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日本の再生手続開始決定が中国において承認された初の事例

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※本ニュースレターは情報提供目的で作成されており、法的助言ではありませんのでご留意ください。また、本ニュースレターは発行日(作成日)時点の情報に基づいており、その時点後の情報は反映されておりません。特に、速報の場合には、その性格上、現状の解釈・慣行と異なる場合がありますので、ご留意ください。

1. 本決定の概要

 本件は、当事務所が代理し、民事再生法に基づく再生手続が東京地方裁判所に係属している再生債務者が中国の上海市に相応の資産を有していたことから、同資産の保全を図るべく、中国の裁判所(上海市第三中級人民法院)に対して、東京地方裁判所による再生手続開始決定及び監督命令を承認するよう申し立てた事案です。上海市第三中級人民法院は、弁論期日を開催して関連当事者の意見を聴取し、中国国内の知れたる債権者に対して異議申立機会を提供し、かつ、中国国内で公告を行った上で、2023年9月26日に、再生手続開始決定及び監督命令を承認する旨、ただし、債権者の利益に重大な影響を及ぼす再生債務者の中国国内における財産処分行為については別途人民法院による許可を要する旨の決定(以下「本決定」といいます。)を下しました。

 中国の企業破産法によれば、外国裁判所の倒産手続開始決定を承認するためには、中国との間で国際条約が存在するか、又は両国に互恵が存在するか否かを審査する必要があるとされており、中国との間で国際条約のない日本については互恵関係の存否という論点が日中間の倒産手続開始決定の承認にとって最も大きなハードルとされていました。この点について、本決定では、日中間に互恵関係が存在するか否かを審査するにあたっては、両国がこれまで民事判決について相互に承認していなかった事実は国際倒産事件には自動的に適用されるべきものではないことを明確に判示し、かつ、日本の倒産法の規律に照らすと、中国の企業破産法に基づく決定を日本の裁判所が承認することについて日本の法令上の障害は存在しないと判断し、日中間の国際倒産事件の承認について互恵関係が存在することを確認しました。

2. 日本における本決定の意義

 本決定は、日本の再生手続開始決定が中国において承認された史上初の事例です。

 外国の倒産手続開始決定の効力(具体的には、強制執行禁止効、訴訟中断効、弁済禁止効、処分禁止効など)を国内に及ぼすためのスキームとして、UNCITRAL(国連国際商取引法委員会)は、1997年に「国際倒産に関するモデル法」(UNCITRAL Model Law on Cross-Border Insolvency:いわゆるUNCITRALモデル法)を採択しました。UNCITRALモデル法を国内法化した国は現時点で59ヵ国(62法域)ありますが※1、中国はこれに含まれていません。UNCITRALモデル法を国内法化していない法域の場合、コモン・ローに基づく承認援助がありうるコモン・ロー法域を別とすれば、倒産手続開始決定が外国裁判所の判決であることに鑑み、当該法域の民事訴訟法(日本であれば民事訴訟法118条)に基づいて外国裁判所の判決の承認を得るというアプローチも実務上は検討されるところです。もっとも、日中間においては相互保証が認められた事例がなく(日本であれば民事訴訟法118条4号)、これまで日中双方の民事判決が相手国の民事訴訟法に基づき承認された事例はありませんでした。

 以上から、日本の裁判所による倒産手続開始決定の効力を中国に及ぼすことができるかどうかはこれまで不透明でした。本決定は、こうした不透明な状況を打開するものであり、今後の日中間のクロスボーダー事業再生実務において画期的な意義を有する決定となりえます。本決定が中国において先例となり、かつ、日本の倒産手続開始決定の承認に基づいて中国における財産保全が今後認められるようになれば、日本において倒産手続が開始した日本企業は、日本の裁判所が下した倒産手続開始決定の効力を中国に及ぼすことができるようになるため、日本企業が中国において有している各種の資産(例えば、不動産、在庫、中国企業に対する売掛金、中華系銀行に預け入れた預貯金、中国子会社の持分、中国子会社に対する内部債権など)を保全しつつ、事業再生を進めることができるようになります。また、本決定の存在は、中国の裁判所による中国の企業破産法に基づく倒産手続開始決定の効力を日本の承認援助法に基づいて日本において承認してもらうことの一助にもなると思われます。

3. 中国における本決定の意義

 中国にとってみても、本決定は中国におけるクロスボーダー事業再生実務の更なる発展を示しています。本決定において、中国の裁判所は、外国倒産手続を承認するための要件(外国倒産手続の範囲、互恵原則、承認不許可事由、外国管財人の身分及び職責など)を具体的に検討しています。本決定は、中国が国際倒産の分野においてオープンな姿勢を示していることの証左であると思われます。

4. 最後に

 本決定を得るために、当事務所は、中国の法律事務所と連携して、日本の裁判所の助力を得つつ、中国の裁判所に対して、継続的に各種の必要資料や専門家意見書を提供し、本決定の必要性・相当性を説明していました。日中間のクロスボーダー事業再生においては、当該分野に長けている日中間の法律事務所同士の連携が今後も必要不可欠であると思われます。

脚注一覧

※1
以下のUNCITRALのウェブサイト参照(2023年10月18日現在)。日本は、UNCITRALモデル法に準拠して2000年に「外国倒産処理手続の承認援助に関する法律」(いわゆる承認援助法)を制定しました。
https://uncitral.un.org/en/texts/insolvency/modellaw/cross-border_insolvency/status

本ニュースレターは、各位のご参考のために一般的な情報を簡潔に提供することを目的としたものであり、当事務所の法的アドバイスを構成するものではありません。また見解に亘る部分は執筆者の個人的見解であり当事務所の見解ではありません。一般的情報としての性質上、法令の条文や出典の引用を意図的に省略している場合があります。個別具体的事案に係る問題については、必ず弁護士にご相談ください。


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