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ニュースレター

上場日程の期間短縮・柔軟化に係る「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正

NO&T Capital Market Legal Update キャピタルマーケットニュースレター

著者等
新木伸一斉藤元樹宮下優一(共著)
出版社
長島・大野・常松法律事務所
書籍名・掲載誌
NO&T Capital Market Legal Update ~キャピタルマーケットニュースレター~ No.28(2023年7月)
業務分野
キーワード
※本ニュースレターは情報提供目的で作成されており、法的助言ではありませんのでご留意ください。また、本ニュースレターは発行日(作成日)時点の情報に基づいており、その時点後の情報は反映されておりません。特に、速報の場合には、その性格上、現状の解釈・慣行と異なる場合がありますので、ご留意ください。

はじめに

 2023年6月30日、金融庁より、上場日程の期間短縮・柔軟化に係る「企業内容等の開示に関する内閣府令」(以下「企業内容等開示府令」)と「企業内容等の開示に関する留意事項について」(以下「企業内容等開示ガイドライン」)の改正案が公表されました。IPOにおいては、上場日程の短縮化や日程設定の柔軟化が課題とされたところ、かかる課題に対する改善策として、あらかじめ上場承認前に有価証券届出書(以下「承認前届出書」)を提出することが考えられ、その際の承認前届出書の記載事項等の実務運用について検討されてきましたが、今回の改正は、承認前届出書の記載事項等について定めるものです。

 また、上記とは別に、同日、金融庁より、企業内容等開示ガイドラインの改正案について、2023年3月31日から同年5月1日にかけて実施していたパブリックコメントの結果と最終的な改正内容が公表され、同年6月30日から適用が開始されました。こちらの改正は、IPOにおいて仮条件の範囲外で公開価格が決定される場合や公開価格の決定と同時に売出株数を変更する場合の訂正届出書の効力発生日について、企業内容等開示ガイドラインにおいて明確化する改正を行うものです。

目次:

  • 見直しの全体像とこれまでの経緯
  • 上場承認前届出書に係る改正(①概要、②改正の具体的内容、③想定される論点)
  • 仮条件の範囲外での公開価格設定・株式数の柔軟な変更(①概要、②パブリックコメント回答を踏まえた検討)

見直しの全体像とこれまでの経緯

 株式の「公開価格」とは、会社がその株式を証券取引所に上場するにあたって行われる株式の公募・売出し(IPO:Initial Public Offering)の価格(1株当たりの発行価格・売出価格)のことをいいます。日本のIPOにおける公開価格の設定については、2022年2月に日証協の「公開価格の設定プロセスのあり方等に関するワーキング・グループ」(以下「日証協WG」)から公表された報告書(以下「日証協WG報告書」)では、その設定プロセスに改善の余地があるという共通認識が示され、日証協WGでは、公正な価格発見機能の向上や、発行体・投資家双方の納得感の向上につなげることに主眼を置いた議論がなされてきました。また、同年6月に公表された金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」中間整理において、IPOの公開価格設定プロセス等の見直しについて、必要な制度的対応を行いつつ、着実に進展させる必要があるとされました。

 日証協WG報告書で提言され、日証協や関係当局等において対応中又は対応済みの論点は以下のとおりです。

 そして、このうち、⑤~⑫については既に日証協規則の改正等がなされ、順次施行・適用がなされていますが、今回の改正では、残りの改善策である次の対応が示されることとなりましたので、以下にご紹介します。

 ① 仮条件の範囲外での公開価格設定

 ② 上場日程の期間短縮・柔軟化

 ③ 有価証券届出書への想定発行価格や手取金概算額の記載方法の見直し

 ④ 売出株式数の柔軟な変更

 また、上記②については、上場日程の期間短縮の制約の1つであった社債、株式等の振替に関する法律131条の改正案が第211回国会に提出されていましたが、成立には至らず継続審査となっています。当該改正案については本ニュースレター第26号「2023年金融商品取引法等の改正案の公表」(2023年3月 糸川貴視・水越恭平・宮下優一)をご参照ください。なお、上記⑤~⑫については、本ニュースレター第20号「新規株式公開(IPO)における公開価格設定プロセス等についての日証協規則改正」(2022年12月 斉藤元樹・宮下優一・米田崇人)(以下「2022年12月ニュースレター」)もご参照ください。

上場承認前届出書に係る改正

① 概要

 日本のIPOは、上場承認日から上場日までの期間が長いとされ(おおよそ1ヶ月間)、その期間が長いことにより、投資家や発行会社は市場環境等の変化による価格変動リスクを負うこととなり、そのリスクが公開価格に織り込まれることによりディスカウントが大きくなっている旨が指摘されていました。また、上場承認日に有価証券届出書を提出した後に上場日を変更するためには、上場申請を取り下げて再申請を行うなどの柔軟性に関する課題があるとも指摘されていました。

 そこで、日証協WG報告書では、有価証券届出書を上場承認日よりも前に提出する可能性も含め、上場承認日から上場日までの期間、仮条件決定日から上場日までの期間、公開価格設定日から上場日までの期間のそれぞれを短縮する改善案や、上場日の設定を柔軟化する改善案が示されました。

 本改正案は、上記の議論を踏まえ、上場承認日より前に承認前届出書を提出することを可能とするために、有価証券届出書の記載事項のうち、上場承認と紐付く一定の事項について、一定の幅をもった記載とすることや、「未定」とすることを可能とするための改正となっています。

 また、従前の日本のIPO実務では、上場承認前における機関投資家に対する接触は、いわゆる届出前勧誘規制に違反しない範囲で行われていたところ、本改正案の施行後は、上場承認日より前に承認前届出書を提出することにより、届出前勧誘規制との関係では上場承認前に「勧誘」に該当する行為を実施することが可能となる結果、機関投資家との十分な対話を踏まえた上での適切な公開価格の設定が可能となることが期待されます。

 なお、本改正案は2023年7月31日まで、パブリックコメント手続に付されています。また、改正案の施行日は、2023年10月1日となる予定です。

(注) あくまでイメージであり、実際の日程は個別案件ごとに決定されることになります。

② 改正の具体的内容

 本改正案の具体的内容は、以下のとおりです。

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