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ニュースレター

貴社の中国拠点はいつまで使えますか~中国における土地使用期限到来問題

NO&T Asia Legal Update アジア最新法律情報

※本ニュースレターは情報提供目的で作成されており、法的助言ではありませんのでご留意ください。また、本ニュースレターは発行日(作成日)時点の情報に基づいており、その時点後の情報は反映されておりません。特に、速報の場合には、その性格上、現状の解釈・慣行と異なる場合がありますので、ご留意ください。

はじめに

 過去40年余りにわたって、日本企業は中国において工場、ホテルや百貨店等の工業・商業施設を展開するために期限付きの土地使用契約を締結してきた。80-90年代に締結された土地使用契約は、一部は既に、その他の多くも近い将来使用期間の終了を迎えることとなるが、その後土地使用契約を更新可能か、可能な場合もどういった条件で認められるかが、最近では日本企業の中国事業における重要な問題となっており、更新を断念して撤退した企業も散見される。背景としては、中国独自の土地利用制度とこの数十年で不動産価格が急上昇したことが挙げられるが、本稿では土地使用権の更新問題に関し、現行の法規制及び実務上の傾向・対策を概観する。

1.中国の土地使用権制度の概要

 日本の土地私有制と異なり、中国においては、私人による土地の所有が認められていないため※1、原則として、企業又は個人が土地を利用する場合には「土地使用権」の取得が必要である。土地使用権は大きく国有土地使用権と(農民の)集団所有土地使用権に分けられるが※2、集団所有は基本的に農地に適用される制度であるため、日本企業が中国の都市部で土地使用権を取得する場合は、国有土地を取得することになる※3

 土地使用権を取得する方法としては、「払下げ」※4と「割当て」※5がある。土地使用権の払下げとは、土地の所有者である国(実際には各地方における地方政府)が土地使用者と払下契約を締結することにより、一定期間の土地使用権を土地使用者に与え、その対価として土地使用者が国に土地使用料を支払う行為をいい、日本における定期賃貸借契約に近い※6。政府と土地使用権払下契約を締結するために、競売、入札又は政府との協議等の手続を経ることが必要とされている※7。払下金の金額は、土地の所在、用途及び使用期間により異なり、入札、競売等の公開方式による場合には特に規制がない一方、相対の協議により土地使用権を取得する場合には、払下金の金額は原則として各地方政府の定める最低価格を下回ってはならないとされている※8。また、払下げにより取得した土地使用権(以下、「払下土地使用権」という。)は使用期間内であれば、第三者に譲渡し、賃貸し、又は抵当権を設定することができる※9。他方、割当土地使用権の取得(以下、「割当土地使用権」という。)については、無償かつ無期限であるものの、国家機関の用地、軍用地、都市インフラ用地及び公共事業用地、国が重点的に支援するエネルギー、交通、水利等のプロジェクト用地等の公益的な性質を有するものに限られ※10、また、原則として第三者への譲渡、賃貸、担保設定が認められない※11。そのため、外資企業である日本企業は通常、割当てではなく、払下げにより土地使用権を取得している。加えて、前述のように日本企業が中国で事業用のため都市部にある土地を取得することが多いことから、本稿以下は払下げにより取得した国有土地使用権を前提として検討を進めたい。

2.払下土地使用権の期限到来に伴う期間延長問題の顕在化

 払下土地使用権は、使用期間の制限がない割当土地使用権と異なり、用途毎に最長使用期間が定められており、原則として、居住用地70年、工業用地50年、教育・科学技術・文化・衛生・体育用地50年、商業・観光・娯楽用地40年、総合又はその他の用地50年となっている※12。中国でいわゆる改革開放政策が開始され、日本企業を含む外資企業が中国で土地使用権を取得し事業を展開するようになったのは1980年代以降であることから、外資企業が取得した多くの土地は商業用地、工業用地等にあたり、2020年-30年代に使用期限を迎え、更新を迫られることとなる。

3.払下土地使用権の期間延長手続に関する現行法規制及び実務上の取扱い

 そこで、使用期限の更新は可能か、及び、可能な場合、どういった要件を満たす必要があるかが問題となるが、これらの点は国の法令に加え、各地方の定める条例及び実務に大きく依存しているのが実情である。

(1) 国の法令

 国の法令としては、主に2019年8月に改正された「都市不動産管理法」が払下土地使用権の期間延長について定めており、①土地使用権者は期間満了の1年前までに、土地管理部門に期間延長の申請を行わなければならない、②土地管理部門は、社会公共の利益のために土地を回収する必要のある場合を除き※13、原則として期間延長の申請を許可する、③期間延長が許可された場合、土地使用権者は、土地使用権払下契約を更新(再締結)した上で、更新料(土地使用権払下金)を支払わなければならないと定めている※14。しかし、土地使用権の期間延長が認められるとしても、①土地使用権払下契約を更新する際の更新料の金額をどのように決めるのか、②更新契約における使用期間はどのように設定すべきか(元払下契約で定められた使用期間をそのまま維持する必要があるか、その期間に変動を加えても良いか)、③更新契約の期間経過後更に更新可能か(すなわち更新の回数には上限があるのか)といった点は依然として不明確であり、細部は土地が所在する各地の規定に委ねられることとなる。

(2) 地方の規定及び実務上の取扱い・留意点

 そこで、各地方に目を向けると、地方によっては、上記国の法令を明確化する規定を置いているものもある。

 日本企業の進出も多い深センを例にとれば、2004年4月に「深セン市における期間満了不動産の更新に関する若干規定」※15を公表し、同規定は深セン市内で使用期間が満了した土地使用権について、土地用途が変更されていないことを前提に更新を認めるが、更新料としては、各土地の基準地価の35%と定め、更新期間としては、法定の最高使用年限から既に使用した期間を差し引いた期間について、土地の使用を更新できるとしている。

 また、比較的最近に関連規定を制定した例としては、浙江省海寧市が2018年10月に公表した「国有建設用地使用権払下(賃貸)期間満了の土地処置管理方法に関する通知」※16があり、概要としては、更新料は土地市場評価価格の50%を基準として調整する金額とし、更新年数は、工業用地30年、商業及びその他用地20年であり、かつ、更新前と更新後の使用期間の合計が当該用地の最高使用年限を超えないものと規定している。

 その他の地域については、より詳細な規定を置いているところもあれば、規定が見当たらないところも多く、規定が置かれている地域も、深センのように規定自体が古くなってしまい、その間の土地の利用形態及び地価が大きく変わったところもあることから、土地使用権の更新の可否及びその条件については、ケースバイケースで土地の所有者である地方政府と交渉するしかないのが実情である。

 そして、この交渉も一筋縄ではいかない。土地使用権の使用料を含む不動産関連収入は中国の地方政府にとって貴重な財源となっており、地方政府としては、更新を通じてできるだけ多くの収入を確保したい需要がある。上記のように、中国の地価は土地使用権の払下げ開始時期から天文学的に上昇しているのが通常であり(例えば1990年の上海における地価を1とすれば、2022年はおよそ100以上となっている)、地方政府が要求する更新料は上昇した現在の地価を基準とすることが多いと思われる。

 他方で、外資企業としても、地方政府の「言い値」で更新料を支払う必要は必ずしもない。近年、人件費の高騰、環境規制の厳格化などで、外資企業にとっては中国からの工場等施設を撤退させたいニーズが高まっており、土地使用権の更新に過大なコストがかかれば、いっそ更新を行わず、事業の譲渡又は解散・清算を選択する可能性がある。地方政府とすれば、外資企業が撤退した場合、解雇された労働者の就業問題や今後の税収の減少など、新たなリスクを抱えることとなるため、外資企業に残ってほしい動機も有している。土地使用権の更新の延長及び条件については、結局そういった互いの需要と供給を天秤に載せた上で、いわばゴリゴリとした交渉を行うこととなる。また、そもそも土地使用権払下契約には、土地の使用条件として、土地使用者の事業の規模、雇用人数、売上、税収等の条件が定められているものが少なくなく、それらも数十年の間で現実にそぐわなくなっていることが多いため、更新の際に、それらの使用条件の見直しも行う必要がある。

 こういった交渉はしばしば時間がかかるものであり、使用期限が差し迫ってからはとれる選択肢が自ずと限られることとなるため、日本企業としては、中国事業で使用している土地使用権の使用期限を確認の上、数年前から当局との交渉に向けて準備を開始すべきであろう。

脚注一覧

※1
「憲法」(2018年3月11日施行)10条。

※2
「土地管理法」(2020年1月1日施行)9条。

※3
長島・大野・常松法律事務所「アジアビジネス法ガイド 中国編 第11版」18頁。

※4
中国語:出让。

※5
中国語:划拨。

※6
「都市・鎮国有土地使用権払下げ及び譲渡暫定施行条例」(2020年11月29日施行、中文表記は「城镇国有土地使用权出让和转让暂行条例」)8条。

※7
「民法典」(2021年1月1日施行)347条、「都市不動産管理法」(2020年1月1日施行、中文表記は「城市房地产管理法」)13条。

※8
「協議による国有土地使用権の払下げに関する規定」(2003年8月1日施行、中文表記は「协议出让国有土地使用权规定」)4条、5条、6条。

※9
「都市・鎮国有土地使用権払下げ及び譲渡暫定施行条例」4条。

※10
「都市不動産管理法」23条、24条。

※11
「土地管理法」54条、「都市・鎮国有土地使用権払下げ及び譲渡暫定施行条例」44条。

※12
「都市・鎮国有土地使用権払下げ及び譲渡暫定施行条例」12条。

※13
「社会公共の利益」の意義については「都市不動産管理法」で明確に規定されていないものの、「土地管理法」45条は公共利益の内容を明示したため参考になるであろう。具体的には、軍事及び外交のために土地を使用する必要がある場合、政府が実施を手配するエネルギー、交通、水利、通信、郵政等のインフラの建設のために土地を使用する必要がある場合や、政府が実施を手配する貧困者の扶助・転居、保障性住宅供給プロジェクト建設のために土地を使用する必要がある場合などが規定されている。

※14
「都市不動産管理法」22条1項。

※15
中国語:深圳市到期房地产续期若干规定。

※16
中国語:海宁市国有建设用地使用权出让(租赁)到期土地处置管理办法的通知。

本ニュースレターは、各位のご参考のために一般的な情報を簡潔に提供することを目的としたものであり、当事務所の法的アドバイスを構成するものではありません。また見解に亘る部分は執筆者の個人的見解であり当事務所の見解ではありません。一般的情報としての性質上、法令の条文や出典の引用を意図的に省略している場合があります。個別具体的事案に係る問題については、必ず弁護士にご相談ください。


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