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2022年を振り返る(インド)

NO&T Asia Legal Update アジア最新法律情報

著者等
山本匡
出版社
長島・大野・常松法律事務所
書籍名・掲載誌
NO&T Asia Legal Update ~アジア最新法律情報~ No.147(2023年4月)
業務分野
※本ニュースレターは情報提供目的で作成されており、法的助言ではありませんのでご留意ください。また、本ニュースレターは発行日(作成日)時点の情報に基づいており、その時点後の情報は反映されておりません。特に、速報の場合には、その性格上、現状の解釈・慣行と異なる場合がありますので、ご留意ください。

 インドは世界の中でもCOVID-19の影響を大きく受けた国の1つであり、2020年3月にインド全土でのロックダウンを実施する等、その感染開始当初から極めて厳格な措置が講じられた。しかしながら、2022年初頭には感染拡大も収束に向かい、行動制限や入国制限は大幅に緩和された。筆者が2022年末にデリー及びムンバイに出張した際、市中でマスクを付けている人々を見ることはほぼなく、パンデミック前の状況に完全に戻った感があった。

 2022年の法律・制度の施行・改正の状況は、パンデミック前を含め、ここ数年の状況と比べるとやや落ち着いていた印象を受ける。しかしながら、その内容は実際に施行されれば実務に非常に大きな影響を与える可能性がある重要なものと考えている(下記は筆者が特に注目したもののみを挙げている。なお、インド競争法改正法案は2023年4月に議会で承認されたがまだ施行されておらず、2022年デジタル個人データ保護法案は草案段階である。)。

関連法令名・通称等 概要
インド競争法改正法案(Competition (Amendment) Act, 2022)
  • 企業結合の取引価値基準(Transaction Value Thresholds)の導入

    • 現在の企業結合の届出基準(企業結合の当事者及びそのグループのインド国内外における資産額及び売上高)に加えて、取引額基準を導入
    • 結合(支配権、株式、議決権もしくは資産の取得又は合併等)に関連する取引価値(value of transaction)が200億ルピー(約330億円)を超える場合において、取引の当事者である企業がインドで実質的な事業(substantial business operations in India)を行っている場合には、インド競争委員会(Competition Commission of India、通称「CCI」)への届出が必要
    • 日本企業が届出不要と整理する際に依拠してきた小規模取引の除外(de minimis exemption)が取引価値基準を充足する場合には使えなくなることが想定される。
  • 審査・待機期間の短縮

    • 現在、企業結合の届出が行われた場合、インド競争委員会は30営業日以内に当該企業結合が競争に対する重大な悪影響を及ぼす可能性があるかの初期的(prima facie)な判断を行い、210日以内に企業結合を承認するかを判断
    • 改正法案では、これらをそれぞれ20暦日及び150日(更に30日延長可能)に短縮
  • 市場での取得

    • 一定の条件の下、市場での株式等の取得について企業結合の届出が不要
  • 和解(settlement)の導入

    • 反競争的垂直的協定(インド競争法3条4項)又は支配的地位の濫用(同法4条)に基づく調査について和解制度を導入
2022年デジタル個人データ保護法案(Digital Personal Data Protection Bill, 2022)
  • 議会に提出されていた2019 年個人情報保護法案(Personal Data Protection Bill, 2019)の廃案
  • 2022年デジタル個人データ保護法案の公表

    • オンラインで収集された個人情報、オフラインで収集しデジタル化された個人情報が適用対象
    • 原則として同意に基づく個人情報の取得
    • 訂正・削除権等のデータ主体(Data Principal)の各種権利
    • データ受託者(Data Fiduciary)及び重要データ受託者(Significant Data Fiduciary)の各種義務
    • 原則としてデータ主体の同意に基づく情報の移転とデータローカライゼーション(法案上は、データローカライゼーションに関する規定なし)

本ニュースレターは、各位のご参考のために一般的な情報を簡潔に提供することを目的としたものであり、当事務所の法的アドバイスを構成するものではありません。また見解に亘る部分は執筆者の個人的見解であり当事務所の見解ではありません。一般的情報としての性質上、法令の条文や出典の引用を意図的に省略している場合があります。個別具体的事案に係る問題については、必ず弁護士にご相談ください。


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