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ニュースレター

シンガポール競争法上の企業結合規制 -Grabによる買収2件を具体的事例として

NO&T Asia Legal Update アジア最新法律情報

著者等
福井信雄小宮千枝(共著)
出版社
長島・大野・常松法律事務所
書籍名・掲載誌
NO&T Asia Legal Update ~アジア最新法律情報~ No.203(2024年8月)
業務分野
※本ニュースレターは情報提供目的で作成されており、法的助言ではありませんのでご留意ください。また、本ニュースレターは発行日(作成日)時点の情報に基づいており、その時点後の情報は反映されておりません。特に、速報の場合には、その性格上、現状の解釈・慣行と異なる場合がありますので、ご留意ください。

1. はじめに

 2024年7月、東南アジアの配車サービス最大手のグラブ・ホールディングス(以下、「Grab」という。)が、シンガポール内で3番目の規模を有するタクシー会社であるトランスキャブ・ホールディングス(以下、「Trans-cab」という。)の買収(以下、「本件買収」という。)を取り止めたことが報じられた。Grabは、本件買収を2023年7月に公表していたものの、本件買収がシンガポール競争法に抵触する疑いがあるとして、シンガポール競争当局(Competition and Consumer Commission of Singapore、以下「CCCS」という。)からの仮決定を受けた2週間後、本件買収を白紙に戻した。Grabは、2018年3月に行ったウーバー・テクノロジーズ(以下、「Uber」という。)の買収(以下、「別件買収」という。)の際にもシンガポール競争法への抵触を指摘されて制裁金が課され、将来的な取引に関しても一部制限がなされていた。

 本稿では、Grabによる2件の買収取引を題材に、買収に伴うシンガポール競争法上の企業結合規制について概説する。

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