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新しいテクノロジーと教育事業 ~web3・メタバース時代の到来~


【音声配信中】
プレイリストで聴取もできます。

座談会メンバー

パートナー

殿村 桂司

TMT分野を中心に、M&A、知財関連取引、テクノロジー関連法務、スタートアップ法務、デジタルメディア・エンタテインメント、ゲーム、テレコム、宇宙、個人情報・データ、AI、ガバナンス、ルールメイキングなど企業法務全般に関するアドバイスを提供している。

アソシエイト

小松 諒

コーポレート、不動産、紛争解決(仲裁・訴訟)を中心に企業法務全般を取り扱い、テクノロジー関連法務、スタートアップ法務及びメディア/エンタテインメント・スポーツ関連法務にも幅広い経験を有する。

アソシエイト

早川 健

個人情報保護、危機管理・コンプライアンスの案件を中心にリーガルサービスを提供している。個人情報保護委員会事務局への出向経験があり、在任中は、欧州、米国、アジアなど世界の個人データ保護法令の動向についての情報収集等を担当。

アソシエイト

丸田 颯人

危機管理・コンプライアンス、個人情報保護やテクノロジー関連法務を中心に企業法務全般についてアドバイスを提供している。セキュリティの国家資格である情報処理安全確保支援士を取得・登録している。

アソシエイト

小宮 千枝

コーポレート、知的財産法、個人情報保護法分野をはじめとして、企業法務全般に関するアドバイスを提供している。第一東京弁護士会の子ども法委員会に所属し、子どもの権利や教育分野についても関心を持つ。

【はじめに】

近年のテクノロジーの発展とコロナ禍を経た社会やライフスタイルの大きな変化により、教育事業におけるテクノロジーの活用が加速しており、近時はChatGPTなどの生成AI(Generative AI)が教育に与える影響やAIを教育にどのように活用できるかについての議論も盛んになされています。また、web3やメタバースといったテクノロジーについても、教育の様々な場面で活用されることが期待されており、実際の活用事例も増えてきています。今回は、web3・メタバース時代の教育事業について、教育事業、個人情報・プライバシー保護、テクノロジー関連法務に携わる弁護士が議論します。

CHAPTER
01

教育事業におけるテクノロジーの活用

殿村

今日は、教育事業におけるテクノロジー法務に取り組んでいる早川弁護士、丸田弁護士、小宮弁護士、そして教育事業を含め各種産業のweb3・メタバース法務に取り組んでいる小松弁護士とともに、web3・メタバース時代におけるテクノロジーを活用した教育事業について議論したいと思います。
まず、教育事業における近時のテクノロジーの活用の実態等について話していきたいと思います。最近の教育におけるテクノロジーの活用、特にデジタル化について、政府の積極的な動きもあると理解していますが、この点から議論していきましょう。

丸田

文部科学省では、2019年からGIGAスクール構想(Global and Innovation Gateway for All)※1を打ち出しているなど、学校教育のICT化・デジタル化を推進しています。この構想では、具体的には、「1人1台端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備することで、特別な支援を必要とする子供を含め、多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、後世に個別最適化され、資質・能力が一層確実に育成できる教育ICT環境を実現する」、「これまでの我が国の教育実践と最先端のICTのベストミックスを図ることにより、教師・児童生徒の力を最大限に引き出す」※2ことを目的としています。

早川

このGIGAスクール構想では、児童生徒1人1台端末と高速大容量の通信ネットワークの整備を2023年度までに目指すとされていました。しかし、2020年4月に開かれた臨時閣議では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響を受けた臨時休校が長期化する状況を鑑みて、スケジュールの前倒しが必要と判断され、この結果として、2021年3月時点で全国ほとんどの小中学校で端末の導入が完了しました。公立小学校に通う私の子どももタブレット端末の配布を受けており、児童生徒1人1台端末を持っているということで、私たちが小中学生であった頃よりだいぶデジタル化が進んでいるのだと感じます。

殿村

ありがとうございます。そのような政府の施策も背景として、また、コロナ禍を契機の一つにして、教育へのテクノロジーの活用が急速に進んでいますが、このような、教育(Education)とデジタル技術(Technology)を組み合わせたEdTech(エドテック)の具体例として、他にはどのようなものがあるのでしょうか。

小松

イメージしやすいところでいえば、オンライン授業やVR・ARといったXRの活用、さらにメタバースの活用などですね。昨年、メタバースを活用した教育事業を行うスタートアップ企業を舞台にしたテレビドラマが放送され話題となりました。ドラマの世界だけでなく、教育事業におけるメタバース・XRの活用は非常に注目されていると思います。

小宮

経済産業省は、新しい学習指導要領のもとで、1人1台端末と様々なEdTechを活用した新しい学び方を実証する「未来の教室」実証事業を2018年度から全国の学校などと進めています。そのポータルサイト※3では、「未来の教室」実証事業で使用され、学校向けに展開している具体的なEdTechの事例が多数紹介されていたりSTEAM※4ライブラリーが紹介されていたりしますので、こちらを参照すると理解が深まると思います。

殿村

EdTechの関係では、教育に関するデータをどのように利活用するかということも議論されています。例えば、デジタル庁等が2022年7月に「教育データ利活用ロードマップ」を公表していますね。

丸田

はい。教育データ利活用ロードマップは、「誰もが、いつでもどこからでも、誰とでも、自分らしく学べる社会」をミッションとして掲げたうえで、デジタルを手段として、学習者主体の教育への転換や教職員が子ども達と向き合える環境を整えるための論点や工程表をまとめたものとされています。教育データ利活用により、例えば、学習者にとっては自分に適した教材や学習方法を選べること、教員にとっては課題のある児童生徒を早期に発見したり、受け持つ児童生徒に適した教材が見つかることが期待されることなどが挙げられます※5

小松

ロードマップには「教育データの蓄積と流通」や「様々なデータを連携して活用」など、子どもの教育データを色々なステークホルダーと連携して活用することが想定されているようですが、子どもの教育データには子どもの個人情報が含まれている場合も多いと思います。そのような個人情報やプライバシーの保護の観点からも気をつけないといけない点がありそうですね。

早川

そうですね。個人情報保護の観点では、まずはセキュリティの確保が大事ですので、個人情報保護委員会による個人情報保護ガイドライン等に沿った組織的・人的・物理的・技術的安全管理措置を講じることが必要になります。また、文部科学省が主に地方公共団体が設置する学校を想定して「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」を公表していますので、学校における具体的な対応としてはこちらも参考になると思います※6

丸田

そのほか、「様々なデータを連携」するという点に関しては、想定している個人情報の利用・提供がもともとの利用目的の範囲内といえるのか、すなわち適法に利用・提供できるかといった課題があるところです。今年の3月に文部科学省が公表した「教育データの利活用に係る留意事項(第1版)」※7では、個人情報の適正な取扱いやプライバシー保護、セキュリティ対策について教育委員会・学校が留意すべき事項が詳しく説明されており、参考になると思います。

早川

個人情報保護の話になったので付け加えますと、日本ではまだあまり議論されていませんが、国外では子どもの個人情報は特に保護すべきものであると捉えられています。例えば欧州で2018年5月に適用開始された一般データ保護規則(GDPR)は、前文38項において、子どもは、個人データの処理に伴うリスク等について十分認識することができない可能性があるため個人データに関して特別の保護を受ける旨を規定し※8、例えば、透明性の原則を定める中で、「特に、子どもに対して格別に対処する情報提供のために、適切な措置を講じる」といった規定もあります。
日本の個人情報保護法は、次の3年ごと見直しに向けて検討が行われているところですが、見直しにあたって国外の動向も参考にされることが多いですし、子どもの保護をどのように図るかという点は重要なポイントですので、国内外の子どものデータ保護に関する動向にも気を配っておくことは有用だと思います。

殿村

ありがとうございます。国外の動向についてもアンテナを張っておいた方が良さそうですね。
また、最近ではChatGPTをはじめとする生成AI(Generative AI)が世界的に議論になっています。このような生成AIを含むAI技術と教育はどのような関係があるのでしょうか。

丸田

生成AIが生成する文章はかなり自然で、人間が書いたものと遜色ない場合もあるようですが、その機能の高さゆえに、学生が生成AIに論文を書かせて大学に提出することを懸念する大学が出てきています。例えば東京大学は、「学位やレポートについては、学生本人が作成することを前提としているので、生成系AIのみを用いて作成することはできない」と示すなど、各大学がAIの取扱いについて検討を本格化させていますし、文部科学省も今後教育現場での取扱いを示す資料を作成する方針とのことです※9

殿村

自民党デジタル社会推進本部内に設置されたAIの進化と実装に関するプロジェクトチーム※10が今年の4月に公表した「AIホワイトペーパー~AI新時代における日本の国家戦略~」においても、大規模言語モデルのAIが教育に及ぼす影響に言及し、「公教育のカリキュラムの中でAIリテラシーの向上を具体的に位置付けること」や「公教育の現場における生徒による大規模言語モデルの利用の可否などAIの取り扱いに関する指針を早急に策定すること」が提言として盛り込まれているので、今後もいろいろと動きがあると思います。

小松

G7の教育大臣による共同宣言においても、生成AIを含むデジタル技術の進展が、学習や指導に好機をもたらすと同時に、教育システムに対して課題が提示されていることの認識が確認されました※11。この点についても、国外の動向にも注目する必要がありますね。


CHAPTER
02

web3と教育事業

殿村

AIホワイトペーパーと同じく今年の4月に、自民党デジタル社会推進本部内に設置されたweb3プロジェクトチーム※12が「web3ホワイトペーパー~誰もがデジタル資産を利活用する時代へ~」を公表しています。同ホワイトペーパーの中では、特に教育にフォーカスした議論はなされていませんが、教育に関してweb3技術が活用される事例も出てきていますね。

小松

一口にweb3と言ってもいろいろなトピックがありますが、例えばブロックチェーンの活用事例があります。ブロックチェーンには、そこに記録されたデータが容易に改ざんされないという特徴があり、これを活用してデジタルで卒業証明書を発行し、そのデータをブロックチェーンに記録しておくという取組みもあるようです。同様に、Non-Fungible Token(NFT)を活用している事例もあるようです。

小宮

その他には、学生の個人情報管理プラットフォームの開発を進めるプロジェクトがあるようです。そのプラットフォームは、学生の成績や参加した授業などの記録を暗号化してブロックチェーン上に記録し、企業がwebアプリケーションを通じて学生の承諾を得たうえで、ブロックチェーン上に記録された情報にアクセスできるというシステムのようです※13。学生はどの企業にどの期間どのような情報についてのアクセスを認めるのかをコントロールすることができます。また、教員や友人等が当該学生に対する評価をそのwebアプリケーションに入力することも可能で、これまで学生から得られなかった学内外での評価や授業内での発言などのデータを活用して潜在的な優良人材を発見し、アプローチできることもメリットとして挙げられています。
これはあくまで一つの例ですが、ブロックチェーンの活用により、これまでよりも広い範囲のデータに様々な利害関係者がアクセスできる環境が整備されつつあります。

殿村

たしかに、学生が自らの学習履歴などのデータをコントロールしやすくなることのメリットはありますね。一方で、どの情報を開示するのかの判断は学生に委ねられているとはいえ、例えば企業による個人の詳細なデータへのアクセスを認めなければ面接に応じないような、事実上データの開示を学生に強制するような運用になってしまうと、学生の保護の観点からは問題になるかもしれませんね。早川さん、この点はいかがですか。

早川

ご理解のとおりで、学生が自分で情報の開示内容や範囲を決定できるという設計をする場合には、事実上自らについてのデータの開示をせざるを得ないとする場合にはやはり問題があると思いますので、実質的にも本人がコントロールできる状況を確保することが重要だと思います。

殿村

今お話しいただいた点は教育データ利活用ロードマップでも検討されているのでしょうか。

丸田

はい、web3に直接言及したものではありませんが、「個人のデータの流通・利用は、本人の理解や納得の上で行われる必要があり、本人の望まない形で行われることによって、個人が不利益を受けることのないようにする必要がある。」「教育データを利活用して、児童生徒個々人のふるい分けを行ったり、信条や価値観等のうち本人が外部に表出することを望まない内面の部分を可視化することがないようにする。」と記載があることが参考になると思います。

早川

事業者としては、データの利活用にあたり、このような懸念が生じないか、懸念がある場合にはそれをどのように低減できるかを考えることが重要だと思います。

殿村

その他のweb3のトピックとしては、Decentralized Autonomous Organization(DAO)がありますね。DAOとは、その名称のとおり、リーダーや中央集権的な管理機構を持たないこと(Decentralized:分散型)、プロジェクトの目的に賛同するコミュニティのメンバーがトークンを通じた自律的な組織運営を行うこと(Autonomous:自律)を特徴とする組織形態のことです。小宮さん、DAOについての最近の動向についてご紹介いただけますか。

小宮

教育関連のDAOとしては、海外では米マサチューセッツ工科大学(MIT)や米ハーバード大学、英オックスフォード大学など世界の有力大学が共同で、教育分野における「EduDAO」を結成しており、web3関連のプロジェクトに多額の投資実績がある「BitDAO」から資金提供を受けています。
独立組織であるEduDAOから資金が各大学の研究や製品開発向けに配分される仕組みで、ブロックチェーン分野でのイノベーションを促進したり、学生や教員が自由な活動を続けながら資金を得たりすることができるようになるそうです。
CHAPTER
03

メタバースと教育事業

殿村

コロナ禍を経てオンライン授業も珍しくなくなりましたが、それをさらに発展させて、メタバース、すなわち仮想空間上で授業・講義を行い、学生がコミュニケーションを行うことが将来的には考えられるかもしれませんね。

小松

現実世界では危険性や費用等の面で体験することが難しいことをメタバース上で体験することができたり、また学習機会に制限がある学生にとっては学習機会を得ることができたり、教育分野はメタバースの活用が見込まれる分野として有力視されています。

殿村

メタバースを活用した教育事業に関する現在の取組みとしてはどのようなものがあるのでしょうか。

小宮

例えば、東京大学は2022年に「メタバース工学部」を設立し、メタバース工学部において、中高生・保護者・教師を対象にした工学教育プログラムを提供したり、社会人・学生を対象にしたリスキリングを支援する教育プログラムを提供したりしています。その他の大学や高校においても、説明会やオープンキャンパスをメタバース上で行う取組みや、バーチャル学祭をメタバース上で行う取組みが見られます。
そのほか、一部の地方自治体ではメタバースを利用した不登校支援として、NPO法人と連携して、学校長が認めた場合にはメタバースで学校に出席できるという取組みもあるようです。

殿村

対面でのコミュニケーションよりもアバターを通じたコミュニケーションの方が効果的な場面もあるのでしょうね。
この座談会シリーズの第3回ヘルスケア・ライフサイエンスで取り上げた、VR機器等を用いた仮想空間での実習・トレーニングも教育の一環といえますね。
メタバースでの教育事業はVR技術等の活用も加わりいろいろと取組みが進んでいるようですが、法規制の面から気をつけるべきことはあるでしょうか。

小松

いわゆる「学校」は、学校教育法の規律の対象となります。学校教育法上の「授業」は、教室において教師と学生の対面形式で行われることが原則とされているため、小学校や中学校では一部の例外を除いて、メタバースを含むオンラインでの授業は「授業」としては認められていません。また高校と大学においても一定の制限があります。そのため、「学校」においてメタバース上で全ての授業を完結させることは現在の法制度を前提にすると難しいといえます。一方で、学外の教育事業については学校教育法の規律の対象となりません。そのため、学習塾や英会話教室などの学外で民間事業者がメタバースを含むオンラインでの教育事業やEdTechを活用した教育事業を行う場合は、柔軟にビジネスモデルを検討することができます。

殿村

そもそも対面形式のものを「授業」とする現在の法制度を見直す必要があるのかもしれませんが、現在の法制度上は、学校教育法上の「学校」にあたる場合には留意が必要ですね。
その他に、教育機関でのメタバースの活用において特に留意すべき法的な規制や実務上対応が悩ましそうな点はあるのでしょうか。

小宮

第三者の著作権を侵害しないように気をつける必要があるという点が挙げられると思います。これは、従来の対面型の授業の場合にも当てはまる問題ですが、メタバース上での授業の場合はより問題になりやすいといえます。例えば授業のために市販の問題集の内容をメタバース上にアップロードする行為は著作権法上の「利用」にあたり、原則として著作権者の許諾がない限り著作権の侵害にあたると考えられます。著作権法上、学校その他の教育機関において、市販の問題集など第三者の著作物を授業の過程において利用することは例外的に認められていますが、営利を目的として設置されている教育機関は除外されていますので、学習塾は上記の例外規定の適用を受けることはできません。

殿村

ありがとうございます。加えて、メタバースの仕様にもよりますが、学生や保護者側が第三者の権利を侵害するリスクについても適切に管理する必要がありますね。対応策としては、著作権侵害行為を禁止する旨のルールを定めておくことのほか、学生・保護者に対して著作権教育や継続的な注意喚起を行うことも重要です。
個人情報・プライバシーの観点から、メタバースで注意すべきポイントはありますか。

早川

メタバースは地理的制約から解放され、世界のどこにいても参加できることがその特徴の一つですが、それだけ扱う可能性がある個人情報が幅広くなります。メタバースのサービス提供者の拠点がEU域内になかったとしても、欧州市民をターゲットにしてサービスを提供し、その個人データを扱っていればGDPRが適用される可能性があります。メタバースによって日本国内のみならず世界中に教育サービスを提供するのであれば、GDPRをはじめとする国外の規制にも注意が必要ですね。GDPRが適用される場合には子どもの個人情報保護にも気をつけなければならないのは先ほど述べたとおりです。

丸田

メタバースにおいては、アバターを用いて実名によらずに活動することもありますが、教育事業においては本人であることを確認する必要性が高く、また蓄積される情報はセンシティブなものも多いため、他者による「なりすまし」を防止する必要性が高いといえます。技術的なアプローチとして、生成したアバターをNFT化してアバターの不正利用やなりすましを防止し、プライバシー保護を図ることが検討されているようです。

殿村

メタバースでの教育を考えるときは学校教育法、著作権法や個人情報保護・プライバシーの問題など、多岐にわたる法的な問題がありますね。議論していただいたことは現在のオンライン授業でも共通する問題もありますが、メタバースでの教育を実装した際に予期していなかった法的問題が生じる可能性があるので、設計段階から法的観点からもしっかりと検討した方がよいと思いました。
CHAPTER
04

おわりに

殿村

皆さん、どうもありがとうございました。本日は、web3・メタバース時代におけるテクノロジーを活用した教育事業について議論しました。教育におけるテクノロジーの活用についての政府の積極的な動きや教育データについてのセキュリティや個人情報保護・プライバシーの観点での留意点、生成AIが及ぼす影響、そしてこれらを踏まえたweb3時代の新しい技術の活用やメタバース・XRの利活用の状況など、多岐にわたる議論ができたと思います。
web3・メタバースに関する法的な問題に加え、教育事業が子どもの情報を扱うという観点で留意すべき事項も多く、海外の動向も参照すべき分野かと思います。我々の事務所でも、様々な分野に取り組む弁護士が協働して取り組んでいきたいと思います。

脚注一覧

※4
STEAMとは、Science、Technology、Engineering、Arts、Mathematicsの頭文字を取った言葉で、STEAM分野が複雑に関係する現代社会に生きる市民を育成するための教育がSTEAM教育と呼ばれています。

※8
特に、マーケティング目的、その子どもに関するパーソナリティもしくは個人プロファイルの作成目的での子どもについての個人データの使用、および子どもに対して直接に提示されるサービスを利用する際の子どもの個人データの収集に対して、そのような特別の保護が適用されなければならないとされています(GDPR前文38項)。

※10
同プロジェクトチームには、殿村弁護士もワーキンググループメンバーとして参画しています。

※12
同プロジェクトチームには、殿村弁護士もワーキンググループメンバーとして参画しています。

本座談会は、各位のご参考のために一般的な情報を簡潔に提供することを目的としたものであり、当事務所の法的アドバイスを構成するものではありません。また見解に亘る部分は執筆者の個人的見解であり当事務所の見解ではありません。一般的情報としての性質上、法令の条文や出典の引用を意図的に省略している場合があります。個別具体的事案に係る問題については、必ず弁護士にご相談ください。

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