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トランプ政権下での米国司法省の執行方針の公表

NO&T Compliance Legal Update 危機管理・コンプライアンスニュースレター

※本ニュースレターは情報提供目的で作成されており、法的助言ではありませんのでご留意ください。また、本ニュースレターは発行日(作成日)時点の情報に基づいており、その時点後の情報は反映されておりません。特に、速報の場合には、その性格上、現状の解釈・慣行と異なる場合がありますので、ご留意ください。

はじめに

 2025年5月12日、米国司法省(以下「DOJ」といいます。)Criminal Division(以下「刑事局」といいます。)の長であるMatthew Galeotti氏は、ホワイトカラークライムに関する執行指針をアップデートした旨のスピーチを行い※1、併せて“Focus, Fairness, and Efficiency in the Fight Against White-Collar Crime”と題するメモランダム(以下「メモ」といいます。)を公表しました※2。この内容は、取締りを効率化することによりDOJと企業の負担を軽減することを図りつつ、トランプ政権下においても企業犯罪の取締りを引き続き重視することを示唆するものであり、注目を集めています。

1. アップデートの概要

 今回公表されたメモでは、DOJがホワイトカラークライムを取り締まる上で重視する点が説明されています。主な内容は以下のとおりです。

(1) 重点的に取締りを行う犯罪類型

 DOJは、米国の消費者、納税者、投資家、企業、社会、政府に害を与える犯罪を重点的に取り締まることを明らかにしました。その上で、優先的に捜査・訴追を行う類型として以下の犯罪を挙げています。

  1. 公的財政を害する浪費、欺罔行為、濫用(例:医療詐欺、連邦プログラムに関する詐欺、連邦政府の調達における詐欺)
  2. 貿易や関税に関する欺罔行為(例:関税回避)
  3. 変動利益エンティティ(VIE)を通じて行われる欺罔行為(例:投資詐欺、ランプ・アンド・ダンプ詐欺、高齢者詐欺、証券詐欺、その他の市場操作スキーム)
  4. 米国の投資家、個人、市場を被害者とする欺罔行為(例:ポンジスキーム、投資詐欺、高齢者詐欺、軍人やその家族を対象とした詐欺、消費者の健康や安全を脅かす詐欺等)
  5. 国家の安全保障を脅かす行為(ゲートキーパーが米国の金融システムを脅かす行為を含む。例:金融機関やその内部者による制裁措置の違反、それらの者がカルテル、国際犯罪組織(TCO)、敵対的国家、外国テロ組織による取引を可能にする行為)
  6. 外国テロ組織(最近指定されたカルテルやTCOを含む。)に対する企業からの物的支援
  7. 複雑なマネーロンダリング(例:中国マネーロンダリング組織、違法薬物の製造に使用される資金の洗浄に関与するその他の組織)
  8. 連邦薬物乱用防止法および連邦食品・薬品・化粧品法(FDCA)の違反(例:フェンタニルを混入した偽造薬を違法に製造または流通させる行為、医療の専門家や企業が違法にオピオイドを流通させる行為)
  9. 賄賂および関連するマネーロンダリングであって、米国の国家利益に影響を与え、米国の国家安全保障を損ない、米国企業の競争力を害し、外国の腐敗した政府関係者を潤すもの
  10. デジタル資産に関するDAGメモランダムに記載されている犯罪(すなわち、投資家や消費者を被害者とするデジタル資産に関連する犯罪、他の犯罪行為を助長するためにデジタル資産を使用する犯罪、重大な犯罪行為を助長する意図的な違反行為。)

(米国の)被害者に影響を与える事件、カルテル、TCO、テログループに関連する事件、薬物マネーロンダリングや制裁回避を助長する事件は、最優先で扱われる。

 これを踏まえると、医療・製薬、金融サービス・銀行、デジタル資産・決済の分野で活動する企業において、不正行為のリスクを適切に管理する必要性が特に高まっていると考えられます。また、業種を問わず、米国政府に対して直接的または間接的に製品・サービスを提供している企業も注意が必要です。さらに、贈賄も引き続き優先度の高い類型に含まれており、例えば、米国以外の国において行われた贈賄であっても、その結果として米国企業が市場ないし取引から排除されるようなケースはDOJが関心を持つ可能性があります。これらの動向を踏まえ、グローバルに事業を展開する日本企業においても、コンプライアンス・プログラムのアップデートやその実効性検証を行うとともに、認知した事案の対応策を検討することが重要となります。

(2) 企業と個人(役職員)の訴追に関する方針

 従前からDOJは、企業の不正行為を抑止するために、不正行為に関与した個人、すなわち、企業の役職員を訴追することが重要であるという考え方を示してきました。今回のメモでも、その点が改めて強調されています。

 また、企業の訴追について、DOJは、企業による不正行為の自主的な報告、捜査への協力、コンプライアンス・プログラムの改善を含む是正措置等の状況を評価し、訴追や司法取引の内容を判断する方針を維持しています。今回のメモには、DOJによる訴追判断の透明性をさらに高めることにより、企業によるプロアクティブな対応を促す狙いがあると考えられます。また、企業には、司法取引の一環として、一定期間、是正措置の状況やその過程で認知した不正等についてDOJに報告する義務が課される場合がありますが、企業の対応次第では、その期間が短縮されることも示されています。

(3) 捜査やモニタリングの効率化

 今回のメモは、全体として、企業犯罪の取締りを効率化・迅速化することにより、DOJおよび(捜査対象となる)企業のコストをともに削減すべきことを強調している点に特徴があります。そのための具体的な方策として、3つのガイドライン(下記2.ないし4.参照)が同時にアップデートされました。これらは、企業がプロアクティブに不正行為の予防、発見、調査、是正を行うインセンティブを強化するものと考えられます。

2. 企業執行方針:Corporate Enforcement Policy(CEP)のアップデート

 企業が自ら企業犯罪を予防、発見、調査、是正し、あるいは当局に報告するインセンティブを与える仕組みを構築する手法は、DOJをはじめ複数の米国当局が発展させてきた手法の一つであり、政府と企業との間の情報の非対称性が拡大する中で、当局が限られたリソースでより多くの企業犯罪を効率的に検知、解決する上で有用な手法と理解されています。もともとDOJの刑事局は、2016年にFCPA※3違反を対象にこのような自主的報告を促すための方針を試験導入し※4、その反応を踏まえ、前回のトランプ政権下でCEPとして正式に採用しました。さらに、バイデン政権下では、FCPAに限らず、DOJの刑事局が担当するすべての企業犯罪を対象とし、自主的報告に対するインセンティブをさらに強化するための改訂が行われてきました※5

 今回の改訂は、企業からの自主的報告を増やすために、企業が得られる利益を強調し、かつ、透明性を向上させる形で、これまでの企業執行方針をアップデートするものであり、主要な変更点は以下のとおりです※6

  改定前 改定後
基本要件
  • 自主的報告
  • 完全な調査協力
  • 適時かつ適切な是正措置
基本的には左記と同じ
報奨A
(加重要素なし)
起訴猶予の推定を得られる。
(不正による利得の吐き出し・没収および被害の回復・補償は必要)
起訴猶予処分となる。
(不正による利得の吐き出し・没収および被害の回復・補償は必要)
報奨B
(加重要素あり)
  1. 起訴猶予処分を得るためには厳格な加重要件を満たす必要あり
  2. 起訴猶予とならない場合であっても、上記基本要件を満たした場合には以下の取扱い
  • 有罪答弁は求められない。
  • 量刑ガイドの罰金範囲の下限から50~75%の減額(但し、再犯企業の場合は起算点が異なる)
  1. 裁量により起訴猶予処分が可能
    または
  2. 刑事解決が必要な場合であっても以下の取扱い
  • 3年以下の不起訴合意
  • モニターなし
  • 量刑ガイドの罰金範囲下限から75%の減額
報奨C
(報奨Aの要件を満たさない自主申告あり/加重要素なし)
明示なし 刑事解決が必要な場合であっても以下の取扱い

  • 3年以下の不起訴合意
  • モニターなし
  • 量刑ガイドの罰金範囲下限から75%の減額
自主的報告をしなかった場合
  • (十分な調査協力・是正措置の要件を満たす場合)量刑ガイドの罰金範囲の下限から最大で50%を減額(但し、再犯企業の場合は起算点が異なる)
  • (十分な調査協力・是正措置の要件を満たす場合)量刑ガイドの罰金範囲の下限から減額が行われることが推定(割合は最大50%)
  • (それ以外の場合)検察官は、企業の再犯歴を含む具体的事実や状況に基づき、減額の出発点を決定する。

 今回の改訂内容のうち特に重要な点は以下の3点です。

 第一に、今回のアップデートにより、執行方針としての透明性が高まり、自主的な報告を通じて企業が得られる報奨がより明確になりました。具体的には、以下の4要件のすべてを満たした場合、企業は、従来報奨とされていた起訴猶予の推定にとどまらず、起訴猶予が得られることが明確となりました。

  1. 企業がDOJの刑事局に対して不正行為を自主的に報告すること
  2. 企業がDOJの刑事局による調査に完全な協力をすること
  3. 企業が当該不正行為を適時かつ適切に是正すること
  4. 加重要素※7(“Aggravating Circumstances”)が認められないこと

 第二に、新たな執行方針の下では、再犯などの事情によりいわゆる加重要素が認められる事案であっても、検察官には、それらの加重要素の深刻さと企業による協力や是正措置を考慮の上で、なお起訴猶予とする裁量がある旨が明確にされた点です。改訂前の執行方針の下では、例えば直近5年間に同種の不正に関して司法取引をした企業が起訴猶予を得るためには厳格な追加的要件を満たす必要がありました※8が、今回の改訂により、そのような追加的な要件はなくなりました。

 第三に、起訴猶予を得るために必要な上記4要件のうち一部(1または4)のみ充足できないがゆえにCEPに基づく起訴猶予が得られない場合であっても、なお一定の要件を満たせば有利な取扱いが得られることが明確となりました。具体的には、①NPA(特に悪質性が高い、加重要素が複数認められる場合を除く)、②3年以下の合意期間とする、③モニターを要求しない、④量刑ガイドの罰金範囲の下限から75%の減額といった報奨が与えられる点が明記されました。

 今回の改定後の執行方針に基づく処分判断のフローについては、以下のとおり、分かりやすいフローチャートが添付されています。なお、報奨を得るために必要とされる、自主的な報告、完全な調査協力、適時かつ適切な是正措置の具体的内容については、従前の執行方針から変更はありません。

 現在、DOJは、改訂後の執行方針の下、既に締結済みの司法取引について、より早期に終結させるべきかどうかを判断するためのレビューを実施しており、メモにおいては、合意期間、当該企業のリスク・プロファイル、是正措置とコンプライアンス・プログラムに加え、企業が自主的に報告したか否かについて考慮する旨が明記されています。

(DOJ Justice Manual. 9-47.120 – Criminal Division Corporate Enforcement and Voluntary Self-Disclosure Policy. Appendix A※9

3. コンプライアンス・モニターに関するポリシーのアップデート

 今回、DOJの刑事局は、独立コンプライアンス・モニター(以下「モニター」といいます。)に関する方針を取り纏め、従来の方針にアップデートを加えた内容のメモランダム(以下「Galeottiメモ」といいます。)を公表しました※10。企業の立場からみて、特に重要な内容は以下の2点です。

① モニターを課すか否かの考慮要素の明確化

 まず、Galeottiメモも従前と同様、企業にとってモニターを課されることは、多大な費用負担に加え、事業活動に対する支障をもたらす場合もあることから、モニターが懲罰目的で課されてはならないこと、モニターの範囲は当該事案においてモニターの必要性を生じさせた特定の問題や懸念に適切に対処しつつ、費用や事業への負担を最小限に抑えるために調整されるべきであるとの基本方針を維持しています。

 その上で、Galeottiメモは、モニターに関して、効果的なコンプライアンス・プログラムの確保(利益)と不要な負担の排除(コスト)という両立すべき要請のバランスを適切に取る観点から、検察官がモニターを課すべきか否かを検討する際に考慮すべき要素を以下の4点に整理しました※11

  1. 行為の性質および重大性、とりわけ米国の利益に重大な影響を与える企業犯罪※12が再発するリスク
  2. 他に有効な独立した政府による監督が存在するか否か(すなわち、国内外の規制当局による監督の有無)※13
  3. 司法取引等の時点における企業のコンプライアンス・プログラムの有効性およびコンプライアンス文化
  4. 企業の管理体制の成熟度およびコンプライアンス・プログラムを検証・更新する能力

 上記4点に整理された考慮要素のうち、2・3点目の要素は従前のメモランダムの中にも含まれていた複数の考慮要素を統合する形で整理されたものと考えられます。他方、1点目の考慮要素はこれまで明示されておらず、また、4点目の考慮要素については、従前求められていた考慮要素(コンプライアンス・プログラムに対する十分な検証(Test)の有無)をさらに発展させたものと考えられます。

 4点目の要素として重要な点は、司法取引等の時点において、企業が自社のコンプライアンス・プログラムおよび内部統制を十分に検証し、将来的に同様の不正行為を発見・防止できる可能性が高いことを示せているか否かです。この評価の際の具体的な考慮要素の例として、Galeottiメモは、①新たに導入された統制やコンプライアンス・プログラム強化策が実際に機能していることを示すのに十分な期間運用されているか、②企業がコンプライアンス・プログラムの有効性をどのように、またはどの程度測定しているか、③企業が必要に応じてコンプライアンス・プログラムを検証し、更新する能力を有しているか否かを挙げています。

② モニターの範囲を適切に調整すること

 上記考慮要素を踏まえ、実際にモニターが必要と判断された場合であっても、Galeottiメモは、検察官に対し、モニターの役割の範囲が事業運営に不必要な負担をかけないよう適切に調整されたものであるか否かを考慮し、次のような措置を講じることを求めています。

  • モニターの費用は犯罪の重大性や企業の利益等に比例したものでなければならず、モニターはコストを最小限に抑えるためにあらゆる合理的な措置を講じること(モニターの時給には上限を設けること、すべての作業計画に予算を設定し、モニターはDOJの許可なしにその予算を超えてはならないこと等)
  • DOJの刑事局の意見や監督の下、モニターが自らの期待や目標を明確に伝え、また、モニターの権限逸脱を防ぎ、オープンかつ定期的な対話を確保するための手段として、モニター、対象企業、DOJの刑事局の三者会合を少なくとも年2回実施する
  • モニターシップは、DOJの刑事局、モニター、企業が一つの目標※14に向けて協働する取組みであり、企業と外部専門家であるモニターとの間で、提案内容や進捗等についてオープンな対話を継続する

4. 通報者への報奨に関するポリシーの更新

 DOJの刑事局は、2024年8月1日、3年間の試験的プログラムとして、重大な企業犯罪についてDOJに通報した者に報奨を与えるWhistleblower Awards Pilot Program(以下「通報報奨パイロットプログラム」といいます。)を開始しました。その概要については弊所のニュースレター※15をご参照ください。

 この度、アップデート版の通報報奨パイロットプログラムが公表されました※16。大きな変更点はなく、対象となる犯罪類型について前述の重点領域が反映されています。

おわりに

 今回の執行方針のアップデートは、いわゆるCarrot & Stick Approachにおいて、とりわけCarrotに関連する部分の明確化を図ることを通じ、企業がプロアクティブに不正行為の予防、発見、調査、是正を行うインセンティブを強化するものであり、グローバルに事業を展開する日本企業において、平時からコンプライアンス・プログラムの整備やその実効性検証を進めておく必要性や、不正が発覚した場合の対応等について重要な示唆を与えるものです。トランプ政権下における今後の具体的な運用も注視しつつ、必要な対策を講じておくことが望まれます。

脚注一覧

※2
https://www.justice.gov/criminal/media/1400046/dl?inline(最終アクセス:2025年6月11日)

※3
米国のForeign Corrupt Practices Act(海外腐敗防止法)は、主に米国企業およびその関連企業が外国の公務員に対して贈収賄行為を行うことを防止し、国際的なビジネス慣行における腐敗を抑制することを目的としています。FCPAは米国内の企業や個人だけでなく、一定の条件下で日本企業を含む米国外の企業や個人にも適用される場合があります。

※4
2016年4月5日DOJリリース “Criminal Division Launches New FCPA Pilot Program” (https://www.justice.gov/archives/opa/blog/criminal-division-launches-new-fcpa-pilot-program) (最終アクセス:2025年6月11日)

※5
2023年1月17日DOJリリース“Assistant Attorney General Kenneth A. Polite, Jr. Delivers Remarks on Revisions to the Criminal Division’s Corporate Enforcement Policy” (https://www.justice.gov/archives/opa/speech/assistant-attorney-general-kenneth-polite-jr-delivers-remarks-georgetown-university-law) (最終アクセス:2025年6月11日)。

※6
9-47.120 – Criminal Division Corporate Enforcement and Voluntary Self-Disclosure Policy(https://www.justice.gov/criminal/media/1400031/dl?inline)(最終アクセス:2025年6月11日)

※7
具体的には、不正行為の性質や重大性、悪質性や組織内での蔓延度、不正行為による被害の深刻さ、または同企業による同種不正行為に対する刑事判決もしくは合意による解決の有無(過去5年)

※8
従前は、企業側が以下の3つを立証することが追加的に求められていました。しかしながら、これらの要件の不明確さまた充足の難しさに伴い、再犯企業にとって起訴猶予を期待して自主的な報告をするインセンティブが適切に機能しないことが実務上懸念されていました。

  1. 企業が不正行為の疑いに気づいた後、直ちに自主的報告をしたこと
  2. 企業が、不正行為および自主的報告の双方の時点で、効果的なコンプライアンス・プログラムおよび内部会計統制システムを有していたこと
  3. 企業が、並外れた捜査協力(“extraordinary cooperation”)を提供し、並外れた是正措置(“extraordinary remediation”)を講じたこと
  1. 企業が不正行為の疑いに気づいた後、直ちに自主的報告をしたこと
  2. 企業が、不正行為および自主的報告の双方の時点で、効果的なコンプライアンス・プログラムおよび内部会計統制システムを有していたこと
  3. 企業が、並外れた捜査協力(“extraordinary cooperation”)を提供し、並外れた是正措置(“extraordinary remediation”)を講じたこと

※9
https://www.justice.gov/criminal/media/1400031/dl?inline (最終アクセス:2025年6月11日)

※10
2025年5月12日付“Memorandum on Selection of Monitors in Criminal Division Matters” と題するメモランダム(https://www.justice.gov/criminal/media/1400036/dl?inline) (最終アクセス:2025年6月11日)

※11
従前の方針(バイデン政権下で改訂されたメモランダム)では、モニター要否の考慮要素として10の考慮要素を列挙していました。

  1. 要件を満たす自主的報告の有無
  2. 綿密なリスクアセスメントの後、処分時点において企業が将来の同種不正を防止および発見するために十分な内部統制、効果的なコンプライアンス・プログラムを実施しているか
  3. 処分時点において、企業が自らのコンプライアンス・プログラム、内部統制が将来の同種不正を防止および発見できることを実証するために十分な検証(Test)を実施しているか
  4. 問題の不正は、長期間継続していた/組織全体に広がっていた/または上級管理職、経営陣、取締役によって承認等されていたものか
  5. 問題の不正は、不十分な内部統制システムやコンプライアンス・プログラムの利用を伴っていたか
  6. 問題の不正は、コンプライアンス担当者による積極的参加・Red Flagに対する対応・エスカレーションの懈怠を伴っていたか
  7. 企業が十分な調査および是正措置をとったか(不正行為の関与者らに対する懲戒処分等を含む)
  8. 処分時点において、当該不正の再発リスクが最小または存在しないような形で、当該企業のリスク・プロファイルが有意に変化したか
  9. 事業運営をする特定の地域やセクター、顧客の性質に関連するものを含めて、企業が固有のリスクやコンプライアンス上の課題に直面しているか
  10. 企業が業界の規制当局による監督に服している、または、国内・外の規制当局によりモニターを課されているか、課されているとすればその程度
  1. 要件を満たす自主的報告の有無
  2. 綿密なリスクアセスメントの後、処分時点において企業が将来の同種不正を防止および発見するために十分な内部統制、効果的なコンプライアンス・プログラムを実施しているか
  3. 処分時点において、企業が自らのコンプライアンス・プログラム、内部統制が将来の同種不正を防止および発見できることを実証するために十分な検証(Test)を実施しているか
  4. 問題の不正は、長期間継続していた/組織全体に広がっていた/または上級管理職、経営陣、取締役によって承認等されていたものか
  5. 問題の不正は、不十分な内部統制システムやコンプライアンス・プログラムの利用を伴っていたか
  6. 問題の不正は、コンプライアンス担当者による積極的参加・Red Flagに対する対応・エスカレーションの懈怠を伴っていたか
  7. 企業が十分な調査および是正措置をとったか(不正行為の関与者らに対する懲戒処分等を含む)
  8. 処分時点において、当該不正の再発リスクが最小または存在しないような形で、当該企業のリスク・プロファイルが有意に変化したか
  9. 事業運営をする特定の地域やセクター、顧客の性質に関連するものを含めて、企業が固有のリスクやコンプライアンス上の課題に直面しているか
  10. 企業が業界の規制当局による監督に服している、または、国内・外の規制当局によりモニターを課されているか、課されているとすればその程度

※12
具体例として、国家安全保障を損なう犯罪(たとえば、制裁逃れや米国経済への脅威)、米国の利益に重大な影響を及ぼす海外贈賄、貿易詐欺や関税逃れ、調達および医療詐欺、そしてカルテル、国際的な犯罪組織、麻薬取引、外国のテロリストへの重要な支援など、米国の利益を害するその他の犯罪が含まれるとされています。

※13
例えば、特定の規制当局の監督下にありながら企業犯罪を繰り返してきた実績がある場合、モニターを課す方向で考慮される重要な事情となります。

※14
当該不正の再発を検知・防止するために適切に調整された、効果的でリスクベースの企業コンプライアンス・プログラムの実現

※15
NO&T Compliance Legal Update危機管理・コンプライアンスニュースレターNo.98 「DOJ報奨金付通報制度の運用開始: Whistleblower Awards Pilot Programの概要」(2024年8月)

※16
https://www.justice.gov/criminal/media/1400041/dl?inline(最終アクセス:2025年6月11日)

本ニュースレターは、各位のご参考のために一般的な情報を簡潔に提供することを目的としたものであり、当事務所の法的アドバイスを構成するものではありません。また見解に亘る部分は執筆者の個人的見解であり当事務所の見解ではありません。一般的情報としての性質上、法令の条文や出典の引用を意図的に省略している場合があります。個別具体的事案に係る問題については、必ず弁護士にご相談ください。


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