経済安全保障
経済安全保障で求められる法務対応 従来、防衛等ハードな側面を中心に捉えられてきた国家安全保障について、経済上の手段によっても侵害され得ることを前提に、経済活動の促進と規制等を通じて国益等を保護するという経済安全保障に関心がもたれ、各国において経済安全保障政策が積極的に採用されてきています。
また、ロシア・ウクライナ危機では、経済制裁が軍事行為への対抗手段として採られ、安全保障とは逆に、経済上の手段が外交的な目的を達成するために用いられることを現実的に示すこととなりました。他方で、経済のグローバル化が進んだ現在、全ての経済活動を国内で完結させることは現実的ではない中で、経済安全保障政策は、WTO体制のもとで保障されている自由かつ公正な経済活動を制約するものともなり得ます。このような世界経済、市場の動向を踏まえて、各国の経済安全保障に係る措置、規制が、企業の経済活動に及ぼす影響は、今後益々増えることはあっても、減ることはないでしょう。
経済安全保障に係る措置、規制や経済制裁につき、各国間での協調が進む一方で、米国など広範な域外適用を行う法域もあり、逆に、中国など、それら措置等に対抗する立法を行う動きも相次いでおり、各企業は、複数法域の規制を念頭におきつつ現実的な判断を行う必要があります。当事務所は、米国や中国等における拠点や、現地法律事務所等のネットワークをもいかし、企業が事業活動をグローバルに展開する上で、関連する国内及び国外の従来型の安全保障関連規制だけでなく、経済安全保障に関わる規制や最新の動向を踏まえてアドバイスを提供しています。
また、経済のグローバル化による世界規模で密接に関連したサプライチェーン、流通、金融の体制は、経済制裁の発動や感染症の流行等の突発的な事象によって多大な影響を受けることが現実的なリスクとして認識されるに至っています。当事務所は、有事における対処、有事により顕在化する法的リスクに対する予防的対応等についても、アドバイスを提供しています。