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ニュースレター

米国連邦通信委員会による一部の通信機器の輸入・販売の禁止措置

NO&T U.S. Law Update 米国最新法律情報

著者等
塚本宏達佐藤恭平(共著)
出版社
長島・大野・常松法律事務所
書籍名・掲載誌
NO&T U.S. Law Update ~米国最新法律情報~ No.83(2022年12月)
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※本ニュースレターは情報提供目的で作成されており、法的助言ではありませんのでご留意ください。また、本ニュースレターは発行日(作成日)時点の情報に基づいており、その時点後の情報は反映されておりません。特に、速報の場合には、その性格上、現状の解釈・慣行と異なる場合がありますので、ご留意ください。

はじめに

 2022年11月25日、米国連邦通信委員会(Federal Communications Commission。以下「FCC」といいます。)は、米国の安全保障上の容認できないリスクとなり得るカバードリスト(以下参照)掲載の一定の通信機器等について、米国内への輸入及び米国内での販売の認証を禁止する新たな報告及び命令(Report and Order。以下「本R&O」といいます。)を発行しました※1。これにより、華為技術(ファーウェイ)や中興通訊(ZTE)が製造する通信機器、監視カメラ等の米国内での販売が事実上禁止されることになります。

 本ニュースレターでは、これまでの経緯に触れつつ、本R&O及び同時に発行されたFurther Notice of Proposed Rulemakingの内容を紹介します。

本R&Oのポイント

 本R&Oは、FCCの公共安全国土安全保障局(Public Safety and Homeland Security Bureau。以下「PSHSB」といいます。)が公表したリスト(Covered List。以下「カバードリスト」といいます。)※2に掲載された一部の機器を対象として米国への輸入や販売の認証を禁止するものです。

 そもそも、カバードリストとは、米国の安全保障に対する脅威となり得る通信機器等や通信サービスを掲載したリストであり、Secure and Trusted Communications Networks Act of 2019に基づきPSHSBが公表し、定期的にアップデートされることになっています。カバードリストに掲載された通信機器等や通信サービスについては連邦政府の補助金を使用して購入、維持等をすることが禁止されています。2021年3月12日、PSHSBはカバードリストに関する最初の公告を発行し、その後、数度に亘り同リストはアップデートされています。

 2021年11月にバイデン大統領が署名したSecure Equipment Act of 2021は、カバードリストに掲載された機器の認証を禁止することを目的としたFCCの機器認証プログラムに関する法律であり、同法に基づいて本R&Oが発行されました。

 本R&Oに基づく改正により、カバードリストに掲載された通信機器等については、米国内への輸入や米国内での販売についてFCCより認証を受けることが禁止され、一部の機器に認められるより簡便な手続であるSupplier’s Declaration of Conformityのプロセス(いわゆるSDoCプロセス)での認証も受けられなくなります。また、これらの機器については認証の例外規定に基づく輸入や販売も禁止されることになります。

 本R&Oの対象には、本ニュースレター発行日現在においてカバードリストに掲載されているHuawei Technologies及びZTE Corporationが製造する通信機器や監視カメラ、並びにHytera Communications、Hangzhou Hikvision Digital Technology及びDahua Technologyが製造する通信機器や監視カメラ(安全保障上の目的で使用される場合に限定されます。)(なお、いずれの対象エンティティについてもその子会社や関連会社を含みます。)が含まれていますが、同じくカバードリストに掲載されているAO Kaspersky Lab、China Mobile International USA Inc.、China Telecom (Americas) Corp.、Pacific Network Corp、ComNet (USA) LLC及びChina Unicom (Americas) Operations Limitedは対象外とされています。

 本R&OではFCCの機器認証手続に関するその他の改正も行われています。例えば、今後は、認証申請において当該機器が本R&Oにより認証を受けることが禁止されているものではないことや、申請者がカバードリスト掲載のエンティティでないことの証明(attestation)が求められたり、申請者が米国内の送達代理人を指定することが求められます。

Further Notice of Proposed Rulemakingについて

 FCCは、本R&Oと同時にFurther Notice of Proposed Rulemaking(以下「本FNPRM」といいます。)を発行しており、その中でFCCの機器認証手続の更なる改正に関するコメントの募集を行っています。

 本R&Oによる禁止は将来の認証に関するものであり、既に過去に認証を受けて販売等された機器の除去を要求するものではありませんが、本FNPRMでは認証禁止の措置の遡及的適用に関してコメントを募集しています。もし認証禁止が遡及的に適用されることになれば、既に多くの対象機器が導入されている状況を踏まえると、金額的にかなりの影響を及ぼす可能性があります。

 また、本R&Oによる改正では、認証申請時にカバードリスト掲載の機器の部品が使用されているか否かを証明(attest)することまでは要求されていませんが、本FNPRMでは、カバードリスト掲載の機器の部品に対する規制(例えば、部品のリスクの程度に応じて規制内容を設定する等)についてのコメントも募集しています。

まとめ

 近年、米国内の安全保障のリスクの懸念を背景に、FCC、米国議会や米国行政機関によって米国内においてより強靱な通信機器や通信サービスのサプライ・チェーンを構築するための複数の措置が採られてきており、今回の措置はその最新の動きとなります。これまでの動きや、本R&Oの発行に際してFCCの委員長であるJessica Rosenworcel氏が「FCCは、米国内において信頼できない通信機器の使用が認証されないようにすることで我が国の安全保障の保護に尽力しており、このような取組みを継続していく。」と述べていることを踏まえると、カバードリストのアップデートや本FNPRMで議論されている改正を通じて通信機器等の認証手続に関して今後更なる規制が課せられる可能性もあるため、関連法令の最新の動向に注意する必要があります。

本ニュースレターは、各位のご参考のために一般的な情報を簡潔に提供することを目的としたものであり、当事務所の法的アドバイスを構成するものではありません。また見解に亘る部分は執筆者の個人的見解であり当事務所の見解ではありません。一般的情報としての性質上、法令の条文や出典の引用を意図的に省略している場合があります。個別具体的事案に係る問題については、必ず弁護士にご相談ください。


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