
箕輪俊介 Shunsuke Minowa
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NO&T Asia Legal Update アジア最新法律情報
NO&T Data Protection Legal Update 個人情報保護・データプライバシーニュースレター
ニュースレター
個人データの域外移転に係る下位規則の制定(タイ)(2024年2月)
個人情報保護法違反を理由に制裁金が課された初めての事例(タイ)(2024年9月)
個人データの消去・破棄・匿名化の基準に関する下位規則の制定(タイ)(2024年10月)
個人情報保護・プライバシー 2024年の振り返りと2025年の展望 ~東南アジア・インド編~(2025年2月)
タイの個人情報保護委員会(「PDPC」)は、NO&T Asia Legal Update No. 205/ NO&T Data Protection Legal Update No. 48「個人情報保護法違反を理由に制裁金が課された初めての事例(タイ)」(2024年9月)において紹介をしたとおり、2024年8月に2022年の施行以降初めて、タイ個人情報保護法(「PDPA」)違反に基づく制裁金事例を公表した。今般、PDPCは、2025年8月1日に新たにPDPA違反を理由とする5つの制裁金事例(「本件制裁金事例」)を公表した。PDPCは、自らの公式SNSサイトにおけるプレスリリースの掲載に加えて、記者会見において本件制裁金事例の説明を行っている。本稿では、本件制裁金事例の概要を紹介すると共に、本件制裁金事例から垣間見えるPDPCの運用・執行傾向についての考察を述べる。
概要 |
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PDPA違反の内容 |
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制裁金 |
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概要 |
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PDPA違反の内容 |
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本件制裁金事例において問題となったPDPAの規定及びその概要は以下のとおりである。
今般のPDPCの公表では各本件制裁金事例の事実関係は簡潔に述べられているに過ぎず、情報漏洩に至った経緯やPDPA違反の詳細は明らかにされていないため、各本件制裁金事例において上記のような制裁金を課すに至った背景・理由を正確に把握することは難しい。そのため、公表されている情報からの推測となるが、本件制裁金事例の中では以下のような特徴が見られた。
今回公表された本件制裁金事例はいずれも個人データの漏洩等が発端となって制裁金が課されたものであり、この点は、2024年8月に公表された事例と同様である。PDPCの現行の運用としては、個人データの漏洩等が発生した場合にそれを契機としてPDPAの遵守状況について具体的に調査を行う方向にあり、それ以外のケースでPDPCが自発的にPDPAの遵守状況の監査を行っているといった動きは見受けられない。もっとも、今回、PDPCが本件制裁金事例の公表に伴って大々的に記者会見を行ったことはPDPCから事業者に対してより厳格な法令遵守を求める旨のメッセージと捉えることも可能である。PDPAが施行してから約3年が経過した今、PDPAに関する事業者の実務対応は、形式的な必要書面の作成といった表面上の対応だけでは足りず、より実態を伴った形での社内の体制・システム整備と法令に従った運用が求められる段階に来ているといえるだろう。
※1
1バーツ=約4.55円(2025年8月14日時点のレート)で計算。以下同様。
※2
安全管理措置の指針を定めた下位規則が施行済みである。
※3
データ管理者は、個人データの漏洩が発生した場合には、当該漏洩がデータ主体の権利・自由に対するリスクを生じさせる可能性が低い場合でない限り、遅滞なく、かつ、実施可能であれば漏洩を知ったときから72時間以内に当局へ通知することが求められる。また、当該漏洩がデータ主体の権利・自由に対する高度のリスクを生じさせる可能性がある場合には、遅滞なく、データ主体に対しても、その旨及び救済措置を通知する必要がある。これに関して、個人データの侵害に関する下位規則が施行済みである。
※4
データ管理者又はデータ処理者は、(1)データ管理者若しくはデータ処理者の個人データの処理業務が、大量の個人データを取り扱うという理由のために、個人データ若しくはそのシステムの定期的な監視を要する場合、又は、(2)データ管理者若しくはデータ処理者の中心的業務がセンシティブデータの処理である場合には、DPOを選任する必要がある。これに関して、DPOの選任に関する下位規則が施行済みである。
本ニュースレターは、各位のご参考のために一般的な情報を簡潔に提供することを目的としたものであり、当事務所の法的アドバイスを構成するものではありません。また見解に亘る部分は執筆者の個人的見解であり当事務所の見解ではありません。一般的情報としての性質上、法令の条文や出典の引用を意図的に省略している場合があります。個別具体的事案に係る問題については、必ず弁護士にご相談ください。
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