成されており、法的助言ではありませんのでご留意ください。また、本ニュースレターは発行日(作成日)時点の情報に基づいており、その時点後の情報は反映されておりません。特に、速報の場合には、その性格上、現状の解釈・慣行と異なる場合がありますので、ご留意ください。

はじめに

 中国の国家市場監督管理総局は2023年10月18日に製品品質法の改正草案(以下、「改正草案」という。)を公表し、同年11月18日までの意見募集を実施した。中国の製品品質法は、製造物責任を定めるなど中国で製造販売業を営む事業者にとって重要性の高い法令である。これまで、2000年に大幅な改正が行われたが、それ以降に行われた2009年及び2018年の改正はいずれも部分的な改正に留まっていた。改正草案は、構成を全6章111条に充実させ、従来の消費者保護及び欠陥品対応に加え、事業者による品質安全管理制度の確立を要求するほか、用語の定義、事業者責任の強化及び新規責任の追加、懲罰的損害賠償並びに訴訟時効の明確化等、現行法を大幅に修正する内容となっている。

 本稿では、特に外資企業にとって関心が高いと思われる改正点を中心に紹介する。

1. 定義の明確化

 現行法の適用範囲は、中国国内における製品の製造、販売活動と規定されているが、「製造者」及び「販売者」の定義は明確に定められていない。

 これに対し、改正草案は、製造者及び販売者の定義を明確にし、製造者とは、「実際に製品の製造に従事する事業者、又は、実際に製品の製造には従事しないものの自らの氏名、名称、商標若しくはその他識別用の標識を製品に付すことによって製品の製造者であることを表示する事業者」をいい、また、販売者とは、「自らの名義で消費者に製品を販売する事業者及びその他の事業者を販売先とする供給者」をいうとされている。

 これらの概念については現行法に明確な定義がなされていないことから、これまで製造者については、例えば製造委託の場合における製造者は委託元かそれとも委託先、又は双方を含むのか、また、販売者については、消費者と直接の売買取引を行っていない卸売業者や転売者も含むのかについて、一定の議論があった。実務においては、委託元及び委託先の双方が製造者に該当し、消費者と直接の売買取引を行っていない卸売業者や転売者も販売者に該当するという見解が有力であったことを受け、改正草案は、製造者及び販売者の定義を明確にした。

2. 事業者責任の強化及び新規責任の追加

(1) 欠陥品対応責任の強化

 現行法は、人身等に重大被害をもたらす製品の品質事故が発生した場合の報告調査義務やリコール責任を規定しておらず、自動車、薬品、食品及びそれ以外の一般消費品等それぞれに適用される個別の下位法令においてリコール規定が制定されている※1。改正草案は、製品の種類を問わず報告及び調査の義務を規定した。具体的には、製造者に対して、①製品について重大な人身の被害又は死亡、疾病及び財産損害等の事故の発生を知ってから2日以内の当局に対する報告義務、②迅速に調査を実施し当局に対する報告日から7日以内に調査報告を提出する義務、また、販売者に対して、製品事故を製造者に通知するとともに当局に対して報告する義務をそれぞれ課している。これらの報告義務や調査報告提出義務に違反した場合、是正命令の対象になりうるほか、製造者につき5万RMB以上10万RMB以下の過料、販売者につき1万RMB以上5万RMB以下の過料の対象にもなりうる。日本においては、重大製品事故の報告義務に違反した場合には、体制整備命令の措置がとられ、さらに当該命令に違反した場合にはじめて罰金等の処分対象になりうるところ、中国においては、当初から過料が科されうる点で異なる。

(2) 事業者責任の追加

 現行法における製造者及び販売者の責任に加え、改正草案は、輸送者とECプラットフォームサービス提供者(以下、「EC提供者」という。)に対する責任も新たに規定した。特にEC提供者については、プラットフォームを利用する販売者に対する身分証明(法人である場合に営業許可証等の登録証明になると思われる。)、住所、連絡先等の情報請求及びこれらの情報の保存義務も課されている。

 また、EC提供者は、販売者により販売される製品が欠陥製品であることを知り、又は知りうべきであるにもかかわらず必要な措置を講じない場合、損害賠償の連帯責任を負うとされており、消費者保護の観点から重い責任が課されている。

3. 品質安全管理制度の確立

 改正草案では、新たに製造者及び販売者に対して品質安全管理の制度を確立する義務を課している。当該管理体系の内容としては以下の内容が規定されている。

内部の品質安全管理制度の構築

自らの事業規模、製品種類、リスクレベルに適合する品質管理の専門担当者の配置

職務品質規範、品質責任及び相応の評価方法の実施

内部の品質安全管理制度の構築

自らの事業規模、製品種類、リスクレベルに適合する品質管理の専門担当者の配置

職務品質規範、品質責任及び相応の評価方法の実施

 また、製造者に対しては、製品品質管理制度の確立義務の具体的な内容として、例えば、原材料や部品に関する調達の際の受取検査記録や製品販売記録を2年以上保存し、使用期限のある製品については当該期限満了の6ヶ月後まで保存する義務が定められている。一方、販売者に対しては、製品仕入受取検査制度の確立を求め、仕入元の記録、製品品質検査合格証や許可証、強制的製品認証等を法令に従い確認し、関連記録を保存する義務を課している。

4. 懲罰的損害賠償及び訴訟時効

(1) 懲罰的損害賠償

 改正草案は、欠陥の存在を明らかに認識しているにもかかわらず、なお製造若しくは販売した場合、又は、流通後に欠陥の存在を発見したものの適切な対応措置を講じない場合、被害者に通常の損害賠償に加え、当該損害の2倍以下の懲罰的損害賠償を請求する権利を認めている。2021年に施行された民法典1207条では製品品質責任に関する懲罰的損害賠償の規定が設けられているものの、当該損害賠償の基準は明確に定められていなかったが、改正草案は製品品質責任に関する懲罰的損害賠償を2倍以下と明確にした。

(2) 訴訟時効

 2018年改正の製品品質法では、製品品質責任に関する民事訴訟の訴訟時効は被害者が損害を受けたことを知ったとき又は知りうべきときから2年とされているが、その後施行された民法典では、一般債権の訴訟時効は3年とされている。製品品質責任の訴訟時効について、新法・一般法としての民法典と旧法・特別法としての製品品質法のどちらを適用するかという議論がある。この点、「民法典の時間効力に関する最高人民法院の若干規定」2条※2によると、民法典に定める3年を適用する余地があると思われるが、改正草案は、製品品質責任の訴訟時効を3年と明確に定めている。

総括

 改正草案は2000年から23年ぶりの大幅な改正といえる。この間の経済発展及び社会環境の変化に伴い新たに現れた各種の品質問題に対し、品質安全管理制度の確立、事業者責任の強化、懲罰的損害賠償及び訴訟時効の延長等により消費者の保護を図る法改正の意図が窺える。また、製品品質法は基本的に内資と外資を区別せずに外国投資者の中国現地法人にも適用され、中国に製品を輸出販売する外国メーカーの製品品質責任にも関わるため、今後の改正草案の動向が注目される。

脚注一覧

※1
欠陥自動車製品リコール管理条例、欠陥自動車製品リコール管理条例実施弁法、自動車排出ガスリコール管理規定、薬品リコール管理弁法、食品リコール管理弁法、消費品リコール管理暫定規定

※2
民法典施行前の法律事実による民事訴訟案件について、当時の法律、司法解釈に規定があれば、当時の法律、司法解釈を適用するが、民法典の規定を適用することによって民事主体の適法な権益の保護に有利である場合はこの限りでない。

本ニュースレターは、各位のご参考のために一般的な情報を簡潔に提供することを目的としたものであり、当事務所の法的アドバイスを構成するものではありません。また見解に亘る部分は執筆者の個人的見解であり当事務所の見解ではありません。一般的情報としての性質上、法令の条文や出典の引用を意図的に省略している場合があります。個別具体的事案に係る問題については、必ず弁護士にご相談ください。


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