
東崎賢治 Kenji Tosaki
パートナー
東京
NO&T IP Law Update 知的財産法ニュースレター
「秘密情報の保護ハンドブック」及び「限定提供データに関する指針」(2024年2月改訂)の改訂のポイント(2024年3月)
2022年5月17日、経済産業省は、産業構造審議会 知的財産分科会 不正競争防止小委員会での検討を踏まえ、「秘密情報の保護ハンドブック~企業価値向上に向けて~」(以下「本ハンドブック」といいます。)を改訂・公表しました。本ハンドブックは、秘密情報の漏えいを未然に防止するための対策を講じたい企業にも参考となるよう、様々な対策例を包括的に紹介するものであり、今回の改訂を受けて、2016年の策定以降に生じた情報通信機器・技術の普及・進展、働き方の多様化・柔軟化、海外の企業や政府機関の関係者からの巧妙な接触を通じた漏えい事案の発生といった社会経済情勢の変化や関係法令の改正を踏まえた内容となっています。
同じく経済産業省が策定・公表している営業秘密管理指針(2019年1月最終改訂)は、不正競争防止法における「営業秘密」として法的保護を受けるために必要となる最低限の水準を示すものであるのに対して、本ハンドブックは、法的保護を受けられる水準を超えた内容を含むものとなっています。そのため、本ハンドブックに記載された対策の全てを実施しなかったからといって、直ちに不正競争防止法における「営業秘密」として法的保護を受けられないというものではありません。
しかしながら、近時多発している企業の重要情報の漏えい事象は、その多くが(第三者による)意図的な情報漏えいの可能性が疑われるものであるにもかかわらず、当該事象発生後の調査によっても、具体的な原因やその犯人が明らかになるケースは少ないことから、改めて、漏えい事象の発生防止の重要性は高まっています。また、当該漏えい事象によって企業の重要情報が漏えいし、企業価値が毀損した場合には、役員等に対する責任追及(会社法423条1項ほか)の可能性も否定できないところ、本ハンドブックの定める「法的保護の水準を超えた」漏えい対策を講じていれば、そのような事情が、当該漏えい事象の発生に対する過失を否定する方向として斟酌される可能性も十分考えられます。このような意味において、本ハンドブックは、実務上、重要な指標となり得るものと考えられます。
そこで、本ニュースレターでは、本ハンドブックの概要及び改訂箇所のポイントについて説明いたします。
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