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ニュースレター

インドネシアのフランチャイズ規制の概要とアップデート

NO&T Asia Legal Update アジア最新法律情報

著者等
中村洸介
出版社
長島・大野・常松法律事務所
書籍名・掲載誌
NO&T Asia Legal Update ~アジア最新法律情報~ No.223(2025年2月)
関連情報

ニュースレター
New Franchise Regulatory Framework (Indonesia)(2025年2月)

業務分野
※本ニュースレターは情報提供目的で作成されており、法的助言ではありませんのでご留意ください。また、本ニュースレターは発行日(作成日)時点の情報に基づいており、その時点後の情報は反映されておりません。特に、速報の場合には、その性格上、現状の解釈・慣行と異なる場合がありますので、ご留意ください。

はじめに

 2024年9月2日、フランチャイズに関する政令2024年第35号(以下「新政令」という。)が制定、施行された。

 外国企業がフランチャイズの形態で海外進出するケースでは、自社又は現地法人のいずれかがフランチャイザーとなって事業展開する場合が多いと見受けられるが、インドネシアにおいては、フランチャイズ規制がインドネシア国内外のフランチャイザーに適用されるため、いずれの場合もこれを遵守する必要があると考えられる。

 新政令は、従前のフランチャイズに関する政令2007年第42号(以下「旧政令」という。)に基づく規制の枠組み自体を変更するものではないものの、規制の整備やアップデートが図られており、本稿では、新政令を踏まえたインドネシアのフランチャイズに関する主な規制の概要について紹介する。

1. フランチャイズ実施基準

 フランチャイザーがインドネシアにおいてフランチャイズを実施するためには、原則として以下の基準を満たす必要がある。かかる実施基準は旧政令でも定められていたが、新政令によって要件が変更、詳細化されている。

① ビジネスシステムを有すること
(1)人材管理、(2)アドミニストレーション、(3)運営管理、(4)標準的運営方法、(5)立地選定、(6)事業場のデザイン、(7)従業員の要件、(8)マーケティング戦略等、オペレーションの基準や手順を有していることが求められる。
② 収益性
継続して3年以上の事業実績があり、過去2年間収益が認められる必要がある。
事業継続要件について、旧政令における5年間から3年間に短縮された。
③ 登録された知的財産権(商標、著作権、特許、営業秘密等)の保有
旧政令では、登録手続中の知的財産権であればSTPW申請の要件を満たすとされていたが、新政令では登録されている必要があり、要件が厳格化した。
④ フランチャイジーへの継続的なサポート
サポートの内容には、(1)トレーニング、(2)運営管理、(3)プロモーション、(4)リサーチ、(5)市場開発等が含まれる。

2. STPWの取得義務

 フランチャイザー及びフランチャイジーは、STPW(Surat Tanda Pendaftaran Waralaba)と呼ばれるフランチャイズ登録証を取得しなければならない。これに関して、新政令により、STPWを保有していない事業者がその事業活動においてフランチャイズという用語を使用することが禁止されるに至った点に注意を要する。

 フランチャイザーは、フランチャイズ契約を締結する前にSTPWを取得しなければならない。STPWの申請はOnline Single Submission(OSS)のシステムを通じてオンラインで行われるが、国外のフランチャイザーはSTPWの申請において、自国で発行された事業許可証及び自国所在のインドネシア商務部等による事業継続性証明書の提出を求められることに留意が必要である。なお、フランチャイジーは事業開始前にSTPWを取得しなければならない。

 旧政令では5年と定められていたSTPWの有効期間は、新政令によって撤廃されて延長手続は不要となった。新政令制定前に発行済みのSTPWについては、その有効期限まで引き続き有効であるが、期間満了後は新たなSTPWを取得する必要があると解される。

 また、フランチャイズ目論見書又はフランチャイズ契約にも規定される情報に変更が生じた場合、OSSを通じてSTPWをアップデートしなければならないことにも留意する必要がある。

3. フランチャイズ目論見書の提供

 フランチャイザーは、フランチャイズ契約の締結14日前までに、フランチャイジーに対して、事業の適法性、事業の歴史、フランチャイザーの組織図、ビジネスシステム、フランチャイジーリスト、フランチャイズ店舗数等を記載したフランチャイズ目論見書を提供する必要がある。フランチャイズ目論見書はインドネシア語で作成されなければならない。

4. フランチャイズ契約書

 フランチャイズ契約は、書面によって締結され、インドネシア法を準拠法としなければならない。また、フランチャイズ契約の言語はインドネシア語でなければならないとされているため、外国語を併記する場合もインドネシア語を優先言語とする必要があると解される。

5. 国内のフランチャイザー及びフランチャイジーの義務

 インドネシア国内のフランチャイザー及びフランチャイジーは、インドネシア国産品及びサービスを優先的に使用する義務や、中小零細企業との協力義務を負っている。ただし、フランチャイジーについては、フランチャイザーが定める品質基準や要件を満たす場合に限定されている。

本ニュースレターは、各位のご参考のために一般的な情報を簡潔に提供することを目的としたものであり、当事務所の法的アドバイスを構成するものではありません。また見解に亘る部分は執筆者の個人的見解であり当事務所の見解ではありません。一般的情報としての性質上、法令の条文や出典の引用を意図的に省略している場合があります。個別具体的事案に係る問題については、必ず弁護士にご相談ください。


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