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ニュースレター

短期売買利益の提供制度と近時の裁判例(東京機械製作所事件)

NO&T Capital Market Legal Update キャピタルマーケットニュースレター

※本ニュースレターは情報提供目的で作成されており、法的助言ではありませんのでご留意ください。また、本ニュースレターは発行日(作成日)時点の情報に基づいており、その時点後の情報は反映されておりません。特に、速報の場合には、その性格上、現状の解釈・慣行と異なる場合がありますので、ご留意ください。

はじめに

 金融商品取引法(「金商法」)には、上場会社等の役員または主要株主が当該上場会社等の有価証券について、買付け等をした後6ヶ月以内に売付け等を行い利益を得た場合に、当該上場会社等はその利益の提供を請求することができる制度(短期売買利益の提供制度)があります(金商法164条1項)。

 2022年6月6日、株式会社東京機械製作所(「東京機械製作所」)は、同社の主要株主であった、アジアインベストメントファンド株式会社(「アジアインベストメントファンド」)が行った、東京機械製作所株式の短期売買による利益(約19億4,000万円)の提供を求める訴えを提起しました。

 そして、2023年12月6日、当該訴訟の第一審判決において、東京地裁は上記訴額の全額の支払いを認容する判断(東京機械製作所側勝訴)をしています。そして、当該訴訟については、アジアインベストメントファンドにより控訴提起が行われたものの、2024年7月31日に当該控訴は棄却(東京機械製作所側勝訴)されました。現在、上告の提起及び上告受理申立てがなされています。

 短期売買利益の提供制度については、上記訴訟の影響もあり、近時注目されています。また、上記のように短期売買による利益の取得と判断された場合には、株式の売買によって得た利益の全額の提供という厳格な義務が生じるところ、株式売買に携わる関係者においては、短期売買利益の提供制度の要件等に関する理解が重要であると考えられるため、本ニュースレターでは、短期売買利益の提供制度の概要及び留意点についてご説明します。

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