icon-angleicon-facebookicon-hatebuicon-instagramicon-lineicon-linked_inicon-pinteresticon-twittericon-youtubelogo-not
SCROLL
TOP
Featured Topics 特集
特集

農林水産法務シリーズ第1回「農林水産法務チームの発足」


座談会メンバー

パートナー

笠原 康弘

主な業務分野は、M&A/企業再編、プライベートエクイティ・ベンチャーキャピタル、一般企業法務。米国及びブラジルにおける勤務経験を活かし、北中南米を中心とした国際案件も幅広く取り扱っており、農林水産エリアへの投資についても助言している。

パートナー

宮下 優一

気候変動問題、生物多様性保全、人的資本経営といったサステナビリティの重要テーマの企業情報開示について、国内外の資本市場におけるエクイティ・デット双方のキャピタルマーケット案件、金融規制法、コーポレートガバナンス等の分野の経験を踏まえた実践的な助言に取り組む。

パートナー

渡邉 啓久

資源・環境・エネルギー、建設・インフラ、プロジェクトファイナンス、証券化・ストラクチャードファイナンス、不動産取引を中心として一般企業法務全般を取り扱うほか、気候変動問題、海洋資源保護や生物多様性保全に関連する法務問題に取り組む。

【はじめに】

2022年に新しい業務分野に取り組むプロジェクトとして当事務所に「農林水産法務」チームが発足いたしました。

従来、1次産業として位置付けられた農林水産分野が、国の政策も含め、大きな変革を迎えています。また、ESG投資が拡大する中、農林水産分野も、ESGの観点から再構築が求められています。こうした時代の変容に伴う農林水産ビジネスの変革に伴い、法務のあり方も大きく様変わりしており、企業法務の総合法律事務所として当事務所が有するファイナンス、コーポレート、テック、知的財産、ヘルスケア・ライフサイエンス、環境法、再生エネルギー・インフラ、外資規制等に関する知見を用いてクライアントのみなさまをサポートできる余地が大きいと考えております。

本ウェブサイトにて、今後、農林水産法務に関する座談会の内容を連載でお届けいたします。第1回は、総論としてチーム発足の経緯とカバレッジをご紹介いたします。

CHAPTER
01

農林水産法務チームの発足

笠原

当事務所の新しい取組みとして、農林水産法務チームが立ち上がりました。農林水産法務の内容は多岐にわたるため、今後連載形式でお届けします。第1回となる今回は、導入としてチームの紹介をしていきたいと思います。

渡邉

まず大きな社会構造として、日本の農林水産は、いま大きな変革期にあります。少子高齢化に伴う担い手不足、食品も含めた農林水産分野のマーケット縮小といった社会問題を踏まえ、これまで1次産業に位置付けられてきた農林水産業の6次産業化に向けた取組みが進むなど、国の政策や民間の動きに大きな変化が生じつつあります。

笠原

それに加えて、ESG投資が拡大する中、農林水産分野も、ESGの観点から再構築が求められているように感じます。

宮下

こうした大きな社会の変化にあっては、ルールの形成やその適用、新たな取引スキームの開発など、リーガルのニーズに迅速かつ柔軟に応えることが大事になってきます。

笠原

時代の変容に伴う農林水産ビジネスの変革に伴って、法務のあり方も大きく様変わりしていく中で、企業に関するあらゆる分野の法律問題にチームで対応してきた「総合法律事務所」として、この農林水産分野に当事務所がワンストップで貢献できると考えています。

宮下

2022年11月現在、農林水産法務チームには約20名のメンバーが参加しています。このチームの特徴として、所内のincubation/innovationのプロジェクトから生まれたものだということもありますね。

渡邉

「i-Project」という、新規分野の開拓などに繋がるチャレンジを事務所が積極的に応援するプロジェクトの一環で、課題解決に貢献したいと考える多くの弁護士が所内公募で集まりました。
CHAPTER
02

農林水産法務チームのカバレッジ

宮下

「農林水産法務」といっても、このような切り取り方はこれまでは珍しく、例えば、農業の事業承継やアグリテックに限定された文脈で語られることがあるといったところだったでしょうか。

笠原

もちろん、例えば、農地法や種苗法などについてのご相談など、農林水産分野に関する法律相談というのは昔からあったわけですが、近年の情勢を踏まえると、法務の観点も含めて、農林水産分野に対する捉え方を大きく転換していかなければならないと感じます。

渡邉

そうですね。岸田内閣が掲げる「新しい資本主義」の考え方を見ても、農林水産分野の変革への期待はこれまでになく高まっている気がします。例えば、農林水産分野では、スマート技術等の活用による労働力不足の解消や生産性の向上等を通じ、生産基盤の維持・強化を図ることが急務になっています。また、農林水産・食品産業の一部を海外仕向けに転換し、生産基盤を維持・強化していくことも重要です。さらには、環境負荷の少ない調達、生産、加工・流通、消費の実現による持続可能な食料システムの確立を図ることで、農業のグリーン化も推し進めていく必要があります。

宮下

近時のウクライナ情勢も踏まえて、食料安全保障の強化も重要な論点になっていますね。輸入生産資材・輸入作物への依存度を低くする産業構造への転換を図り、食料の安定供給体制をどう確立していくかが問われることになります。

渡邉

今回の私たちの取組みは、古典的な農林水産関連の法務の枠にとらわれることなく、新しい時代の潮流に沿った法務サービスの提供を目指そうというものです。テーマで括ると、①スマート農林水産業、②データ・ノウハウ等の保護、③フードテック、④遺伝子・ゲノム関連技術、⑤食料安全保障、⑥農業と投資・ファイナンス、⑦観光・地方創生、⑧ブランド等の保護、⑨輸出支援、⑩みどりの食料システム、⑪再生可能エネルギーとの共生、⑫カーボンニュートラルと林業、⑬ブルーエコノミー、⑭自然資本・生物多様性と企業情報開示などがあります。

笠原

このラインナップだけを見ても最先端の分野であることが分かりますね。

渡邉

はい。それと同時に、コーポレート/M&A、テック、エクイティ・デットファイナンス、知的財産・データ、個人情報、ヘルスケア・ライフサイエンス、環境法、再エネ・インフラ、外資規制などに関して、これまで当事務所が培ってきた知見が大いに活かせる領域だと考えています。

笠原

こうした新しい時代の農林水産分野の法務問題に対応するためには、例えば知的財産だけに特化した検討だけでは必ずしも十分とはいえず、多様な専門性やバックグラウンドをもった弁護士が集い、総合的な見地からアドバイスを提供できる体制作りが肝だと考えています。

宮下

さらに言うと、ESG/SDGsの視点を取り入れてカバレッジを構築しているのも、このチームの特徴といえます。ESG/SDGsと企業法務については特設ページを別途設けていますのでそちらをご覧いただければと思いますが、こちらもチームワークの力を駆使して対応しています。

渡邉

これらの分野の中には、そもそも国内にルールが存在しないというものも多くあります。

笠原

そうですね。そうしたものについては、ルールメイキングに関わることも私たちの重要な役割だと思いますし、政策の動向や国際的な潮流を敏感に捉えてクライアントのみなさまに情報発信もしていきたいと思います。

渡邉

「農林水産法務」というと、農林水産業を現在営んでいらっしゃる事業者にだけ関係しそうですが、そうではありませんよね。

宮下

はい。特に新しい技術分野についてはスタートアップ企業や他業種の企業による参入も加速していくでしょうし、また、自然資本・生物多様性と企業情報開示についていえば上場企業を中心に広く関係してくるということにもなります。

笠原

ここで挙げたテーマも、これでチームの外延を画するという硬直的なものではなく、今後スピーディーに変化していく社会やクライアントのニーズに対応して、柔軟にカバレッジを考えていきたいと思っています。
CHAPTER
03

次回に向けて

渡邉

今回は総論に留まりましたが、次回以降、それぞれの個別テーマを議論していきたいと思います。

宮下

まず、第2回・第3回は、スマート農林水産業、データ・ノウハウ等の保護、フードテック、遺伝子・ゲノム関連技術、食料安全保障について議論する予定です。第4回は農林水産業の活性化、第5回は農林水産業とカーボンニュートラル、第6回はブルーエコノミーと生物多様性を取り扱う予定です。

笠原

当事務所では、これまで様々な分野での変革を法務面で支えてきたという自負があります。まさに変革期を迎えている農林水産分野について、当事務所の総合力を発揮していきたいと考えています。

本座談会は、各位のご参考のために一般的な情報を簡潔に提供することを目的としたものであり、当事務所の法的アドバイスを構成するものではありません。また見解に亘る部分は執筆者の個人的見解であり当事務所の見解ではありません。一般的情報としての性質上、法令の条文や出典の引用を意図的に省略している場合があります。個別具体的事案に係る問題については、必ず弁護士にご相談ください。