icon-angleicon-facebookicon-hatebuicon-instagramicon-lineicon-linked_inicon-pinteresticon-twittericon-youtubelogo-not
People 弁護士等紹介

多岐にわたる分野の専門的知識と実績を持つ弁護士が機動的にチームを組み、質の高いアドバイスや実務的サポートを行っています。

Publications 著書/論文

当事務所の弁護士等が執筆したニュースレター、論文・記事、書籍等のご紹介です。多様化・複雑化する法律や法改正の最新動向に関して、実務的な知識・経験や専門性を活かした情報発信を行っています。

Seminars 講演/セミナー

当事務所では、オンライン配信を含め、様々な形態でのセミナーの開催や講演活動を積極的に行っています。多岐にわたる分野・テーマの最新の企業法務の実務について解説しています。

Who We Are 事務所紹介

長島・大野・常松法律事務所は、国内外での豊富な経験・実績を有する日本有数の総合法律事務所です。 企業が直面する様々な法律問題に対処するため、複数の弁護士が協力して質の高いサービスを提供することを基本理念としています。

SCROLL
TOP
Publications 著書/論文
会員登録 ログイン
全文ダウンロードは「Legal Lounge」の会員登録/ログインが必要となります。
ニュースレター

税制適格パーシャルスピンオフの導入~「令和5年度税制改正大綱」を踏まえて

NO&T Capital Market Legal Update キャピタルマーケットニュースレター

NO&T Tax Law Update 税務ニュースレター

NO&T Corporate Legal Update コーポレートニュースレター

※本ニュースレターは情報提供目的で作成されており、法的助言ではありませんのでご留意ください。また、本ニュースレターは発行日(作成日)時点の情報に基づいており、その時点後の情報は反映されておりません。特に、速報の場合には、その性格上、現状の解釈・慣行と異なる場合がありますので、ご留意ください。

はじめに

 2022年12月16日の与党による「令和5年度与党税制改正大綱」(「与党大綱」)※1、同月23日の政府の「令和5年度税制改正の大綱」(「政府大綱」)※2の公表を受けて、持分を一部残したスピンオフ(株式分配)(「パーシャルスピンオフ」)を税制適格とする税制改正が行われることが明らかになった。

 従来、スピンオフ実施法人がその完全子会社であるスピンオフ対象法人の株式の全てを一度に分配するスピンオフ(「100%スピンオフ」)のみが税制適格とされており、これがスピンオフ実施後も資本関係を維持したいと考える企業が利用を躊躇する一因となっていた。本改正は、スピンオフ実施後も一定の資本関係を維持しつつ、段階的に事業を切り出すための手法として、パーシャルスピンオフを活用する途を拓くものであり、重要な意義を有する。

 本ニュースレターではパーシャルスピンオフに関する今回の税制改正の概要を紹介するとともに、本改正を受けた実務上のポイントを整理する。

パーシャルスピンオフに関する税制改正の概要※3

 パーシャルスピンオフに関する税制改正の概要は、与党大綱の公表を受けた「令和5年度税制改正大綱:スピンオフ税制、税制適格ストックオプション、スタートアップ税制の改正」(NO&T税務ニュースレター No.18(2022年12月))でも紹介しているが、その後に公表された政府大綱でもその内容に変更はない※4

 具体的には、以下の【図表】に掲げる要件を充足することで、スピンオフ実施法人が、その完全子会社の持分を一部(20%未満)残す形での株式分配(パーシャルスピンオフ)※5が税制適格となる。税制適格となるスピンオフには、スピンオフ対象法人株式の現物配当に当たって、スピンオフ実施法人の株主にみなし配当課税(法人税法24条1項3号、所得税法25条1項3号)が適用されることはなく、また、スピンオフ実施法人においてスピンオフ対象法人株式に係る譲渡損益課税も生じず、課税が繰り延べられることとなる(法人税法61条の2第8項、租税特別措置法37条の10第3項3号、同37条の11第3項)。

 パーシャルスピンオフの税制適格要件は以下のとおりである。

【図表】政府大綱におけるパーシャルスピンオフの税制適格要件(下線部が100%スピンオフとの差異)

事業再編計画認定要件 2023年4月1日から2024年3月31日までの間に産業競争力強化法の事業再編計画の認定を受けた法人(スピンオフ実施法人)が、特定剰余金配当※6として行う現物配当であること
完全子会社要件 スピンオフ対象法人がスピンオフ実施法人の完全子会社であること
分配要件 株式分配の直後に、スピンオフ実施法人が有するスピンオフ対象法人の株式の数が発行済株式総数の20%未満となること
株式按分交付要件 株式分配によって、スピンオフ対象法人株式がスピンオフ実施法人の株主の持株割合に応じて交付されること
従業者継続要件 スピンオフ対象法人のスピンオフ直前の従業者の概ね90%以上がその業務に引き続き従事することが見込まれていること
非支配要件 スピンオフ実施法人が株式分配の直前に他の者による支配関係がなく、スピンオフ対象法人が株式分配後に他の者による支配関係があることとなることが見込まれていないこと
主要事業継続要件 スピンオフ対象法人の主要な事業が引き続き行われることが見込まれていること
特定役員継続要件 株式分配前のスピンオフ対象法人の特定役員※7の全てが株式分配に伴って退任するものではないこと
新株予約権等要件 スピンオフ対象法人の特定役員に対して新株予約権が付与され、又は付与される見込みがあること等の要件※8を満たすこと

 現行制度と対比して、新たな税制適格パーシャルスピンオフの要件は、以下の4点がポイントとなる。

  • 2023年4月1日から2024年3月31日までの間に産業競争力強化法(「産競法」)の事業再編計画の認定を受けたスピンオフ実施法人が、特定剰余金配当として行う現物配当であること(事業再編計画認定要件)
  • 株式分配の直後に、スピンオフ実施法人が有するスピンオフ対象法人の株式の数が発行済株式総数の20%未満となること(分配要件)
  • スピンオフ対象法人の従業者の概ね90%以上がその業務に引き続き従事することが見込まれていること(従業者継続要件)
  • スピンオフ対象法人の特定役員に対して新株予約権が付与され、又は付与される見込みがあること等の要件を満たすこと(新株予約権等要件)

 なお、今般の税制改正においては、令和4年度税制改正要望において経済産業省から要望の出されていた、完全子会社以外のスピンオフは対象となっていない。したがって、例えば、上場親会社が上場子会社株式をスピンオフする場合には、従前どおり税制適格要件を充足せず、スピンオフ実施法人である上場親会社、スピンオフ対象法人である上場子会社株式を受領することになるスピンオフ実施法人の株主の両者が課税されることに留意を要する。

 以下、税制適格パーシャルスピンオフでポイントとなる点について、若干の留意点を整理する。

続きを読む

この内容は「Legal Lounge」会員限定コンテンツです。会員の方はログイン後にご参照ください。会員でない方は、会員登録完了後にご覧いただけます。

会員登録 ログイン

弁護士等

ファイナンスに関連する著書/論文

キャピタルマーケットに関連する著書/論文

税務に関連する著書/論文

税務アドバイス・プランニングに関連する著書/論文

コーポレートに関連する著書/論文

コーポレートガバナンスに関連する著書/論文

M&Aに関連する著書/論文

M&A/企業再編に関連する著書/論文

決定 業務分野を選択
決定