
大久保涼 Ryo Okubo
パートナー(NO&T NY LLP)/オフィス共同代表
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デラウェア州M&A最新判例アップデート 2023年上半期編(2023年11月)
デラウェア州M&A最新判例アップデート 2024年上半期編(2024年11月)
2024年デラウェア州一般会社法(DGCL)の改正のポイント(2025年1月)
本ニュースレターでは、2023年の下半期においてデラウェア州裁判所から出された米国M&A・会社法分野に関する重要判例のうち注目すべき4件を、デラウェア州のM&A・会社法に関する過去の判例法の一般的な解説と共に紹介する。
2022年、Elon Musk氏はTwitter, Inc.(以下「Twitter社」という。)の買収を計画し、同年4月に合併契約を締結したが、同年7月、Musk氏はTwitter社に対して合併契約の解除を通知した。これに対して、Twitter社は直ちに合併取引の実行を求めてデラウェア州衡平裁判所においてMusk氏を提訴したところ、Twitter社の株主であったLuigi Crispo氏もMusk氏を被告として特定履行及び損害賠償を求めて提訴した。
Twitter社の合併契約には、買主の契約違反時に売主が買主に損害賠償責任を追求する場合、請求可能な損害には、当該取引が行われていたら株主が享受していたはずのプレミアム(以下「逸失プレミアム」という。)を含む株主の逸失利益を含む旨の条項(以下「損害定義型Con Ed条項」※1という。)が入っていた。他方、合併契約には、株主など合併契約の当事者以外の第三者には契約上の一切の権利を付与しない旨の条項(いわゆるno third-party beneficiaries条項)が入っていたが、株主からの逸失プレミアムを求める請求について、特段no third-party beneficiaries条項の適用除外とするような文言は入っていなかった。
2022年10月、裁判所は、Twitter社の株主は合併契約の特定履行を求める当事者適格を欠くとして、Crispo氏の請求の大部分を却下したが※2、損害定義型Con Ed条項に基づき逸失プレミアムの請求を求める株主に対してno third-party beneficiaries条項が適用され、当該株主は当事者適格を欠くか否かについては判断を下さなかった。その後、2022年10月27日、Musk氏によるTwitter社の買収取引は完了した。
その数ヶ月後、Crispo氏は、上記の合併取引の実行についての部分的な貢献を根拠に、3百万ドルのmootness feeを求めてデラウェア州衡平裁判所に対して申立てを行った※3。
裁判所は、本件でCrispo氏の主張するmootness feeが認められるためには、原告であるCrispo氏は自らの逸失プレミアムを求める請求が提訴時に法的に価値のあるもの(meritorious)であったことを証明する必要があるとした。原告側は、損害定義型Con Ed条項は、逸失プレミアムを請求するための第三受益者としての地位を株主に付与するものである(従って、no third-party beneficiaries条項は適用されない)と主張し、他方、被告側は、no third-party beneficiaries条項の存在や合併契約の当事者ではない株主に第三受益者の地位を付与することに抑制的であるデラウェア州法の解釈を理由に、原告の主張に反対した。
本件と同様に株主の逸失プレミアムの請求の有効性について争われた2005年のCon Ed判決※5において、第二巡回区控訴裁判所は、買主の義務違反により合併が実行されなかった場合、合併契約に規定されたno third-party beneficiaries条項の存在を理由に、対象会社の株主は、買主に対して株主の逸失プレミアムを請求するための当事者適格を有しないと判断した。Con Ed判決については、実務家から、買主が合併契約に違反したような場合には、株主が本来享受していたはずのプレミアムやその他株主の受けた損害について買主は一定の責任を負うべきであって、Con Ed判決により、(株主の逸失プレミアムが損害賠償の対象とならず賠償額が限定されてしまうため)買主は合併契約に違反して合併を実行しないという判断をしやすくなるのではないかとの批判がなされていた。そのため、Con Ed判決を受けて、株主の逸失プレミアムの損害賠償請求を有効とするための実務的なアプローチとして、①株主がその逸失プレミアムを買主に直接請求するための第三受益者の地位を株主に明示的に付与する、②株主に代わり対象会社を逸失プレミアムについて損害賠償請求できる独占的代理人とする、③買主が賠償する対象会社の損害に、株主の逸失プレミアムを含むとする※6、といったアプローチが使われるようになった(Twitter社の合併契約では、上記のとおり、③のアプローチが採用されていた。)。
Crispo氏の裁判において、裁判所は、③のアプローチについて、対象会社は合併が実行された場合にも合併対価に含まれる株式のプレミアムを受け取る権利を有しない(プレミアムを受け取るのは対象会社ではなく株主である)ため、合併が実行されなかった場合の対象会社の損害に逸失プレミアムを含むことは、対象会社において予想される損害を超えた責任を買主に負わせることになり、デラウェア州において法的拘束力を有しない罰金(penalty)の請求に相当すること、そして、株主の逸失プレミアムを請求することができるのはTwitter社の株主のみであるため、株主の逸失プレミアムに関する規定は株主に第三受益者としての地位を付与する場合にのみ法的拘束力を有することを示した。その上で、本件ではTwitter社及びMusk氏は株主に対して第三受益者の地位を付与しない意図を有していたことを示す十分な証拠があるとして、損害定義型Con Ed条項は法的拘束力を有しないというのが一つの合理的な解釈であるとした(第一の解釈)。
また、裁判所は、もう一つの合理的な解釈として、デラウェア州では当事者間で交渉された契約条項を無効とする解釈を避けるべきであるとの原則があることを踏まえ、「例外的かつ限定的状況」、つまり、合併取引が中断され、特定履行を求めることもできないという状況において、逸失プレミアムを請求するという限定的な目的であれば、損害定義型Con Ed条項が株主に第三受益者の地位を黙示的に付与するような場合もあり得ることを示唆した。逆に言えば、契約当事者の意図を踏まえると、株主に認められる第三受益者としての地位は、合併取引の特定履行による救済が可能である間は認められるべきではなく、Crispo氏が訴訟提起をした時点でTwitter社は合併契約に基づく特定履行を求めていたことを踏まえると、Crispo氏による株主の逸失プレミアムの請求はその時点では有効ではなく、法的に価値のあるもの(meritorious)ではなかったと判断した(第二の解釈)。
結論としては、裁判所は、上記第一の解釈及び第二の解釈を説明した上で、いずれの解釈によってもCrispo氏の請求は提訴時に法的に価値のあるものではないことを理由にCrispo氏の申立てを却下したが、本件においていずれの解釈を採るべきかについては明確な判断を下さなかった。
Advance notice bylawsは、取締役の指名その他の株主提案を行う株主に対し、株主総会の一定期間前までに株主や取締役候補者等の情報を記載した通知書の提出を求める等、一定の要件を満たすことを定める附属定款の規定のことである。デラウェア州法上、株主提案を行うに際して、事前通知を求める規定は現時点において存在しない※7。この点も踏まえ、advance notice bylawsは、会社として、附属定款に株主提案に係る事前通知の要件を定めておくことにより、事前に株主から提出される株主提案の情報を会社や株主が把握できるようにするものである。advance notice bylawsは、株主提案についての準備期間を提供し、また事前の情報提供により会社や株主の判断に資するものであるため、上場会社のうち大多数の企業において導入されている。
デラウェア州裁判所は、これまで多くの場面において、advance notice bylawsの規定の効力を認めてきており、規定の有効性が否定される場面は限定的であった。これまでの判例の蓄積により、①具体的な事案の内容に照らして附属定款の規定が不当に株主の議決権の行使を制約する場合若しくは不公正に適用される場合、②附属定款の規定が不明確である場合、又は③事前通知期限後に取締役会によって予期せぬ重大な変動がもたらされた場合には、効力が否定されるものと解されてきた※8。
2021年11月、米国証券取引委員会(Securities Exchange Commission、以下「SEC」という。)は、会社提案の取締役の選任議案と株主提案の選任議案が提出されている場合に、全ての取締役候補者を一つの委任状に記載するuniversal proxyの使用を義務付ける規則(Rule 14a-19)を採用し、同規則は2022年8月に発効した。従前は、会社と提案株主のそれぞれが自身の提案する取締役候補者のみを記載したproxyを配布し、株主は株主総会に出席しない限り会社と提案株主の候補者を組み合わせて投票することができなかった。universal proxyの使用により、株主はそれぞれの候補者を組み合わせて投票できるようになり、会社提案の取締役候補者全員の選任を望まない場合に株主提案の取締役候補者の一部に投票することが可能となったことから、株主提案の取締役候補者の一部が選任される可能性が生じ、委任状争奪戦が増えることが見込まれていた。
これに対応して、上場会社等では、advance notice bylawsの導入・改定が進み、会社によっては提案株主に広範な要件を課すadvance notice bylawsを導入するようになったが、かかる広範な要件を課すadvance notice bylawsの効力がどこまで認められるかについてデラウェア州裁判所の動向が注目されていた。今回取り上げる判例は、いずれもかかるSEC規則の改正後の対応に関する事案である。とりわけ、Kellner v. AIM ImmunoTech Inc.は、advance notice bylawsの一部の規定について無効と判断したものであり、advance notice bylawsの有効性とその限界について、一定の示唆を与えるものとなっている。
本判決は、上場会社である被告がアクティビスト株主である原告による委任状争奪戦に対応するために採用したadvance notice bylawsについて、一部の規定の効力が否定された事案である。経緯は以下のとおりである。
2022年4月及び7月、免疫関連の医薬品事業を営む上場会社であるAIM ImmunoTech Inc.(以下「AIM社」という。)は、現経営陣への反対派を構成する株主から、取締役指名の株主提案に関する通知を受領した。しかし、AIM社は、いずれも、AIM社の附属定款や適用法令に違反するとしてこれを拒否した。かかる反対派株主の活動を踏まえて、AIM社の取締役会は、2023年3月、附属定款のadvance notice bylawsの規定を改正することを決定した。2023年8月、反対派を構成する株主の一人であるTed D. Kellner(以下「Kellner氏」という。)は、取締役指名の株主提案に関する通知を送付したが、当該通知にadvance notice bylaws違反の不備があるとして、AIM社は当該通知の受理を拒否した。
これを受けて、Kellner氏は、(i)AIM社のadvance notice bylawsの規定が無効であること、(ii)仮に有効であるとしても、原告に対して不公正な態様で適用されていること、並びに(iii)AIM社の取締役会が附属定款の改正を行ったこと及び原告の通知の受理を拒否したことがAIM社の取締役の信認義務に違反していることのそれぞれの確認を求めて訴訟を提起した。
本判決では、SEC規則改正に対応して附属定款の改正により新たに追加されたadvance notice bylawsの一部の規定について、不明確である等の理由により、効力が否定されたが、原告の事前通知は、改正前のadvance notice bylawsの規定の要件を満たしていないなどとして、原告の請求は棄却された。
本判決は、Ocean Powers Technologies, Inc.(以下「OPT社」という。)の株主であるParagon Technologies, Inc.(以下「Paragon社」という。)が提出した取締役選任の株主提案の事前通知書の受理をOPT社の取締役会が拒否したことに関して、仮処分が認められなかった事案であり、原告の事前通知がadvance notice bylawsの要件を満たしているか否かが争われた事案である。詳細は以下のとおりである。
2022年7月以降Paragon社は、OPT社の株式の買い取りを進めていたが、2023年5月19日、Paragon社のCEOであるHesham Gadは、OPT社の取締役らに対して、Paragon社の取締役3名をOPT社の取締役会に適時に指名するよう要請した。これに対し、OPT社の取締役会は、6月8日、advance notice bylawsを含めた定款変更を決議した。
8月25日、Paragon社は、取締役選任の株主提案を行う旨の事前通知書をOPT社に送付した。これに対し、OPT社は、事前通知書の不備を指摘するレターを9月8日付でParagon社に送付した。9月12日、Paragon社は、かかるレターでの指摘につき一部対応した補足通知を行うとともに、OPT社がParagon社の通知に存在すると考える不備を列挙したリストを提供するよう要請した。9月14日、OPT社は、Paragon社の事前通知書について追加の不備を指摘する2度目のレターを送付したが、不備を列挙することはせず、通知の正確性に問題があることや9月12日付の補足通知にも問題があることを指摘した。Paragon社は、9月15日に再度補足通知を行ったが、10月12日、OPT社は正式にParagon社の通知の受理を拒否した。
その後、Paragon社は、OPT社に対し、Paragon社の提案する取締役候補者を選任候補に加えること、及びParagon社の事前通知免除の請求を認めることを求めて、仮処分請求訴訟を提起した。
本判決では、原告の事前通知書がadvance notice bylawsの要件を満たしていないとして、原告の請求は棄却された。もっとも、裁判所は、被告が事前通知書の提出から5週間が経過するまで受理を正式に拒否せず、不備の全体像がわかるようなリストを提供しなかったことについて疑義を呈しており、受理の拒否について不備のあら探しや疑わしいものも存在すると述べており、事前通知に対する会社の対応に一定の指針を与えるものとなっている。
①判断枠組み
裁判所は、原告の請求について、(a)原告の株主提案に関する事前通知がadvance notice bylawsの要件を満たしているか及び(b)上記Kellner v. AIM ImmunoTech Inc.判決同様取締役会による通知の受理の拒否が厳格な司法審査基準(ユノカル基準)に照らして不合理であるかという観点から検討を行った。
②(a)事前通知の要件適合性
OPT社の改正後の附属定款では、証券取引法に従い提出が求められるSchedule 13D※10のItem 4において開示が要求されるのと同じ、株主によるOPT社に関する一定の計画や提案を開示することが求められており、Paragon社は、Schedule 13DのItem4では一定の記載をしていたものの、事前通知においては何らの計画の記載もしていなかった。その後Paragon社は補足の通知を行ったが、提出された証拠から、株主には事前通知に記載されていない計画がないとは言えないとして、裁判所は、Paragon社がadvance notice bylawsの要件を満たしたことを証明できていないと判断した。
③(b)取締役会による通知の受理の拒否の合理性
裁判所は、OPT社による附属定款の変更は、Paragon社が大株主となり委任状争奪戦になり得るということを認識したことから行われたものであるが、SECの規則に対応してなされた開示の拡充を進めるものであり、その目的に合致した対応であるとした。その一方で、裁判所は、Paragon社が不備を是正できるように期限の3週間前に事前通知書を提出したのに対し、OPT社は、提出後5週間経過した後に受理を拒否しながら不備の一覧表を提供しておらず、Paragon社に対する指摘もあら探しのようなものや疑わしいものがあるとし、OPT社の対応には疑義があるとした。裁判所は、そのような事情は存在するものの、advance notice bylawsで提供が求められているOPT社の事業運営計画について開示されていないことを示す証拠があるため、Paragon社がそのような情報を隠していたとすれば、OPT社による事前通知書受理の拒否にも合理性が認められるとした。
本判決では、株主提案の事前通知書の受領後の会社側の対応について、裁判所から疑義を呈されるような点もあった中で、advance notice bylawsの要件を満たしていない株主提案を認めなかったという意味で、会社にとってのadvance notice bylawsの有用性が再確認されたと言える。もっとも、本件は、株主提案がadvance notice bylawsの要件を満たしていないとする有力な証拠が提出されたために原告の請求が棄却された事案であり、そのような証拠がない場合にも、疑義が呈されるような会社側の対応がなされていたような事実関係において、同様の判断がなされるとは限らない。本判決を踏まえ、会社として株主提案に対する対応の方法について不公正な対応と見られないように留意する必要があると言える。
本判決は、上場会社の株主である原告らがadvance notice bylawsの定めた取締役指名の株主提案にかかる事前通知の提出締切日の効力を停止させるべく仮処分請求を行い、かかる仮処分請求が棄却された事例である。
原告らは、ヘルスケア関連サービスを提供する会社であるCano Health, Inc.(以下「Cano社」という。)の3名の取締役であったところ、CEOのコンプライアンス違反の疑いや会社売却を巡る対立から、取締役指名の株主提案の事前通知の期限日の約6週間後である2023年3月30日に辞任した。原告らは、新たな取締役の指名の株主提案の事前通知書を送付しようとし、Cano社に対し、事前通知期限経過後の重大な事情変動があるため株主提案の事前通知の受付を再開するよう要請した。しかし、Cano社はこれを受け入れなかった。これに対し、原告らは、advance notice bylawsの効力の停止を求める仮処分等を求めた。
デラウェア州において、有効なadvance notice bylawsで定められた事前通知の期限を徒過した株主からの事前通知を会社が例外的に認める必要があるのは、当該期限経過後に重大な変動が生じたことを株主側が証明した場合であるとされてきた※11が、本判決は、その点を確認するとともに、具体的な事案の検討において、重大な変動に該当するために証明されなければならない基準が高いことを示した。
本判決においては、advance notice bylawsに定められた事前通知の期限を徒過した後の株主提案を認めるべき重大な変動事由があるか否かが問題にされた。原告は、この重大性につき、委任状に関する開示における重大性の基準を引用し、「開示されなかった事実の開示が、合理的な投資家にとって、利用可能な情報の全体を大きく変える相応の蓋然性」と同程度の重大性で足りると主張した※12のに対し、デラウェア州衡平裁判所は、advance notice bylawsの期限経過後の事前通知の場合においては、委任状の開示における重大性の基準よりも高い基準を満たすことが必要であり、取締役会によって引き起こされた会社の方針や方向性を変更させるような事由である必要があると判断した。
そして、裁判所は、特別委員会の組成、取締役会の議長の変更等の原告が主張した事情は、いずれも会社の方針や方向性を変更させる重大な変動に該当しないとした。
本判決は、advance notice bylawsに定めた事前通知の期限を徒過した株主提案については、原告である提案株主が証明しなければならない期限経過後の「重大な変動」の証明の負担が重いことが改めて確認されたと言え、advance notice bylawsが会社における株主総会手続の安定に果たす役割は高いと言える。
※1
このような、株主の逸失プレミアムについての責任を買主に負わせる内容の規定は、後述のCon Ed判決を踏まえて実務上用いられるようになった「Con Ed条項」の一類型である。
※2
Crispo v. Musk, et al., C.A. No. 2022-0666-KSJM (Del Ch. Oct. 11, 2022)
※3
原告であるCrispo氏が訴訟を提起した後、判決が下される前に合併が実行されたことで原告の当初の請求については争訟性が失われた(mootになった)が、原告の訴訟提起と合併の実行による便益との間には一定の因果関係があることを理由に、原告が被告であるMusk氏に対して訴訟にかかった弁護士費用やその他の費用を請求することが、mootness feeの請求である。
※4
Crispo v. Musk, et al., 2023 WL 7154477 (Del. Ch. Oct. 31, 2023)
※5
Consolidated Edison v. Northeast Utilities, 426 F.3d 524, 528 (2d Cir. 2005)
※6
この③のアプローチは一般に「damages-definition(損害定義)」アプローチと呼ばれる。
※7
なお、連邦法上、上場会社等については、会社指名の取締役以外の取締役の指名を行うための委任状勧誘をしようとする者は、前年の株主総会の1年後の日の60日前までに会社に通知を行うこと(17 CFR § 240.14a-19(b)(1))等が求められているが、かかる通知の内容は限定的である。
※8
AB Value Partners, LP. v. Kreisler Manufacturing Corp., 2014 WL 7150465 (Del. Ch. Dec. 16, 2014)
※9
ユノカル判決に基づく厳格な司法審査基準(ユノカル基準)は、取締役会が脅威を察知した上で防衛を行ったという主観的な動機で行動していた場合等において適用される審査基準であり、本判決においては、①取締役会が会社の重要な利害又は重要な会社の利益の達成に対する脅威に直面していたこと(reasonableness test)、及び②取締役の対応が脅威に対して合理的なものであり、株主の議決権を排除又は強制するものでないこと(proportionality test)を会社側で立証できたか否かという観点から判断している。ユノカル基準の内容については、当事務所発行の米国最新法律情報No.106「デラウェア州M&A最新判例アップデート 2023年上半期編」(2023年11月)も参照されたい。
※10
日本における大量保有報告書に相当するものである。
※11
Hubbard v. Hollywood Park Realty Enterprises, Inc., 1991 WL 3151 (Del. Ch. Jan. 14, 1991)、前掲AB Value Partners, LP. v. Kreisler Manufacturing Corporation, et al.等
※12
デラウェア州裁判所においては、取締役の情報開示義務は、取締役の信任義務から導かれるものであり、取締役会が株主総会の決議を求める場合には、取締役は、取締役会の支配下にある全ての重要な情報を十分かつ公平に開示することが求められるものと解されている(Stroud v. Grace, 606 A.2d 75, 84 (Del. 1992))。本訴訟の原告が引用した判例である、Sherwood, et al. v. Ngon, et al., 2011 WL 6355209 (Del. Ch. Dec. 20, 2011)では、デラウェア州衡平裁判所は、会社の開示事項に重大な誤りがあり取締役会が情報開示義務に違反したとの原告側の主張に相応の合理性を認め、株主総会の開催を20日間差し止める仮差止命令を出しており、本訴訟の原告は、当該判例を参照し、重大性の基準につき主張を行った。
本ニュースレターは、各位のご参考のために一般的な情報を簡潔に提供することを目的としたものであり、当事務所の法的アドバイスを構成するものではありません。また見解に亘る部分は執筆者の個人的見解であり当事務所の見解ではありません。一般的情報としての性質上、法令の条文や出典の引用を意図的に省略している場合があります。個別具体的事案に係る問題については、必ず弁護士にご相談ください。
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