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ニュースレター

販売情報提供活動ガイドラインに関するQ&A(その4)の公表について~他社製品やオフラベルの情報提供範囲の明確化~

NO&T Health Care Law Update 薬事・ヘルスケアニュースレター(法律救急箱)

※本ニュースレターは情報提供目的で作成されており、法的助言ではありませんのでご留意ください。また、本ニュースレターは発行日(作成日)時点の情報に基づいており、その時点後の情報は反映されておりません。特に、速報の場合には、その性格上、現状の解釈・慣行と異なる場合がありますので、ご留意ください。

はじめに

 厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課は、2024年2月21日、「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドラインに関するQ&Aについて(その4)」を事務連絡として発出しました。

 医薬品等の広告については、薬機法等の関連法令及び「医薬品等適正広告基準」(平成29年9月29日付け薬生発0929第4号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)等により規制がされていますが、販売情報提供活動※1については、医療用医薬品の適正使用を確保するため、「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」(以下「販売情報提供活動GL」といいます。)も制定されています。そして、販売情報提供活動GLの制定以降、販売情報提供活動GLの適切な運用を確保するため、販売情報提供活動GLに関するQ&Aの事務連絡が発出されてきました。今回発出された「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドラインに関するQ&Aについて(その4)」(以下「販売情報提供活動GLに関するQ&A(その4)」といいます。)では、販売情報提供活動GLの内容のうち、他社製品との比較情報や未承認薬・適応外薬等に関する情報提供に係る部分についての解釈が示されています。

販売情報提供活動GLに関するQ&A(その4)の公表の背景

 これまで、製薬企業等の医薬品製造販売業者等が販売情報提供活動を行うに際して、「他社製品を誹謗、中傷すること等により、自社製品を優れたものと訴えること」(販売情報提供活動GL第1の3(2)④)や、不適切な「未承認薬・適応外薬等に関する情報提供」(販売情報提供活動GL第4の3)に該当すると判断されることを恐れて、他社製品との比較情報や未承認薬・適応外薬等に関して限定的な情報提供を行うにとどめるケースが散見されていたところ、情報受領者である医師、薬剤師その他の関係者が、医療用医薬品について十分な情報提供を受けられない問題が生じていました。例えば、厚生労働省が公表している令和4年度の医療用医薬品の販売情報提供活動監視事業報告書では、「医薬品の情報提供に過度に慎重になっている製薬企業・担当者が増えた、製品情報概要など既に資料に記載されている情報以外の情報提供が少なくなったという意見が医療従事者から挙げられている」との指摘がなされています。

 今回発出された販売情報提供活動GLに関するQ&A(その4)は、前述のとおり、販売情報提供活動GLの内容のうち、他社製品との比較情報や未承認薬・適応外薬等に関する情報提供に係る部分についての解釈を示すことで、医療用医薬品の適正使用を確保しつつも、医師や薬剤師が必要な情報提供を受けられるような販売情報提供活動を促進する趣旨のものであると考えられます。

販売情報提供活動GLに関するQ&A(その4)の内容

 販売情報提供活動GLに関するQ&A(その4)の内容は、大きく、(1)他社製品情報や自社製品と他社製品との比較情報の提供、及び(2)未承認薬・適応外薬等に関する情報提供に分かれています。

1. 他社製品情報や自社製品と他社製品との比較情報の提供

 他社製品情報や自社製品と他社製品との比較情報の提供については、Q1において、当該情報提供が販売情報提供活動GLに抵触しないための以下の4つの要件が記載されています。

他社製品情報や自社製品と他社製品との比較情報の提供が販売情報提供活動GLに抵触しないための4要件
情報提供する内容は、医師又は薬剤師の要求内容に沿ったものに限定するとともに、情報提供先は要求者に限定すること。また、提供情報を当該要求内容に沿ったものとするため、当該医師又は薬剤師に対し、求められている具体的な情報を確認すること。
医療関係者・患者等から情報提供を求められていないにもかかわらず、求められたかのように装わないこと。
提供する情報は、虚偽・誇大な内容であってはならず、科学的・客観的根拠に基づき正確なものでなければならないこと。また、他社製品にとって不利となる情報のみを恣意的に選択しないこと。
直接比較することが科学的に適切ではない場合はその旨及びその理由等も提供するなど、正確な理解を促すために必要な情報を提供すること。

 なお、上記の4要件は医師又は薬剤師からの求めに応じて情報提供を行うことが前提とされていますが、医師又は薬剤師からの求めがない限り情報提供が認められないことを意図したものではなく、広告に関する関連通知※2を踏まえて適切な情報提供を行うことは認められています。また、広告の該当性に関しては、医薬品等の適正使用推進や安定供給に係る情報の提供等、顧客を誘引する意図がない情報について自社製品と他社製品との比較の上で提供することは、広告には該当せず、これを行うことは問題ないとされています。

 また、販売情報提供活動GLに関するQ&A(その4)のQ2以降では、上記Q1で示された考え方に沿って、以下のとおり敷衍されています。

  • 情報提供の際の引用資料について、添付文書やインタビューフォームに記載の内容を使用することは差し支えないこと
  • 文献等になっていない学会発表であることのみをもって提供不可とはならないが、学会発表は実質査読がなく、エビデンスが十分に確立しているとは言えないため、文献等にはなっていない学会発表であること、エビデンスが十分に確立されているとは言えないことを明確に説明した上で情報提供すること
  • 自社製品と他社製品との有効性・安全性(副作用等)に関する比較情報を求められた場合、患者背景等の異なる臨床試験の成績を調整することなく比較すること等、単に比較した情報を提供することが科学的に公平な比較とは言えない場合があることから、情報提供にあたっては、比較情報の出典を明らかにする等の対応が必要であること。また、(i) 有効性に関しては、主要評価項目、副次評価項目等の位置付けを明確にする必要があり、(ii) 安全性(副作用等)に関しては、特定の種類の副作用を示すだけでなく、安全性(副作用等)の全体像を示す必要があること
  • 薬価に関する情報提供は、内容としては販売情報提供活動GLの規制の対象外だが、販売情報提供活動GLや医薬品等適正広告基準の遵守が前提となり、医師や薬剤師の誤認を招かない公平な比較情報とすること

2. 未承認薬・適応外薬等に関する情報提供

 未承認薬・適応外薬等に関する情報提供については、以下の考え方が示されています。

  • 医師又は薬剤師から自社製品の適応外使用に関する情報を求められた時に、その場で情報提供を行うことが不可となるものではないこと
  • 文献等になっていない学会発表情報について情報提供する場合には、前述の比較情報の提供における学会発表情報と同様に、文献等にはなっていない学会発表であること、エビデンスが十分に確立されているとは言えないことを明確に説明した上で情報提供すること
  • 医師又は薬剤師から治療ガイドラインに関する情報を求められた場合には、当該治療ガイドラインに未承認薬に関する情報が含まれることを明確に伝え、当該治療ガイドラインに関する情報を販売情報提供活動GLの条件に従って提供すること
  • 医師又は薬剤師から、適応外で医薬品を使用した場合における保険診療の可否に関する情報を求められた場合、当該医薬品について、単に、厚生労働省のウェブサイトに掲載されていることを情報提供することは差し支えないこと

おわりに

 医薬品製造販売業者等にとって、販売情報提供活動GLを遵守することは重要ですが、前述のとおり、医薬品製造販売業者等が販売情報提供活動GLの解釈について過度に萎縮し、慎重になるあまり、医師、薬剤師その他の関係者が医療用医薬品について十分な情報提供を受けられないことは、かえって医療用医薬品の適正使用を損なうものとも考えられます。したがって、今後は、今般発出された販売情報提供活動GLに関するQ&A(その4)に従って、適切に、必要な情報提供が行われることが期待されます。

 なお、令和6年度の厚生労働科学研究費においては、今回発出された販売情報提供活動GLに関するQ&A(その4)について、発出後の状況調査を実施する予定であるとされており、当該調査結果を踏まえた規制当局の動きを今後も注視していく必要があると思われます。

脚注一覧

※1
医薬品製造販売業者等が、特定の医療用医薬品の名称又は有効性・安全性の認知の向上等による販売促進を期待して、当該医療用医薬品に関する情報を提供する行為を指します。

※2
「薬事法における医薬品等の広告の該当性について」(平成10年9月29日医薬監第148号厚生省医薬安全局監視指導課長通知)、「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」(平成29年9月29日薬生監麻発0929第5号厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長通知)2第4の9等をいいます。

本ニュースレターは、各位のご参考のために一般的な情報を簡潔に提供することを目的としたものであり、当事務所の法的アドバイスを構成するものではありません。また見解に亘る部分は執筆者の個人的見解であり当事務所の見解ではありません。一般的情報としての性質上、法令の条文や出典の引用を意図的に省略している場合があります。個別具体的事案に係る問題については、必ず弁護士にご相談ください。


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