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ニュースレター

インドの雇用連動型インセンティブ・スキーム

NO&T Asia Legal Update アジア最新法律情報

著者等
山本匡
出版社
長島・大野・常松法律事務所
書籍名・掲載誌
NO&T Asia Legal Update ~アジア最新法律情報~ No.239(2025年7月)
業務分野
※本ニュースレターは情報提供目的で作成されており、法的助言ではありませんのでご留意ください。また、本ニュースレターは発行日(作成日)時点の情報に基づいており、その時点後の情報は反映されておりません。特に、速報の場合には、その性格上、現状の解釈・慣行と異なる場合がありますので、ご留意ください。

はじめに

 インド政府は、2024年7月に公表した2024-25年度の予算案において、雇用政策の一環として雇用連動型インセンティブ(Employment Linked Incentive)を実施する予定であることを公表していたが、2025年7月1日、雇用連動型インセンティブ・スキーム(以下「ELIスキーム」)を閣議で承認した。ELIスキームは、特に製造業を中心としつつ全産業における雇用創出、技能の向上と社会保障を強化することを目的とし、今後2年間で3,500万人の雇用を創出することを目指している。ELIスキームの予算額は9,944億6,000万ルピー(約1兆7,105億円(2025年7月25日時点))である。

 ELIスキームは、2025年8月1日~2027年7月31日の間に創出された雇用を対象とし、新規就労者を対象としたPart Aと雇用主を対象としたPart Bから構成される。それぞれのインセンティブの概要は以下の通りである。受給要件等に不明点もあり、今後詳細が明らかにされることが期待される。

Part A:新規就労者へのインセンティブ

 従業員積立基金機構(Employees’ Provident Fund Organization)に登録した、月額給与10万ルピー以下の新規就労者を対象に、従業員積立基金の拠出金算定基準給与1か月分(ただし、最大1万5,000ルピー)が支給される。就労者への支給は就業後6か月と12か月後の2回に分けて行われ、就労者は2回目の支給前に金融リテラシー・プログラムを受講する必要がある。また、貯蓄を習慣付けるために、支給額の一部は預金口座に一定期間保管した後に引出しが可能となる。

Part B:雇用主への支援

 特に製造業を中心としつつ、全産業における追加雇用の創出を対象とする。雇用主は、月額給与10万ルピー以下の従業員について、追加雇用した従業員1人当たり月額最大3,000ルピーのインセンティブを2年間、製造業については、最長4年間受給することができる。ただし、雇用主が支給を受けるためには6か月以上継続して従業員を雇用する必要がある。また、従業員積立基金機構に登録されている事業所については、従業員数が50人未満の雇用主は2人以上、50人以上の雇用主は5人以上の追加従業員を6か月間継続して雇用する必要がある。

 インセンティブの構成は以下の通りである。

追加従業員の従業員積立基金の拠出金算定基準給与 雇用主への追加従業員1人当たりのインセンティブ月額
1万ルピー以下* 1,000ルピー以下
1万ルピー~2万ルピー 2,000ルピー
2万ルピー~10万ルピー 3,000ルピー

 *インセンティブ月額は従業員積立基金の拠出金算定基準給与に応じて按分

最後に

 日本企業のインド拠点も、ELIスキームの要件を充足すればインセンティブのPart Bを受給することができる(新規就労者はPart Aを受給することができる。)。重点が置かれている製造業も非製造業も、同スキームを活用することのメリットと負担、税務等を考慮しつつ、同スキームの活用を検討することが望ましい。

本ニュースレターは、各位のご参考のために一般的な情報を簡潔に提供することを目的としたものであり、当事務所の法的アドバイスを構成するものではありません。また見解に亘る部分は執筆者の個人的見解であり当事務所の見解ではありません。一般的情報としての性質上、法令の条文や出典の引用を意図的に省略している場合があります。個別具体的事案に係る問題については、必ず弁護士にご相談ください。


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