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パテントリンケージ制度における特許権者の情報提供についての不正競争の成否に関する2件の東京地裁決定

NO&T IP Law Update 知的財産法ニュースレター

※本ニュースレターは情報提供目的で作成されており、法的助言ではありませんのでご留意ください。また、本ニュースレターは発行日(作成日)時点の情報に基づいており、その時点後の情報は反映されておりません。特に、速報の場合には、その性格上、現状の解釈・慣行と異なる場合がありますので、ご留意ください。

1. はじめに

 医薬品特許の実効的な保護と後発医薬品の製造販売開始後の安定供給を目的として、後発医薬品の製造販売承認手続の段階で特許抵触の有無を確認する制度、いわゆる「パテントリンケージ」制度が各国で採用されています※1。日本においては、平成6年10月4日付け「承認審査に係る医薬品特許情報の取扱いについて」(以下「平成6年通知」といいます。)※2、及び、平成21年6月5日付け「医療用後発医薬品の薬事法上の承認審査及び薬価収載に係る医薬品特許の取扱いについて」※3という2通の通知に基づき運用されており、特許権者は、医薬品の承認審査業務を担当する独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と厚生労働省(厚労省)の検討用資料として、PMDAに対し、「医薬品特許情報報告票」を提出することが求められています(ただし、提出はあくまで任意で、また、その内容は一般に公開されません。)。※4

 後発医薬品と同様に、国内で既に承認されたバイオテクノロジー応用医薬品(先行バイオ医薬品)と同等・同質の品質、安全性、有効性を有する医薬品である、バイオ後続品(バイオシミラー(biosimilar)、BSとも呼ばれます。)も、パテントリンケージ制度の対象とされているところ、去る令和6年、バイオ後続品の承認手続に関する、バイオ後続品メーカーと、特許権者(先行バイオ医薬品メーカー)との間の2件の紛争について、それぞれ、東京地方裁判所(東京地裁)の決定がされました(東京地裁令和6年10月28日決定・令和6年(ヨ)第30029号※5(以下「第1事件決定」といい、当該決定に係る事件を「第1事件」といいます。)、東京地裁令和6年12月16日決定・令和6年(ヨ)第30028号※6(以下「第2事件決定」といい、当該決定に係る事件を「第2事件」といいます。))。

 この2件は、同一のバイオ後続品に関する事件であり、いずれも、特許権者が「医薬品特許情報報告票」に特許権侵害の成否に関する意見を記載して厚労省に提出する行為が、不正競争防止法(以下「不競法」といいます。)2条1項21号の「競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知……する行為」に該当するとして、同法3条1項に基づき、当該行為の差止めの仮処分の申立てがされた事案でした。2件は、東京地裁の異なる部に係属しました※7。2件の決定は、いずれもバイオ後続品メーカーの申立てを却下したものですが、対比すると、両者は異なる判断枠組みを用いて判断したことがわかります。

 本ニュースレターでは、第1事件決定及び第2事件決定の概要をご紹介すると共に、両決定の今後の実務への影響について簡単に検討します※8

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