icon-angleicon-facebookicon-hatebuicon-instagramicon-lineicon-linked_inicon-pinteresticon-twittericon-youtubelogo-not
People 弁護士等紹介

多岐にわたる分野の専門的知識と実績を持つ弁護士が機動的にチームを組み、質の高いアドバイスや実務的サポートを行っています。

Publications 著書/論文

当事務所の弁護士等が執筆したニュースレター、論文・記事、書籍等のご紹介です。多様化・複雑化する法律や法改正の最新動向に関して、実務的な知識・経験や専門性を活かした情報発信を行っています。

Seminars 講演/セミナー

当事務所では、オンライン配信を含め、様々な形態でのセミナーの開催や講演活動を積極的に行っています。多岐にわたる分野・テーマの最新の企業法務の実務について解説しています。

Who We Are 事務所紹介

長島・大野・常松法律事務所は、国内外での豊富な経験・実績を有する日本有数の総合法律事務所です。 企業が直面する様々な法律問題に対処するため、複数の弁護士が協力して質の高いサービスを提供することを基本理念としています。

SCROLL
TOP
Publications 著書/論文
ニュースレター

個人情報保護法の制定(前編) -個人データの定義、適用対象、個人データの取扱い、本人の権利-(インドネシア)

NO&T Asia Legal Update アジア最新法律情報

著者等
前川陽一
出版社
長島・大野・常松法律事務所
書籍名・掲載誌
NO&T Asia Legal Update ~アジア最新法律情報~ No.128(2022年11月)
関連情報

本ニュースレターでは、2回に分けて内容をご紹介しています。後編は以下をご覧ください。
NO&T Asia Legal Update No.132(2022年12月)
個人情報保護法の制定(後編) -データ保護責任者の選任、越境移転規制、制裁、その他-(インドネシア)

業務分野
※本ニュースレターは情報提供目的で作成されており、法的助言ではありませんのでご留意ください。また、本ニュースレターは発行日(作成日)時点の情報に基づいており、その時点後の情報は反映されておりません。特に、速報の場合には、その性格上、現状の解釈・慣行と異なる場合がありますので、ご留意ください。

はじめに

 2022年10月17日、個人情報保護法(2022年法律第27号)は、大統領の署名を受け、制定された。同法案が2020年1月に国会に提出されて以来、実に足掛け3年の審理を経ての成立となった。東南アジア諸国では近年、個人情報保護法制が整備されてきた。本法制定以前、インドネシアでは、各事業分野に応じて個人情報の規制がされるほかには、通信情報大臣令2016年第20号や政令2019年第71号が電子システム上で取り扱われる個人情報について規制を定めていた。本法は、事業分野にかかわらず、また電子システムを介するかどうかにかかわらず、包括的に個人情報の保護について定めたものである。なお、本法以前に制定された個人情報保護に関する各法規は、本法施行後も本法に抵触しない範囲で引き続き効力を有するものとされている。

 NO&T Asia Legal Updateでは、本号と次号の2回に分けて、本法の内容を詳しく紹介していきたい。

1. 個人データの定義

 本法において、個人データとは「特定の個人に関するデータ、又は電子的若しくは非電子的システムを通じ、直接若しくは間接に、単独で若しくは他の情報と組み合わせて特定可能な個人に関するデータ」と定義される。

 個人データは、さらに、特別個人データと一般個人データに分類されている。特別個人データとは、その処理にあたり本人に重大な影響を及ぼしうる情報と定義され、例えば、健康に関する情報、生体情報、遺伝子情報、犯罪歴、子どもに関する情報、個人の財産に関する情報が含まれている。一方で、一般個人データには、氏名、性別、国籍、宗教、婚姻状況、その他組み合わせることで個人の特定が可能になる個人データ(携帯電話番号やIPアドレス等)が含まれる。

2. 適用対象

 インドネシア国内において本法所定の行為を行う者が対象とされるのは言うまでもないが、インドネシア国外の者であっても、本法所定の行為を行うことにより、インドネシア国内に法的影響が及ぶ場合、又は国外にいるインドネシア国民である本人に法的影響が及ぶ場合にも適用があると規定されている。「法的影響」の意義は明らかにされていないが、インドネシアに拠点を有しない外国企業であっても、インドネシアの顧客の個人データを取り扱う場合や、海外でインドネシア人を雇用する場合にも本法の適用対象となりうるとも解される。いかなる「法的影響」が本法の対象となるのか、当局によるさらなる説明が待たれる。

 本法は、個人データを取り扱う者をデータ管理者とデータ処理者の2つに分類して各種の義務を課している。データ管理者とは「単独又は共同で、個人データの処理の目的を決定し、管理を行う個人、法人、公的機関又は国際機関」と、データ処理者とは「単独又は共同で、データ管理者に代わって、個人データの取扱いを行う個人、法人、公的機関又は国際機関」と定義される。特別個人データの大規模な処理を主たる業務とするデータ管理者は、データ保護責任者を任命しなければならない。

 なお、個人的ないし家事的活動で個人データを扱う場合には、本法は適用されない。

3. 個人データの取扱い

 本法による規制の対象となる個人データの「取扱い」は、取得、収集、処理、分析、保管、訂正、更新、提示、公表、移転、頒布、開示、消去、破棄を含む広範な概念である。データ管理者が個人データを取り扱う場合、以下の根拠に基づくことが求められる。

  • (1) 本人からの明確で有効な同意
  • (2) 本人が当事者である契約上の義務の履行、又は契約締結時の本人の要求
  • (3) 法令に基づく義務の履行
  • (4) 本人の生命に関わる利益の保護
  • (5) 公共の利益の枠内の行為、又はデータ管理者の権限内の行為
  • (6) その他正当な利益に資する行為

 この点は、一般個人データと特別個人データとで扱いを異にしていない。したがって、例えば、個人データを取得する際には、その内容にかかわらず、上記(2)ないし(6)に該当する場合を除いて、本人から事前に同意を得る必要がある。この点において同意の取得が要配慮個人情報についてのみ求められている日本法の規制と大きく異なる。

 同意の取得にあたって、データ管理者は、取扱いの正当性、目的、態様及び期間、個人データの種類及び保管期間、本人が有する権利を本人に通知しなければならない。同意は、書面等により記録されなければならず、同意の要請には、明確かつ平易なインドネシア語を用いなければならない。子どもや障害者の個人データの取扱いについては、保護者等からの同意を要する。

 公共の場所に設置する監視カメラ等の映像データ機器については、特別な規定が置かれている。すなわち、かかる機器は、①防犯、防災、交通規制の目的で、②設置されている場所を表示し、③個人を特定しない方法で利用しなければならない。但し、防犯目的の設置においては②及び③の制約は適用がない。

4. 本人の権利

 個人データの主体である本人は、本法に基づき以下の権利を有する。

  • (1) 個人データの提供を求める者に対して、その身元、法的根拠、使用目的について説明を求める権利
  • (2) 個人データの補完、更新及び修正を求める権利
  • (3) 個人データへのアクセス及び複製を求める権利
  • (4) 個人データの取扱いの終了、消去及び破棄を求める権利
  • (5) 個人データの取扱いにかかる同意を撤回する権利
  • (6) プロファイリング等、個人データの自動処理に基づく決定に異議を申し立てる権利
  • (7) 個人データの取扱いの延期及び制限を求める権利
  • (8) 個人データの取扱い規制違反に起因する損害の賠償を求める権利
  • (9) 個人データの提供及び移転を求める権利

 上記のうち(6)、(8)及び(9)の諸権利に関しては、追って施行規則により詳細が規定されるものとされている。

本ニュースレターは、各位のご参考のために一般的な情報を簡潔に提供することを目的としたものであり、当事務所の法的アドバイスを構成するものではありません。また見解に亘る部分は執筆者の個人的見解であり当事務所の見解ではありません。一般的情報としての性質上、法令の条文や出典の引用を意図的に省略している場合があります。個別具体的事案に係る問題については、必ず弁護士にご相談ください。


全文ダウンロード(PDF)

Legal Lounge
会員登録のご案内

ホットなトピックスやウェビナーのアーカイブはこちらよりご覧いただけます。
最新情報をリリースしましたらすぐにメールでお届けします。

会員登録はこちら

弁護士等

個人情報保護・プライバシーに関連する著書/論文

海外業務に関連する著書/論文

アジア・オセアニアに関連する著書/論文

インドネシアに関連する著書/論文

決定 業務分野を選択
決定