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スポーツ/eスポーツ法務の最新トレンドとプラクティス


対談者

パートナー

糸川 貴視

資本市場・金融市場における様々なファイナンス取引及び規制を中心に、不動産取引、M&Aを含む企業法務全般にわたり幅広く助言を行っている。スポーツ分野ではスポーツ施設に関連する法務やM&A取引、スポンサーシップ契約、eスポーツ法務への取組みを進めている。

パートナー

加藤 志郎

ロサンゼルスのスポーツエージェンシーでの勤務経験等を活かし、スポーツエージェント、スポンサーシップその他のスポーツビジネス全般、スポーツ仲裁裁判所(CAS)での代理を含む紛争・不祥事調査等、国内外のスポーツ法務を広く取り扱う。

【はじめに】

スポーツビジネスの世界的な発展・国際化に伴い、スポーツに関わる取引や活動は増加・多様化しています。当事務所は、幅広い法分野でそれぞれ最先端の知見を有する弁護士のチームプレイで、スポーツに関わる依頼者をサポートしています。今回の対談では、国内外のスポーツビジネスに精通した当事務所の弁護士が、最新のスポーツ/eスポーツのトレンドや当事務所のプラクティスについてご紹介いたします。

CHAPTER
01

近時のスポーツ/eスポーツをめぐる潮流

糸川

世界的なスポーツビジネスの発展・国際化の流れと、近年の日本政府等による成長産業化の取組みが大きな潮流として存在しています。その中で、特に近年新たに注目されているものとしては、スポーツを起点として様々な社会課題を解決する「スポーツエコシステム」の構築や、スポーツデータの活用、スポーツベッティング、NFT(非代替性トークン)、メタバース(仮想空間を利用したサービス)等を用いたスポーツ産業の振興・DX化があげられます。ベッティングなどは国内でも賛否両論あり、また、DX化について技術の進歩の状況などもあり、国内のみならず先進国である欧米の実務動向も引き続きモニターし、法制度論を含めて議論しながら、関連するビジネスを成長させていくことが必要だと思います。

加藤

スポーツビジネスの成長は、今後も継続していくでしょう。例えば、欧米ではスポーツチームの価値が高額化し、何千億円という金額で売買されるようになっています。その背景には、特に先進諸国において、若い世代を中心に、「モノ」の消費から、思い出・体験などの「コト」の消費に移っていることも挙げられます。また、近年、主に欧米において女子スポーツが急成長していることや、ESG経営の観点からスポーツとの関わりを深化させる企業が増えていることなども、注目すべき流れだと思います。
日本政府の政策にも変化が見られています。従来、日本のスポーツに係る政策は、学校の体育や部活動に代表されるように、教育的な観点から語られることがほとんどでした。しかし、現在は、スポーツの成長産業化は、具体的な市場規模まで掲げた政策目標とされています。
従来、一般企業がスポーツに関連する典型例はスポンサーシップ等のマーケティングでしたが、スポーツの社会的影響力の高まりに加えて、DXや新しいサービスの誕生によって、近年はより多様な関わり方が生まれ、それに伴いあらゆる法領域での検討が必要になりました。海外が先行しているNFTやスポーツベッティングのほか、メタバース、投資などの多様なアプローチが検討されるなかで、関連するビジネスそのものや法的枠組みを知りたいというニーズも高まっています。

糸川

eスポーツビジネスにも同様の流れがあります。私自身、eスポーツの一視聴者として、FPSプレイヤー配信などをよく見ていますが、ビジネスとしての世界的な潮流として、市場規模の拡大、海外での賞金の高額化が話題となっています。また、日本政府としても産業振興の対象としています。
CHAPTER
02

主要な取扱業務

糸川

当事務所においては、従来から、選手側、運営側あるいはスポンサー側など様々な立場で契約交渉やスポンサーシップ等に関するご相談を各弁護士において受けていましたが、今後は、事務所全体で、1つのプラクティスとして体系的に整理して取り扱うアプローチを進めていきたいと思っています。スポーツビジネスが盛り上がりを見せる中で、現在の法解釈の妥当性等を法分野横断的な視点から検討し、リーガルサービスの洗練・向上につなげたいと考えます。

加藤

「スポーツ法務」という言葉は一昔前からありますが、「スポーツ法」という体系的な法律があるわけではありません。「スポーツ法務」というのは、スポーツに関わる法務の全てを指す幅広い概念ですが、最重要と言えるのは、やはり契約法務だと感じています。スポーツ業界は、リーグやチームの構造、選手、スポンサーや観客との関係など、基本的に「合意」で成り立っているからです。加えて、伝統的には、選手の肖像権・パブリシティ権、チームの商標等の知的財産法の問題、選手とチームの関係にも関わる労働法の問題、リーグによる興業の独占や選手の移籍制限に関する独占禁止法の問題等も対象となります。
スポーツは、NFTやメタバースといったテクノロジーの発展と親和性が高いと言われています。例えば、野球カード等のデジタル版と言えるデジタルコレクティブルについては、ライセンスをする側のチームや選手個人、ライセンスを受けて発行する事業者やプラットフォームの双方からのご相談が増えています。また、国際的に活躍する日本人選手のほか、国内のチームやスポンサー企業から、海外のスポーツ団体や企業との契約交渉についてご相談を受けたり、逆に、海外の選手や企業から、日本のスポーツ団体等との契約や関連する法規制などに関してご相談を受けたりすることも多いです。

糸川

「eスポーツ法務」も、eスポーツに関わる法務の全てを指します。M&Aやファイナンス、有事対応に強みのある当事務所として、特に業務提携やファイナンスのストラクチャー構築に積極的に取り組んでいきたいと考えていますし、不祥事などのウェットなものにも積極的に取り組んでいきたいと思います。
eスポーツ特有の話として、配信サイトと配信者であるストリーマーの権利関係の処理、ストリーマーが所属しているチームと配信サイトの権利処理などが挙げられます。また、景表法、風営法、それから賭博など多角的な論点整理が必要です。
販売規制など消費者保護の観点は、今後新たなビジネスが促進されるに伴い、射倖性も含めて議論される分野でしょう。直近では、ステルスマーケティングに対する景品表示法による規制の必要性が議論されており、ゲーム配信業界にも少なくない影響があると思います。eスポーツ固有の分野としては、パブリッシャーが自社の著作物をさらに盛り上げるような仕組みづくりなども議論されるでしょう。ストリーマーの炎上など有事対応や著作権・商標権・パブリシティ侵害を予防するための権利処理の整理なども進むと考えています。
CHAPTER
03

当事務所だからこその強み

加藤

ワンストップで最先端のアドバイスができる点が強みであると考えています。ご説明してきたとおり、現代的な「スポーツ法務」「eスポーツ法務」は、契約法務、知的財産、M&Aやファイナンスから最新テクノロジーにまつわる法規制まで、非常に幅広い範囲をカバーしなければなりません。もちろん、前提知識として、スポーツビジネスの構造や実務の理解も重要です。これらの複合的な観点から課題解決に取り組む上では、当事務所のように幅広い分野で常に最先端の知見が必要とされるアドバイスを提供している大規模事務所だからこそできることが多くあります。
私自身は、アメリカのスポーツエージェンシーにおいて、海外リーグで活躍する日本人選手等のサポートや、イベントの企画・立ち上げから運営、スポンサーシップの提案・交渉などを担当し、幅広い実務を経験しました。スポーツビジネスの先進国であるアメリカでのこれらの経験も活かして、日本のスポーツビジネスの成長に引き続き貢献していきたいと思っています。

糸川

特にeスポーツは若い産業ですので、相談内容によっては、そもそもの問題設定から検討を始めなければなりません。そうした際に、各法分野において、日々最先端の知見に触れているチームメンバーが結集してさまざまな角度から漏れなく検討することは、とても重要だと思っています。
例えば独禁法や個人情報保護法など、高度で専門的知見が必要な問題が発生した場合には、大規模事務所ならではの連携とノウハウの蓄積で対応が可能です。また、スポーツビジネスは年々国際化しており、国際的な交渉の場面でも渉外業務の経験が豊富な我々がお役に立てる場面が増えています。

加藤

スポーツビジネスの拡大に伴い、これまでスポーツに関わりのなかった一般企業も、スポンサーシップ・パートナーシップ、投資その他多様な形でスポーツと関わる機会が増えています。すでにスポーツ業界にいる方々だけでなく、今後スポーツやeスポーツに関わりたいと考えている方にも、ぜひお気軽にご相談いただけたら幸いです。

※スポーツ法/eスポーツ法チームメンバーの集合写真

本対談は、各位のご参考のために一般的な情報を簡潔に提供することを目的としたものであり、当事務所の法的アドバイスを構成するものではありません。また見解に亘る部分は執筆者の個人的見解であり当事務所の見解ではありません。一般的情報としての性質上、法令の条文や出典の引用を意図的に省略している場合があります。個別具体的事案に係る問題については、必ず弁護士にご相談ください。